※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。
東邦大学付属東邦中学校の理科(地学)分野別対策|天体・地震・地層・気象の計算と後期大問1の得点戦略
導入:地学分野の3つの出題構造と試験区分別の特徴
東邦大学付属東邦中学校の理科入試(2006〜2026年度の推薦10試験・前期21試験・後期21試験の計52試験)において、地学分野は前期入試と後期入試の双方で安定した出題枠を持っている。前期入試(基本6大問・20問)では毎試験1〜2大問が出題されており、後期入試(4大問・10問)では2017〜2026年度の10試験すべてにおいて、大問1(独立1問枠)が地学分野から出題されている。また、推薦入試でも2017年度(国際宇宙ステーションと天体)や2026年度(大気圧と標高)のように、物理や生物との融合問題として出題された実績がある。
全52試験における単元別の出題試験数を確認すると、「惑星の運行・太陽系・宇宙探査」が10試験、「地層・火山・岩石・流水地形」が10試験、「月と太陽・食現象」が9試験、「気象:湿度・水蒸気・気候・観測」が8試験、「太陽の動き・影・地球の自転公転」が7試験、「恒星・星座・天球の日周年周運動」が7試験、「気象:前線・低気圧・台風・豪雨」が5試験、「地震:地震波・震源・プレート」が5試験となっている(※出題試験数は単元ごとに集計しており、1試験で複数単元が出題された場合はそれぞれに計上している。そのため、各単元の出題試験数の合計は52試験と一致しない)。
21年間の出題データを精査すると、東邦大東邦の地学分野で要求される処理は、大きく次の3つの系統に整理できる。
- 系統A:天体の「角度・周期の計算」と「観察視点の変換」(月・太陽・惑星・恒星) 北の空の星の日周運動と年周運動の回転角、地球と月・惑星の公転周期(追いつき算)、2地点の北極星の高度差からの地球半径の算出など、角度と時間の比例計算を行う問題である。さらに、「南半球や赤道から見た太陽・月の動き」「西の地平線に沈む月の傾き」「天体望遠鏡で見た惑星の像」のように、観察する場所や器具によって見える向きがどう変わるかを空間的に判断する処理が組み合わされる。
- 系統B:大地の変化における「時刻・距離・標高の逆算」と「形成順序の復元」(地震・地層・火山・流水) 複数の観測点における地震波(P波・S波)の到達時刻表から地震発生時刻や震源距離を逆算する問題、地形図の等高線とボーリング柱状図から地層の傾きや掘削深度を計算する問題、および断層や火山の噴火・堆積の前後関係を復元する問題である。
- 系統C:気象・大気における「飽和水蒸気量の逆算」と「高度変化の計算」(湿度・雲・前線・気圧) 飽和水蒸気量の表やグラフを使って冷却時の凝結水量や元の気温を逆算する問題、標高が上がるにつれて気温と露点が下がる割合の差から雲ができる高さ(雲底高度)を求める問題、および大気圧や前線・台風の構造を読み取る問題である。
地学分野で確実に得点するためには、基本的な用語の暗記にとどまらず、問題文で与えられた方位・角度・標高・時刻の基準を正確に図や式に置き換える手順を身につける必要がある。
出題データと全体構造(2006〜2026年度・地学主要大問一覧)
2006〜2026年度の52試験に出題された地学問題の中から、系統A・系統B・系統Cの解法構造がよく表れている代表的な15大問を整理する。
| 年度・区分・大問 | 単元・テーマ | 系統区分 | 中心となる条件設定 | 解法の初手と決定的な根拠 |
| 2026 後期 大問1 | 北斗七星の日周運動と年周運動の合成 | 系統A (天体・角度) | 3月1日19時の北の空の北斗七星を基準とし、5月1日21時の位置とひしゃく(枡)の向きを8択から選ぶ。 | 2ヶ月後(反時計回り60°)と2時間後(反時計回り30°)を合わせて反時計回りに90°回転させ、北極星の真上で枡の開口部が下を向く図を特定する。 |
| 2026 前期 大問5 | 月と火星の公転・望遠鏡像・会合周期・逆行 | 系統A (天体・公転) | 太陽・地球・月・火星の公転軌道図、望遠鏡で見た火星の像、公転周期(365日・687日)からの会合周期と逆行。 | 太陽光の向きから欠け方を判断して望遠鏡の上下左右反転を適用し、1日の公転角度の差による追いつき算で約780日を算出する。 |
