※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。
東邦大学付属東邦中学校の理科(物理・力学)対策|ばね・てこ・浮力の「力のつり合い」と「運動・エネルギー」の解き方
導入:力学分野の2つの系統を見極める分析の枠組み
東邦大学付属東邦中学校の理科入試(2006〜2026年度の推薦10試験・前期21試験・後期21試験の計52試験)において、物理分野の力学領域は最も出題機会が多い中核領域である。単元別の出題試験数を見ても、「ばねの弾性・力のつり合い」が52試験中16試験(全36単元中1位)、「浮力・密度・圧力・水圧」が12試験(同3位タイ)、「てこ・剛体のつり合い・重心」が9試験、「物体の運動・衝突・落下」が9試験、「滑車・輪軸・複合装置」が5試験、「単振り子の運動」が3試験確認できる。
しかし、過去問演習において「ばねの問題」「斜面の問題」といった実験器具や単元名だけで問題を分類していると、本番でどの計算手順を使うべきかを見誤ることになる。21年間の出題データを精査すると、同校の力学問題は要求される処理の構造によって、大きく次の2つの系統に分かれているためである。
- 系統A:静止している物体の「力のつり合い」 ばね、てこ、滑車、輪軸、水中の浮力、台ばかりなどを組み合わせ、静止している物体にはたらく「上向きの力と下向きの力」や「支点を中心とする回転の力(おもりの重さ×支点からの距離)」のつり合いを式に表す問題である。
- 系統B:動いている物体の「運動の規則性とエネルギー」 自由落下する球、斜面をすべり降りる物体、ばねで発射された小球、衝突して跳ね返る球などについて、実験データの表やグラフから「時間」「速さ」「高さ」「すべる距離」「摩擦による温度上昇」の数値の規則性(比例・反比例・2乗比例)を読み取る問題である。
特に注意が必要なのは、同じ「ばね」を使った問題であっても、年度によって「系統A(力のつり合い)」として解く場合と、「系統B(運動とエネルギーの規則性)」として解く場合があるという点である。単元名や基本公式を知っているだけでは正答には到達できない。問題文と図表を見た段階で、どちらの系統の処理が求められているかを判別し、条件を整理する客観的な思考手順を身につける必要がある。
出題データと全体構造(2006〜2026年度・力学主要大問一覧)
2006〜2026年度の52試験に出題された力学問題の中から、系統A(力のつり合い)と系統B(運動・エネルギー)の解法構造がよく表れている代表的な15大問を整理する。
| 年度・区分・大問 | 単元・テーマ | 系統区分 | 中心となる条件設定 | 解法の初手と決定的な根拠 |
| 2026 後期 大問4 | ばねと斜面上の運動・最高点の高さ | 系統B (運動・エネルギー) | ばねを縮めて小球を発射し、曲面斜面を上がらせる。ばねの縮み・重さ・速さと最高点の高さの表が与えられる。 | 同じ縮みでは「重さ×最高点の高さ」の積が一定(反比例)になり、最高点の高さは「速さの2乗」および「縮みの2乗」に比例する関係を表から抽出する。 |
| 2026 前期 大問2 | 斜面上の運動と摩擦力・熱への変換 | 系統B (運動・エネルギー) | なめらかな斜面から摩擦のある水平面をすべり、止まるまでの距離と温度上昇を表から読み取る(後半は摩擦区間が5mで終わる条件)。 | 止まるまでの距離と上昇温度は、物体の重さや斜面の長さに関係なく「最初の高さ」に比例する。摩擦床が5mで終わる場合は距離5m分で温度上昇が頭打ちになる。 |
| 2025 推薦 大問2 | ばねの切断・直列中間荷重・並列同長 | 系統A (力のつり合い) | 2種類の金属のばねの自然長と伸びの表。ばねの間に重りを挟む直列つなぎと、軽い棒を使った並列つなぎで同じ長さになる条件。 | 直列の下段には下のおもりのみ、上段には上下のおもりの合計がかかることを区別し、同じ素材では自然長と伸びが比例する性質を使って逆算する。 |
