東邦大学付属東邦中学校の理科・化学の計算問題を攻略|中和・気体・溶解度の「過不足」と「混合物」の解法手順

※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。

目次

導入:化学計算の3つの出題構造を見極める分析の枠組み

東邦大学付属東邦中学校の理科入試(2006〜2026年度の推薦10試験・前期21試験・後期21試験の計52試験)において、化学分野は実験データの表やグラフを用いた計算問題が中心を占めている。全52試験における単元別の出題試験数を確認すると、「金属と酸・アルカリの反応」が10試験、「気体の発生・捕集・性質・燃焼」が10試験、「酸とアルカリの中和反応」が9試験、「炭酸塩と酸の反応・気体発生」が7試験、「物質の状態変化・熱分解」が6試験、「水溶液の性質・指示薬・同定」が5試験、「溶解度・結晶・再結晶・抽出」が5試験、「金属の酸化・定比例の法則」が4試験、「水溶液の電気分解」が1試験となっている(※出題試験数は単元ごとに集計しており、1試験で複数単元が出題された場合はそれぞれに計上している。そのため、各単元の出題試験数の合計は52試験と一致しない)。

同校の化学問題では、基本的な化学反応の知識(たとえば「銅と酸素は4:1の重さの比で結びつく」「塩酸と水酸化ナトリウム水溶液が中和すると食塩と水ができる」など)を知っているだけでは解けない問題が多い。問題文の中で「反応が途中で頭打ちになる」「気体が発生した後の液に別の薬品を加える」「2〜3種類の物質が最初から混ざっている」「加熱を途中で止める」といった条件が重ねられるためである。

21年間の出題データを精査すると、東邦大東邦の化学計算で求められる処理は、大きく次の3つの系統に整理できる。

  • 系統A:過不足のある反応と「二段階の操作」(中和・気体発生) 酸やアルカリに金属・炭酸塩・別の水溶液を加えたとき、どこで反応がちょうど終わるか(境界点)を表やグラフから特定し、蒸発乾固で残る固体の重さや、残った酸・沈殿をさらに反応させる液量を求める問題である。
  • 系統B:複数の物質が混ざった「混合物・途中停止反応」の分離(酸化・金属・炭酸塩) 複数の金属や炭酸塩の混合物、あるいは酸化や熱分解が途中で止まった混合物について、反応しない成分を除外したり、2つの実験の差をとったりして特定の物質の重さを逆算する問題である。
  • 系統C:水溶液全体の重さや不等式に着目する「溶解度・濃度」と実験誤差の検証 「水100gあたり」と「飽和水溶液全体」の基準を切り替えながら冷却・水蒸発による結晶の析出量を計算する問題や、測定値が理論値からずれた原因(実験誤差)を論理的に特定する問題である。

本番で確実に得点するためには、問題の設定がどの系統に当てはまるかを見極め、条件を順番に整理する客観的な手順を身につける必要がある。

出題データと全体構造(2006〜2026年度・化学主要大問一覧)