| 2026 推薦 大問1 | 空気の密度測定と大気圧・山頂標高の計算 | 系統C (気象・圧力融合) | スプレー缶による空気1Lの質量測定(1.2g)、1気圧(1000g/cm²)の空気柱の高さ、山頂気圧(0.74気圧)の標高。 | 底面積1cm²・高さ100mの空気の重さ(12g)を基準に比例計算で空気柱の高さ(8333m)と山頂標高(2167m)を求め、上空ほど空気が薄くなるグラフを選ぶ。 |
| 2025 後期 大問1 | 流水によるれき・砂・どろの堆積実験 | 系統B (地層・堆積) | といの上から混合土を水で水槽へ流し込む実験装置と、堆積した層の重なり方・自然界の現象との対応。 | 粒が大きく重い「れき」が最も速く沈んで下にたまり、その上に「砂」「どろ」の順で重なる粒子の沈降速度の差を照合する。 |
| 2025 前期 大問4 | 川原の石の形状変化と太陽の方位・地形 | 系統B+A (流水・太陽方位) | 3日間のキャンプ日記における川原の石の特徴(上流・中流・下流)、風景スケッチ、海上の太陽と河川ルート。 | 下流ほど石が小さく丸みを帯びる特徴から観察地点を特定し、海の上に太陽が見える時間帯から方角を確定して移動順の矢印を選ぶ。 |
| 2024 後期 大問1 | 北極星の高度差と地球の半径の算出 | 系統A (地球・角度計算) | ほぼ南北に100km離れた2地点における北極星の高度(仰角)の差が0.9°であることから地球の半径を求める。 | 北極星の高度差0.9°を地球の中心角0.9°と考え、地球1周の長さを $100 \times \frac{360}{0.9} = 40000\text{km}$ と求める。円周を円周率の2倍($2 \times 3.14$)で割り、地球の半径を約6400kmと算出する。 |
| 2024 前期 大問1 | 線状降水帯の発生しくみと豪雨災害・防災 | 系統C (気象・防災時事) | 線状降水帯による集中豪雨のメカニズム、ハザードマップの確認、避難時の注意点に関する正誤判定。 | 暖かく湿った空気が継続して流れ込み積乱雲が次々と発生する仕組みと、適切な避難行動を照合する。 |
| 2023 後期 大問1 | 緯度別の太陽の影の軌跡と南中高度計算 | 系統A (太陽・視点変換) | 館山(北緯35°)・赤道・キャンベラ(南緯35°)における棒の影の先端の動きと、キャンベラの冬至の南中高度。 | 南半球では太陽が北の空を通るため影が南側にできることを確認し、南半球の6月(最も低い時期)の南中高度 $90^\circ – 35^\circ – 23.4^\circ \fallingdotseq 32^\circ$ を導く。 |
| 2022 後期 大問1 | 震源の深さとP波・S波による観測点間距離 | 系統B (地震・幾何計算) | 震源が真下60kmにある地点と、離れた観測点におけるP波・S波の到達時刻差から2地点間の水平距離を求める。 | 到達時刻差から各観測点の震源距離(60kmと75km)を割り出し、深さ60km・斜辺75kmの直角三角形の辺の比(3:4:5)から地表距離45kmを算出する。 |
| 2021 後期 大問1 | 日食の分類と太陽・月・地球の距離関係 | 系統A (月と太陽・食) | 部分日食・皆既日食・金環日食の見え方と、地球から見た太陽と月の見かけの大きさ(視直径)・距離の条件。 | 月が地球から遠い位置にあるときは月の見かけの大きさが太陽より小さくなり、太陽の縁が輪のように残る金環日食になる関係を特定する。 |
| 2021 前期 大問1 | 地層の重なりと断層・噴火の形成順序 | 系統B (地層・順序復元) | 崖の露頭スケッチから、複数の堆積岩層、火山灰層、および断層ができた順番を古いものから復元する。 | 「下にある地層ほど古い」原則と、「断層によって切られている地層よりも、断層の方が新しい(切られていない上の層は断層より新しい)」境界を見抜く。 |