| 2025 後期 大問2 | 水に浮く円柱の浮力と燃焼による変化 | 系統A (力のつり合い) | 水に直立して浮く円柱形キャンドル(密度0.9g/cm³、高さ30cm)が、1時間に3cmずつ燃えて短くなるときの水面下の長さを求める。 | 物体の密度が水の0.9倍であるため、全体の長さが変わっても常に「その時点の全長×0.9」が水面下に沈む(露出部分は全長×0.1)。 |
| 2025 前期 大問3 | 自由落下と跳ね返り運動の規則性 | 系統B (運動・エネルギー) | ボールを落とす高さと床に当たるまでの時間、跳ね上がる高さと最高点までの時間の測定表から、3回目に床に当たる時刻を求める。 | 落下高さが4倍・9倍になると落下時間が2倍・3倍になる(高さは時間の2乗に比例)。1回目の落下時間と跳ね返り後の往復時間を順番に足し合わせる。 |
| 2024 前期 大問4 | 容器が横にすべる条件と傾く条件 | 系統A (力のつり合い) | 水を入れた直方体容器をばねで横に引くとき、「横にすべり始める伸び」と「傾き始める伸び」の2つのグラフから境界の高さを求める。 | 水深8cmですべり始める伸び(20cm)をグラフから読み取り、傾き始める条件(引く高さ×ばねの伸び=200で一定)に当てはめて高さ10cmを導く。 |
| 2024 前期 大問7 | 連通管の水圧とてこの複合つり合い | 系統A (力のつり合い) | 左右の管を水でつないだ装置において、水面の高さの差による水圧の押し上げ力と、てこの支点まわりの回転力を連立させる。 | 断面積と水位差からピストンが受ける力を求め、てこの腕の長さの逆比を使ってつり合うおもりの重さを算出する。 |
| 2023 前期 大問4 | 定滑車・ばねと箱の中の人のつり合い | 系統A (力のつり合い) | 箱の中の体重計に乗った人が、天井の定滑車を通したひもを自分で引くときの体重計の値と、箱が床から浮き上がる条件を求める。 | ひもが人を上向きに引く力Tと、箱の上部を上向きに引く力Tを合わせると、人・体重計・箱を一体とした系には合計2Tの上向きの力がはたらく。この力が系全体の重さとつり合うときが、箱が床から浮き上がる限界となる。 |
| 2021 推薦 大問2 | 合金の密度とてこのつり合い | 系統A (力のつり合い) | 複数の金属球と合金球の重さ・体積の表から、てこがつり合う支点距離や、マグネシウムとアルミニウムの合金球の成分比を求める。 | てこの腕の長さの逆比でおもりの重さを求め、合金球(20cm³・42g)についてはすべてアルミニウムと仮定した重さ(54g)との差からつるかめ算で解く。 |
| 2021 前期 大問6 | 物体の衝突とはね返りの速さ | 系統B (運動・エネルギー) | 水平面上を動く2つの球の衝突前後の速さと向きを、衝突前後の「近づく速さ」と「遠ざかる速さ」の比から求める。 | 2つの物体の速さの差(相対速度)に着目し、衝突後に離れていく速さが衝突前に近づく速さの何倍になるかを計算する。 |
| 2019 後期 大問3 | 2本のばねの直列・棒てこ連結と同長条件 | 系統A (力のつり合い) | 自然長も伸び方も異なるばねA・Bを直列につなぐ実験と、水平な棒の両端につないで1:2の位置におもりをつるす実験。 | おもり1gあたりに2本のばねの長さの差がどれだけ縮まるかを求め、最初の自然長の差(10cm)を割ることで同じ長さになる重さ(200g・120g)を導く。 |
| 2018 前期 大問2 | 太さが一様でない棒と食塩水の浮力 | 系統A (力のつり合い) | 太さが一様でない棒のつり合いから棒の重さと重心を求め、端のおもりを食塩水に沈めたときのばねの長さと体積を逆算する。 | まず棒単体がつり合う支点位置を棒の重心として固定し、次にばねの伸びの減少分から食塩水による浮力の大きさを割り出す。 |
| 2017 前期 大問7 | 段差がある床での落下と跳ね返り | 系統B (運動・エネルギー) | 小球を水平に打ち出し、段差のある床でバウンドさせるときの最高点の高さや滞空時間を、速さと高さの表から求める。 | 最高点の高さが上下方向の速さの2乗に比例する関係を使い、跳ね返るごとに速さが何倍になるかを段階的に追跡する。 |
| 2013 前期 大問3 | ばね発射・斜面運動と摩擦による停止 | 系統B (運動・エネルギー) | ばねで打ち出したおもりが斜面を上がる高さの表と、斜面から摩擦のある水平面をすべって止まる距離の表の読み取り。 | 2026年度前期(大問2)および2026年度後期(大問4)の原型となった出題。重さと高さの反比例、縮みの2乗比例、摩擦距離と高さの比例を整理する。 |
| 2006 前期 大問6 | てこと水中のおもりの浮力・台ばかり | 系統A (力のつり合い) | 太さが一様でない棒の端につるしたおもりをビーカーの水に沈め、てこのつり合いから浮力と台ばかりの目盛りを求める。 | てこの回転力の差から上向きの浮力(37g)を特定し、水がおもりから下向きに押し返される力(37g)をビーカーと水の重さ(230g)に加算する(267g)。 |
複数年度比較:2つの力学系統における処理の違いと共通点
1. 系統A(静止している物体の「力のつり合い」)で要求される処理
2006年度前期(大問6)、2009年度前期(大問2)、2017年度推薦(大問2)、2018年度前期(大問2)、2019年度後期(大問3)、2023年度前期(大問4)、2024年度前期(大問4・大問7)、2025年度推薦(大問2)などの系統Aの問題では、単一のばねや1本の単純なてこだけで完結することは少なく、複数の要素が組み合わされている。
この系統で共通して要求されるのは、「着目する物体を1つずつ切り分け、その物体にはたらく上向きの力と下向きの力(または左右の回転の力)を漏れなく書き出す作業」である。特に次の3つの条件処理が複数年度で確認できる。
- 「太さが一様でない棒」の重心と重さの特定 2006年度前期(大問6)、2017年度推薦(大問2)、2018年度前期(大問2)などで共通している初手である。おもりを何もつるさない状態で棒が水平につり合う支点の位置が、その棒の「重心(棒全体の重さが1か所に集まっているとみなせる点)」となる。以降の設問で支点の位置が変わった場合は、常にその重心の位置に「棒の重さ」という下向きの力がかかっているものとして回転の力(重さ×支点からの距離)を計算する。
- 直列につないだばねの「上下の荷重差」 2009年度前期(大問2)、2019年度後期(大問3)、2025年度推薦(大問2)で共通する設定である。天井からばねAをつるし、その下に重りX、さらにその下にばねBと重りYをつるした場合、下のばねBを引き伸ばす力は「重りYの重さ」だけであるのに対し、上のばねAを引き伸ばす力は「重りX+重りYの合計の重さ」(ばね自体の重さがある場合はばねBの重さも加算)となる。必ず下のばねから順番に伸びと自然長を確定させるのが鉄則である。
- 浮力の「反作用(押し返す力)」と台ばかりの目盛り 2006年度前期(大問6)や2012年度後期(大問4)、2018年度前期(大問2)などで扱われている水中のつり合いである。糸や棒につるしたおもりをビーカーの水中に沈めると、おもりは水から「上向きの浮力」を受けるため、上のばねや糸が引く力は浮力の分だけ軽くなる。しかし同時に、ビーカー内の水はおもりから「浮力と同じ大きさの下向きの力」で押し返されているため、ビーカーを載せている台ばかりの目盛りは「容器と水の重さ+浮力の大きさ」になる。
2. 系統B(動いている物体の「運動の規則性とエネルギー」)で要求される処理
一方、ここで取り上げる系統Bの問題(2013年度前期・大問3、2017年度前期・大問7、2021年度前期・大問6、2025年度前期・大問3、2026年度前期・大問2、2026年度後期・大問4など)では、静止した物体の力のつり合いを立式することよりも、実験データから時間・速さ・高さなどの数量関係を読み取ることが中心となる。
この系統では、問題文の中に詳しい実験測定値の「表」が提示され、2つの実験行を比較して「どの数値が何に比例(または反比例・2乗比例)しているか」を抽出する処理が共通して要求される。複数年度で確認できる代表的な規則性は次の3つである。
- 「おもりの重さ」に関係しない現象の見極め