| 2019 後期 大問1 | 月の出入時刻表と西に沈む上弦の月の傾き | 系統A (月・視点変換) | 5日間の月の出・月の入り時刻表から上弦の月を選び、23時ごろ西の地平線に沈む直前の光り方と傾きを選ぶ。 | 昼の12時ごろ出て真夜中の0時ごろ沈む上弦の月を特定し、西に沈むときは地平線の下(北西側)にある太陽に照らされて「右側(下側)が光って寝た形」になる図を選ぶ。 |
| 2019 前期 大問3 | 飽和水蒸気量と冷却凝結・再加熱後の湿度 | 系統C (気象・湿度逆算) | 湿度80%の空気を冷やして5.75gの水滴が出た後、水滴を除いて17℃に温めると湿度が74%になったときの最初の気温を求める。 | 17℃の飽和水蒸気量(14.5g/m³)に0.74を掛けて残った水蒸気量(10.73g)を求め、凝結した5.75gを足し戻した初期水蒸気量(16.48g)を初期湿度0.80で割って飽和水蒸気量20.6g/m³(初期気温23℃)を逆算する。 |
| 2017 前期 大問4 | 南半球での月の見え方と公転周期の計算 | 系統A (月・視点変換) | 日本で南西に見える月をオーストラリアのシドニーで観察したときの方角・傾きと、390°回転による公転周期。 | 南半球では月が北寄りの空(北西)に見えて光る向きが逆転することを確認し、新月から次の新月までの周期を30日とする問題文の条件に従い、その間に月が390°公転することから $30 \times \frac{360}{390} \fallingdotseq 27.7\text{日}$ を求める。 |
| 2015 前期 大問4 | 飽和水蒸気量と雲底高度の追いつき算 | 系統C (気象・追いつき算) | 地表の気温27℃・露点11℃の空気が上昇するとき、100mごとの気温減率(1.0℃)と露点減率(0.2℃)から雲ができる高さを求める。 | 地表での気温と露点の差($27 – 11 = 16\text{℃}$)を、100m上昇するごとに縮まる差($1.0 – 0.2 = 0.8\text{℃}$)で割り、$16 \div 0.8 \times 100 = 2000\text{m}$ を導く。 |
複数年度比較:地学分野の3つの系統における解法手順と注意点
1. 系統A(天体の角度・周期計算と観察視点の変換)で要求される処理
天体領域は前期・後期ともに最も出題機会が多い領域であるが、単なる星座名や惑星の特徴の暗記ではなく、「角度の計算」と「見え方の作図的判断」の2つが組み合わされて出題される。
- 「地球の自転(1時間15°)」と「地球の公転(1ヶ月30°・1日約1°)」の角度合成 2007年度後期(大問2)、2011年度後期(大問1)、2016年度前期(大問4)、2023年度前期(大問3)、2026年度後期(大問1)などで繰り返し問われている処理である。北の空の星は北極星を中心に反時計回りに回るが、「月日を進める(1ヶ月につき反時計回りに30°)」のと「時刻を進める(1時間につき反時計回りに15°)」のを別々に計算して足し合わせる(時刻を戻す場合は引き算する)。特に2026年度後期(大問1)のように、回転させた後の星座の位置だけでなく「星座の形の向き(北斗七星のひしゃくの口が北極星の方を向いたまま回転する)」まで正確に追う必要がある。
- 「南半球・赤道」や「地平線付近・望遠鏡」への視点の切り替え 東邦大東邦の天体問題で頻繁に設定されるのが、観察する場所や向きの変更である。
- 南半球(シドニー、キャンベラ等)での観察(2017年度前期・大問4、2023年度後期・大問1):南半球の中緯度では、太陽や月は東から昇って北寄りの空を通り、西へ沈む。北の空に向かって観察すると、東は右側、西は左側になるため、天体は右(東)から左(西)へ移動して見える。そのため、棒の影は南側にでき、月の光って見える部分の左右が日本(北半球)と逆になる。
- 東から昇るとき・西に沈むときの月の傾き(2019年度後期・大問1):月が南中しているときは光っている側が真横(上弦なら右側)になるが、西の地平線に沈む直前は、すでに地平線の下に沈んだ太陽の方向(右下・北西側)から光が当たるため、光っている部分が下側(斜め右下)に向いて寝た形に見える。
- 天体望遠鏡(倒立像)での見え方(2026年度前期・大問5):肉眼や双眼鏡で見た形をそのまま選ぶと誤答になる。まず公転軌道図から「地球から肉眼で見たときに左右どちら側が太陽に照らされ、どちら側が欠けて見えるか」を確定させ、最後にそれを上下左右180°ひっくり返した図を選択する。
2. 系統B(地震・地層・火山の逆算と空間復元)で要求される処理
2008年度前期(大問1)、2009年度前期(大問3)、2009年度後期(大問2)、2014年度前期(大問2)、2018年度前期(大問3)、2021年度前期(大問1)、2022年度後期(大問1)、2025年度前期(大問1・大問4)、2025年度後期(大問1)などの系統Bの問題では、表や断面図の基準を揃える処理が求められる。
- 地震波(P波・S波)の表計算と「震源の深さを含む直角三角形」
- 複数の観測点の距離と到達時刻の表(2008年度前期・大問1、2009年度前期・大問3、2018年度前期・大問3)では、2つの観測点の「震源からの距離の差」を「P波(またはS波)の到達時刻の差」で割ることで波の速さを出し、そこから距離0kmの時刻(地震発生時刻)を逆算する。
- 特に注意すべきなのが2022年度後期(大問1)のように「震源からの距離(斜めの距離)」と「震央からの距離(地表の水平距離)」を区別する問題である。初期微動継続時間(P波とS波の到達時刻の差)に比例するのは「震源からの斜めの直線距離」であり、地表の距離を求めるには「震源の深さ(縦)」「地表の水平距離(横)」「震源距離(斜辺)」がつくる直角三角形の辺の比(3:4:5など)を使う必要がある。
- ボーリング柱状図における「地表からの深さ」から「標高」への書き換え 2009年度後期(大問2)などの柱状図の問題では、柱状図の目盛り(地表からの深さ)をそのまま比べてはならない。地形図の等高線から各調査地点の「地面の標高(例:標高50m、標高40m)」を読み取り、「地面の標高 − 鍵層(火山灰層など)までの深さ = その地層の標高」をすべての地点で計算して書き出す。地層の標高が同じ地点を結ぶと地層が水平な方向(走向)がわかり、標高が低くなる方角を見ることで地層がどの方角に傾いているかが一目でわかる。
3. 系統C(気象・大気の定量計算)と「後期入試・大問1」の得点戦略
- 飽和水蒸気量の「逆算」と雲底高度の「追いつき算」 2013年度後期(大問2)、2015年度前期(大問4)、2019年度前期(大問3)などの湿度計算では、空気1m³に含まれる実際の水蒸気量(g)を段階的に追う。たとえば2019年度前期(大問3)のように「湿度80%の空気を一度冷やして5.75gの水滴を出した後、水滴を除いて17℃に温め直したら湿度が74%になった」という問題では、後ろの条件から順番に逆算する。まず17℃の飽和水蒸気量(14.5g/m³)に0.74を掛けて「冷やした後に残っていた水蒸気量(10.73g/m³)」を求め、そこに途中で水滴として抜けた5.75gを足し戻して「最初の空気が持っていた水蒸気量(16.48g/m³)」を出す。最後にこれを最初の湿度(0.80)で割ることで、最初の気温における飽和水蒸気量(20.6g/m³ → 表より23℃)を特定できる。
- 後期入試・大問1(地学・独立1問枠)の10年間の出題構造 後期入試を受験するうえで必ず押さえておきたいのが、大問1の特殊な構造である。2017年度から2026年度までの10年間、後期入試は「大問4題・計10問」で固定されており、そのうちの大問1は小問のない「1問完結の地学問題」となっている。 直近10年間(2017〜2026年度)の後期大問1の出題テーマは以下のとおりである。
- 天体・地球領域(10回中7回):2018年度(太陽と影の軌跡)、2019年度(月の出入時刻と沈む月の傾き)、2020年度(はやぶさ2と太陽系)、2021年度(日食の分類と距離)、2023年度(緯度別の太陽の影と南中高度)、2024年度(北極星高度差と地球半径)、2026年度(北斗七星の日周・年周運動)。
- 気象・地震・地層領域(10回中3回):2017年度(台風の渦と強風域)、2022年度(P波・S波と震源距離の直角三角形)、2025年度(流水によるれき・砂・どろの堆積実験)。 後期入試は全体で10問しかないため、大問1の1問が全体の1割を占めることになる。途中の誘導小問がないため、1回の角度計算や条件の読み違いがそのまま失点に直結する。試験開始直後に焦って暗算せず、方角や回転の向きを問題用紙に作図して確実に1問を取り切る戦略が重要である。