- 自由落下の時間(2017年度後期・大問3、2025年度前期・大問3):空気抵抗を考えない場合、同じ高さから落とした球が床に到達するまでの時間は、球の重さに関係なく一定である。
- 斜面から摩擦床をすべって止まる距離(2013年度前期・大問3、2026年度前期・大問2):なめらかな斜面から摩擦のある水平面にすべり降りて止まるまでの距離は、おもりの重さを2倍・3倍に変えても変化せず(重くなると運動エネルギーも増えるが、床から受ける摩擦力も同じ割合で増えるため)、手を放す「最初の高さ」だけに正比例する。
- 「2乗に比例する関係」の抽出
- 自由落下において、落下時間が2倍、3倍、4倍になると、落下する距離(高さ)は $2\times 2=4$ 倍、$3\times 3=9$ 倍、$4\times 4=16$ 倍になる(2025年度前期・大問3)。逆に、落下する高さが4倍になると、かかる時間は2倍になるため、横軸に高さ・縦軸に時間をとったグラフは「最初は急でだんだん傾きが緩やかになる曲線(上にふくらんだ曲線)」となる。
- ばねを縮めて小球を打ち出す実験でも、ばねの縮みが2倍、3倍になると、蓄えられるエネルギー(斜面を上がる最高点の高さ)は4倍、9倍となり、水平面での速さが2倍、3倍になると最高点の高さも4倍、9倍になる(2013年度前期・大問3、2026年度後期・大問4)。
- 同じエネルギーでの「重さと高さの反比例(積が一定)」
- ばねの縮み(蓄えられたエネルギー)を同じにしたまま、発射する小球の重さを変える実験(2013年度前期・大問3、2026年度後期・大問4)では、「小球の重さ × 斜面の最高点の高さ」の積が一定(反比例)になる。たとえば2026年度後期・大問4では、同じばねの縮みで小球の重さを25gから12gに変えると、最高点の高さは逆比の $\frac{25}{12}$ 倍(逆に重さ12gのときの高さが25cmなら、重さ25gのときの高さは $25 \times \frac{12}{25} = 12\text{cm}$)となる。
3. 同じ「ばね」でも系統Aと系統Bで解法が異なる具体例
直近の2025年度推薦(大問2)と2026年度後期(大問4)を比較すると、同じ「ばね」を題材としながら、要求される処理が明確に分かれていることがわかる。
- 2025年度推薦・大問2(系統A:静止のつり合い): ばねにおもりをつるして静止させる問題である。ここでは「ばねの伸びはおもりの重さに正比例する(フックの法則)」と「ばね全体の長さ = 自然長 + 伸び」という1次式の関係だけを使い、上下のばねにかかる力のつり合いを解く。
- 2026年度後期・大問4(系統B:運動とエネルギー): 縮めたばねで小球を発射して斜面を上がらせる問題である。ここでは「ばねの縮みと重さが比例する」と考えると誤答になる。表の数値から「最高点の高さはばねの縮みの2乗に比例し、小球の重さに反比例する」というエネルギーの関係を読み取って計算する必要がある。
このように、「ばねの問題だから比例計算」と決めつけるのではなく、物体が静止してつり合っているのか(系統A)、それともばねの力で物体を動かして速さや高さに変えているのか(系統B)を最初に確認することが不可欠である。
授業ではここまで扱う:自然長と伸び方が異なる「2本のばねが同じ長さになる条件」を解く3段階の手順
系統A(力のつり合い)の中でも、東邦大東邦で2009年度前期(大問2)、2013年度前期(大問6)、2019年度後期(大問3)、2025年度推薦(大問2)と繰り返し出題されているのが、「元々の長さ(自然長)も、おもり1gあたりの伸びも異なる2本のばねA・Bについて、全体の長さが等しくなる条件を求める問題」である。
実際の授業では、このタイプの問題を次の3段階の手順に分けて確認している。特に第3段階では、与えられた条件によって2つの解き方(分岐)を使い分けることが重要になる。
【確認する3段階の手順】
- 第1段階(自然長と「10gまたは1gあたりの伸び」の整理) 表やグラフから、おもりをつるさないときの長さ(自然長)と、おもり10g(または1g)あたりの伸びをばねA・ばねBそれぞれについて書き出す。