授業ではここまで扱う:天体の「回転角度・公転周期」と「見える向き」を解く3段階の手順
東邦大東邦の天体問題において、日時や観察場所が変わったときの星・月・惑星の位置と見え方を正確に導き出すために、実際の授業では次の3段階の手順に分けて処理を行っている。
【確認する3段階の手順】
- 第1段階(1単位あたりの回転角度・移動角度の確定) 動かしたい天体について、「1時間で何度回るか(日周運動=15°)」「1ヶ月で何度回るか(年周運動=30°)」「1日で何度公転するか(地球= $\frac{360^\circ}{365}$、火星= $\frac{360^\circ}{687}$ など)」という1単位あたりの角度を書き出す。
- 第2段階(角度の「合成(足し算・引き算)」または「追いつき算」による位置の確定)
- 北の空の星座の移動:月日の変化による回転角と、時刻の変化による回転角を合成して、北極星を中心に何度回転した位置に来るかを確定する。
- 月や惑星の公転周期:2つの天体の角度の差(または地球の公転による追加角度)に注目し、1周(360°)追いつくまでの日数や、360°回る本来の周期を比例式・追いつき算で求める。
- 第3段階(観察者の視点[中心の星・太陽の位置・南北半球・望遠鏡]に合わせた向きの変換) 位置が決まったら、最後に「どちら側が北極星(回転の中心)を向いているか」「どちら側から太陽の光が当たっているか」「南半球や望遠鏡で上下左右がどう反転するか」を確認して見え方の図を選ぶ。
【過去問への具体的な適用例】
この3段階の手順を、2026年度後期(大問1)、2026年度前期(大問5)、2017年度前期(大問4)の3つの天体問題に適用すると、次のように同じ順序で解くことができる。
| 年度・設問 | 第1段階:1単位あたりの角度の整理 | 第2段階:角度の合成・周期の算出 | 第3段階:観察視点による見え方の確定 |
| 2026年度 後期 大問1(全1問) (北斗七星の日周・年周運動と見え方) | 北の空の星は北極星を中心に反時計回りに回る。 ・年周運動:1ヶ月で 30° ・日周運動:1時間で 15° | 基準の「3月1日19時」から「5月1日21時」への変化: ・2ヶ月後:$30^\circ \times 2 = 60^\circ$ ・2時間後:$15^\circ \times 2 = 30^\circ$ 合計で反時計回りに $60^\circ + 30^\circ = 90^\circ$ 回転した位置(北極星の真上)に移動する。 | 基準図(北極星の右側に縦向き)のまま紙面を反時計回りに90°回すと、北斗七星は北極星の真上で横向きになり、ひしゃく(枡)の開口部が下側(北極星側)を向く選択肢に確定する。 |
| 2026年度 前期 大問5 問(1)〜(3) (月と火星の公転・望遠鏡像・会合周期) | 太陽のまわりを反時計回りに公転する。 ・地球の1日の角度:$\frac{360^\circ}{365\text{日}}$ ・火星の1日の角度:$\frac{360^\circ}{687\text{日}}$ | 地球が火星に1周(360°)追いつくまでの日数(会合周期)は、1日に縮まる角度の差で割る: $360 \div \left(\frac{360}{365} – \frac{360}{687}\right)$ $= \frac{365 \times 687}{687 – 365} \fallingdotseq \mathbf{780\text{日}}$。 | 地球から見て三日月(太陽の右側)と同じ方向にある火星(カ)は、地球から見ると太陽側にあたる右側が照らされ、左端がわずかに欠けた、ほぼ円形に見える。天体望遠鏡では上下左右が反転するため、右端がわずかに欠けた円形の像を選ぶ。 |