- 第2段階(それぞれのばねにかかる力の分担の確定) 装置図を見て、つるしたおもりに対して、ばねAとばねBにそれぞれどの割合で力がかかるかを確定する。
- 直列つなぎ(ばねの重さを無視でき、間におもりがない場合):ばねAにもばねBにも同じ重さ(1:1)がかかる。
- 軽い棒の両端にばねをつけ、途中におもりをつるす場合:おもりをつるす位置から左右のばねまでの「距離の逆比」の割合で力が分担される(棒の中央につるせば半分ずつ)。
- 第3段階(与えられた条件に応じた逆算の実行)
- パターン①(2本のばねの自然長が両方わかっていて、つるすおもりの重さを求める場合): おもりを1g増やすごとに2本のばねの長さの差が何cmずつ縮まるか(伸びの差)を求め、「最初の自然長の差 ÷ 1gあたりの伸びの差(差集め算)」でおもりの重さを求める。
- パターン②(一方のばねの自然長が未知で、「同じ素材では自然長と伸びが比例する」条件から自然長を求める場合): まず長さがわかっている方のばねから「かかったおもりの重さ」と「全長」を確定し、もう一方のばねについて「その重さがかかったとき、全長が自然長の何倍になるか」から自然長を逆算する。
【過去問への具体的な適用例】
この3段階の手順を、2019年度後期(大問3)および2025年度推薦(大問2)に当てはめると、次のように整理できる。
| 年度・設問 | 第1段階:自然長と基本の伸びの整理 | 第2段階:ばねA・Bにかかる力の分担 | 第3段階:条件に応じた逆算 |
| 2019年度 後期 大問3 問(2) (直列で同じ長さになるおもりの重さ) | ・ばねA:自然長30cm、10gにつき2cm伸びる(1gにつき0.20cm) ・ばねB:自然長40cm、10gにつき1.5cm伸びる(1gにつき0.15cm) ・自然長の差:$40 – 30 = 10\text{cm}$(Bの方が10cm長い) | ばねAとばねBを直列につなぎ、下端におもりW gをつるすため、ばねA・Bともにおもりと同じ重さW g(1:1)がかかる。 | 【パターン①:差集め算】 おもり1gにつき、ばねAはばねBより $0.20 – 0.15 = 0.05\text{cm}$ 多く伸びて追いつく。 10cmの自然長の差に追いつくおもりの重さは、 $10 \div 0.05 = \mathbf{200\text{g}}$ (式:$30 + 0.20W = 40 + 0.15W$)。 |
| 2019年度 後期 大問3 問(3) (棒の両端につないで同じ長さになる重さ) | 同上(ばねAは自然長30cmで1gにつき0.20cm伸び、ばねBは自然長40cmで1gにつき0.15cm伸びる。自然長の差は10cm)。 | 水平な棒の両端にばねA・Bをつけ、A側からの距離:B側からの距離=1:2の位置におもりW gをつるす。 距離の逆比により、ばねAには $\frac{2}{3}W\text{g}$、ばねBには $\frac{1}{3}W\text{g}$ の力がかかる。 | 【パターン①:差集め算】 おもり1gにつき、ばねAは $0.20 \times \frac{2}{3} = \frac{0.40}{3}\text{cm}$、ばねBは $0.15 \times \frac{1}{3} = \frac{0.15}{3}\text{cm}$ 伸びるため、差は1gあたり $\frac{0.25}{3} = \frac{1}{12}\text{cm}$ ずつ縮まる。 10cmの差に追いつくおもりの重さは、 $10 \div \frac{1}{12} = \mathbf{120\text{g}}$。 |
| 2025年度 推薦 大問2 問(5) (並列棒で同じ長さ28cmになったときの自然長) | ・ばねA(金属A):自然長20cm、10gで4cm伸びる。 ・ばねB(金属B):自然長は未知。表より、金属Bのばねは「10gのおもりで自然長の半分(0.5倍)伸びる」性質がある。 | 軽い棒の両端にばねAとばねBをつけ、棒の中央におもりをつるして水平にしたところ、両方とも全長28cmになった。 中央につるしているため、ばねAとばねBには同じ重さがかかる。 | 【パターン②:自然長と伸びの比】 ばねAは自然長20cmから全長28cmになったので、伸びは $28 – 20 = 8\text{cm}$。10gで4cm伸びるので、ばねAにかかった重さは $10 \times \frac{8}{4} = 20\text{g}$ である。 ばねBにも同じ20gがかかり、Bは10gで自然長の半分伸びるので、20gでは自然長と同じ長さ(1倍)だけ伸びる。 よって、全長28cm=自然長×2 より、ばねBの自然長は $28 \div 2 = \mathbf{14\text{cm}}$。 |
このように、2019年度後期と2025年度推薦はどちらも「第2段階でそれぞれのばねにかかる力の分担を確定する」ところまでは共通しているが、最後に「自然長の差を伸びの差で割るか(2019年度)」「自然長と伸びの比例関係から倍数を求めるか(2025年度)」という違いがある。重要なのは、名称や公式だけを覚えることではなく、どの条件を確認し、どの処理を選択するかを別の問題でも再現できるようにすることである。
東邦大付属東邦中・理科(物理・力学)の対策と復習手順
過去問演習において、「解答の式を見て納得できる状態」と「初見の問題で自力で式を立てられる状態」の間には大きな隔たりがある。東邦大東邦の力学分野で確実に得点するためには、次の3つの手順で復習を進めることが有効である。
- 最初に「系統A(力のつり合い)」か「系統B(運動とエネルギー)」かを判別する 問題文を読んだら、まず「静止している装置の力のつり合い(系統A)」なのか、「ボールや台車を動かしたときの時間・速さ・高さ・温度の表の読み取り(系統B)」なのかを区別する。系統Aであれば図の中に力の矢印と支点からの距離を書き込み、系統Bであれば表の隣り合う行を比べて「何が一定で、何が何倍になっているか(比例・反比例・2乗比例)」をメモする作業から始める。
- 「見落としやすい条件(棒の重さ・ばねの自然長・浮力の反作用・摩擦床の終わり)」に印をつける 同校の力学では、「棒の重さは考えない」場合と「太さが一様でない棒の重さを考える」場合、「ばねの伸び」を聞かれている場合と「ばね全体の長さ(自然長+伸び)」を聞かれている場合、あるいは2026年度前期(大問2)のように「摩擦のある区間が5mで終わる」場合など、計算の前提となる条件が問題文中に細かく指定されている。数字だけを拾うのではなく、条件の切り替わり部分に下線を引いて確認する習慣をつける。
- 試験区分(前期・後期・推薦)をまたいで同じ系統の過去問を並べて解く 一覧表で確認したとおり、2013年度前期(大問3)の斜面・ばね・摩擦の実験が2026年度前期(大問2)および2026年度後期(大問4)で発展的に再登場し、2009年度前期(大問2)や2019年度後期(大問3)の複合ばねが2025年度推薦(大問2)で再登場している。前期入試の対策であっても後期や推薦の過去問を、推薦・後期入試の対策であっても前期の過去問をあわせて解き直すことで、同じ解法の型を確実に定着させることができる。
▼ 関連する分析記事・詳細対策レポートのご案内
東邦大学付属東邦中学校・理科の21か年(2006〜2026年度・全52試験)にわたる全体構造、全36単元の出題履歴一覧、および2027年度の注目単元については、以下の総合分析記事で解説している。
また、2027年度入試に向けて「前期・後期・推薦ごとに具体的にどの実験設定・計算テーマを第1候補〜第3候補として優先復習すべきか」「過去52試験で出題が確認できない空白テーマや、直前期に演習量を減らせる単元・形式は何か」、さらに「各予想単元に対応する2006〜2026年度の過去問(年度・区分・大問番号)の一覧リスト」をまとめた詳細レポート(PDF版)は、以下のnoteにて提供している。直前期の学習計画と優先順位の判断に役立ててほしい。
▼ 【note】2027年度 東邦大学付属東邦中学校・理科|21か年(全52試験)全設問データベースから導く「試験区分別・詳細出題予想&直前対策優先度レポート」(PDF版/有料)

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