| 2017年度 前期 大問4 問(2)〜(4) (南半球での月の見え方と公転周期の計算) | 問題文の条件より、新月から次の新月までの日数(朔望月)は 30日、地球の公転周期は 360日。この30日間に地球は太陽のまわりを 30° 公転している。 | 地球が30°動いた分だけ、月が次の新月になるまでに回った角度は $360^\circ + 30^\circ = \mathbf{390^\circ}$ である。 よって、月がちょうど1周(360°)公転する周期は、 $30 \times \frac{360}{390} \fallingdotseq \mathbf{27.7\text{日}}$ となる。 | 日本(北半球)で南西の空に見える月は、オーストラリアのシドニー(南半球)では天頂より北側を通るため 北西の空 に見え、光って見える部分の左右の向きが日本と逆転する。 |
重要なのは、天体の問題を頭の中のイメージだけで解こうとせず、「①1時間・1ヶ月・1日あたりの角度を式にする → ②合計の回転角や追いつく日数を計算する → ③問題用紙自体を回したり光の当たる側に矢印を引いたりして見え方を確定する」という手順を徹底することである。
東邦大付属東邦中・理科(地学)の対策と復習手順
地学分野において、「用語や公式を知っている状態」から「本番の試験で失点しない状態」へ引き上げるためには、次の3つの手順で復習を進めることが有効である。
- 天体の問題では「北極星中心の回転」と「真上から見た公転図」に必ず方角と矢印を書き込む 北の空の星の問題では、問題用紙の図を実際に反時計回りに回して星座の向きを確認する。また、月や金星・火星の満ち欠けの問題では、観察する方向によって左右の東西は変わるため、まず図に東西の方角を書き込み、太陽光の方向と観察者の視線を確認してどちら側が光っているかを判断する習慣をつける。
- 地震・地層・湿度の表では「基準となる数値(発生時刻・標高・実際の水蒸気量)」を余白に書き出す 地震の表であれば「地震発生時刻(距離0kmの時刻)」、地層の柱状図であれば「地面の標高から深さを引いた各層の標高」、湿度の問題であれば「空気1m³中に今入っている水蒸気の重さ(g)」を最初に余白へ書き出す。この1ステップを挟むことで、ひっかけの選択肢や計算ミスを大幅に防ぐことができる。
- 前期入試と後期大問1の過去問を組み合わせて演習する 一覧表で確認したとおり、2007年度後期(大問2)や2011年度後期(大問1)の北の空の星の角度問題が2026年度後期(大問1)で発展的に再登場し、2015年度後期(大問3)の金星の見え方や2017年度前期(大問4)の月の公転が2026年度前期(大問5)の火星と月の問題につながっている。前期受験生も後期の大問1(1問完結の良問群)を時間を測って解き、後期受験生も前期の地学大問を演習しておくことが効果的である。
▼ 関連する分析記事・詳細対策レポートのご案内
東邦大学付属東邦中学校・理科の21か年(2006〜2026年度・全52試験)にわたる全体構造、全36単元の出題履歴一覧、および2027年度の注目単元については、以下の総合分析記事で解説している。また、物理・化学・生物の各分野の具体的な解法手順については、それぞれの分野別記事をあわせて参照してほしい。
▶東邦大学付属東邦中学校・理科|2006〜2026年度(全52試験)過去問分析と出題傾向・2027年度出題予想
▶ 東邦大学付属東邦中学校の理科(物理・力学)対策|ばね・てこ・浮力の「力のつり合い」と「運動・エネルギー」の解き方
なお、2027年度入試に向けて「前期・後期・推薦ごとに具体的にどの実験設定・計算テーマを第1候補〜第3候補として優先復習すべきか」「過去52試験で出題が確認できない空白テーマや、直前期に演習量を減らせる単元・形式は何か」、さらに「各予想単元に対応する2006〜2026年度の過去問(年度・区分・大問番号)の一覧リスト」をまとめた詳細レポート(PDF版)は、以下のnoteにて提供している。直前期の学習計画と優先順位の判断に役立ててほしい。
▶ 【note】2027年度 東邦大学付属東邦中学校・理科|21か年(全52試験)全設問データベースから導く「試験区分別・詳細出題予想&直前対策優先度レポート」(PDF版)

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