2006〜2026年度の52試験に出題された化学問題の中から、系統A・系統B・系統Cの解法構造が明確に表れている代表的な15大問を整理する。

年度・区分・大問単元・テーマ系統区分中心となる条件設定解法の初手と決定的な根拠
2026 前期 大問6中和とマグネシウムの水素発生・沈殿の再溶解系統A
(過不足・二段階)
塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和比、塩酸とMgの水素発生表、生じた白色沈殿を再び塩酸で溶かす実験。表から塩酸とMgが過不足なく反応する境界(Mg 1.2g)を特定し、Mgの量に比例して生じる水酸化マグネシウムの沈殿を溶かす塩酸の体積(50mL)を比例計算で導く。
2026 後期 大問2水溶液の希釈と凝固点降下・凍結濃縮系統C
(濃度・状態変化)
食塩30g+水100gを15%にする加水計算と、ジュースを凍らせて溶かすときの濃度の変化、氷への食塩添加。溶質(食塩30g)が変わらないことから15%水溶液の全体量(200g)を逆算して加水量70gを求め、凍るときは外側から純粋な水が凍る性質を照合する。
2025 後期 大問3溶解度の析出計算と3種金属混合物の気体発生系統C+B
(溶解度・混合物)
表1は食塩と塩化カリウムの溶解度、表2はAl・Mg・Cuの3種混合物ア〜エに塩酸を加えたときの水素発生量。前半は40℃の飽和水溶液全体の重さ(136g)を基準に比例配分する。後半は塩酸に溶けないCuを除き、Alが同量でMgが異なる2実験の差からMg単独の発生量を抜く。
2025 前期 大問5銅とマグネシウムの酸化と混合物の逆算系統B
(酸化・混合物)
銅とマグネシウムの加熱回数と質量変化の表、粉末と立方体の比較、およびMgとCuの混合物の加熱実験。質量が一定になったところから化合比(Cu:O=4:1、Mg:O=3:2)を確定し、混合物が結びついた酸素の合計量から元の金属の重さを逆算する。
2024 後期 大問2鉄と塩酸の過不足反応と水素の燃焼系統A
(過不足・二段階)
塩酸100mLに鉄1g〜7gを加えたときの水素発生量の表と、発生した水素と酸素を反応させて水をつくる実験。鉄1gにつき水素0.4Lの比例関係と、2.24Lでの頭打ちから限界量(鉄5.6g)を特定し、塩酸170mL+鉄10gでは鉄が余ると判定して水素3.8Lを求める。
2024 前期 大問2硝酸カリウムの溶解度と実験誤差要因系統C
(溶解度・誤差)
硝酸カリウムの溶解・析出実験におけるグラフの理論温度(38℃)と実測温度(32℃)のずれ、飽和水溶液200gの冷却。理論より低い温度まで結晶が出なかった原因(微結晶の見落とし等)や高い温度で出た原因(水量不足)を区別し、「水100g+溶質」の合計比で析出量76gを求める。
2024 前期 大問62種の炭酸塩混合物と酸の反応・沈殿系統B
(炭酸塩・混合物)
炭酸カルシウムと炭酸水素ナトリウムの混合物に塩酸を加えて出るCO₂と、硫酸を加えてできる白色沈殿の重さ。硫酸によって沈殿(硫酸カルシウム)をつくるのは炭酸カルシウム側だけである点に着目し、沈殿量から混合物中の炭酸カルシウムの割合(59%)を逆算する。
2024 推薦 大問23種類の可燃性気体の燃焼と水温上昇系統A
(燃焼・熱量融合)
気体A・B・Cの燃焼に必要な酸素、発生する二酸化炭素、および発生する熱量の表を用いた過不足と温度計算。表から各気体1Lあたりの必要酸素量と発熱量を整理し、与えられた気体と酸素の体積でどちらが使い切られるかを判定して水の温度上昇を計算する。
2023 後期 大問2塩酸と水酸化ナトリウムの中和・蒸発乾固系統A
(過不足・乾固)
塩酸100mLに水酸化ナトリウム水溶液を10mLずつ加えたときの液性と、蒸発乾固で残る固体の重さの表。中和点(30mL・固体12g)までは食塩が10mLにつき4g増え、30mLを超えると余った水酸化ナトリウムが10mLにつき2.5gずつ加わる傾きの変化を読み取る。
2023 推薦 大問2溶解度の範囲絞り込みと水・油の分配系統C
(溶解度・分配)
複数の溶解・溶け残り実験から溶解度の範囲を絞り込む問題と、水溶液に油を加えて物質を移し取る抽出計算。「全部溶けた条件」と「溶け残った条件」を水100mLあたりに換算して9.1g以上9.4g未満と絞り込み、水層と油層の濃度比(1:4)で反復計算を行う。
2022 推薦 大問2炭酸塩3種・金属2種と塩酸の消去算系統B
(気体・混合物)
5種類の固体を組み合わせた混合物に塩酸を加え、気体がちょうど1L発生したときの各物質の重さの表。2つの実験行の重さの比を揃えて引き算する「消去算」を繰り返し、各物質1gあたりに発生する気体の体積を1つずつ確定させていく。
2022 前期 大問2炭酸水素ナトリウムの熱分解と誤差考察系統C
(熱分解・誤差)
重曹の熱分解実験の手順と、加熱後の固体の水溶液にフェノールフタレイン溶液を加えたときの色が薄かった理由。加熱が不十分で炭酸ナトリウムへの分解が完了せず、弱アルカリ性の炭酸水素ナトリウムが残っていたという化学的要因を特定する。
2022 後期 大問4銅の不完全酸化と塩酸による分離計算系統B
(不完全酸化)
銅粉8.0gを加熱して途中で止め、9.2gになった固体に十分な塩酸を加えたときに溶け残る固体の重さを求める。増えた1.2g(酸素)から酸化した銅の重さ(1.2×4=4.8g)を求め、塩酸には酸化銅だけが溶けて未反応の銅(8.0−4.8=3.2g)が残ることを利用する。
2021 前期 大問5気体発生後の残った塩酸の中和計算系統A
(二段階反応)
石灰石や固体Aに塩酸を加えて気体を発生させた後、残った塩酸を水酸化ナトリウム水溶液で中和する実験。中和に使われた水酸化ナトリウム水溶液の体積から「反応せずに残った塩酸の量」を逆算し、最初の塩酸から引くことで気体発生に使われた塩酸を特定する。
2017 後期 大問4アンモニア水と塩酸の中和・過不足系統A
(過不足・乾固)
アンモニア水40cm³に塩酸を加えたときの塩化アンモニウムの重さのグラフと、石灰石を加える二段階実験。固体が1.2gで頭打ちになる折れ点から中和点(塩酸24cm³)を特定し、アンモニアと塩化水素はともに気体で逃げるため中和点以降は固体が増えない性質を使う。

複数年度比較:化学計算の3つの系統における解法手順と注意点

1. 系統A(中和・気体発生の過不足と二段階反応)で要求される処理

2011年度後期(大問2)、2015年度後期(大問4)、2017年度後期(大問4)、2020年度前期(大問4)、2021年度前期(大問5)、2023年度後期(大問2)、2024年度後期(大問2)、2026年度前期(大問6)などの系統Aの問題では、次の3つの処理が繰り返し問われている。

  1. 蒸発乾固で残る固体の重さ:「何を固定し、何を加えているか」の区別 中和後の水溶液から水を蒸発させたときに残る固体の重さは、使う薬品の組み合わせと操作の向きによってグラフや表の変化が異なる。
    • 一定の塩酸に、水酸化ナトリウム水溶液を加えていく場合(2023年度後期・大問2など):中和点まではできる「食塩」が比例して増える。中和点を超えると食塩の量はそれ以上増えないが、余分に加えた水酸化ナトリウム(固体)がそのまま残るため、中和点を超えた後も別の緩やかな傾きで固体の重さが増え続ける。
    • 一定の水酸化ナトリウム水溶液に、塩酸を加えていく場合:中和点までは食塩と未反応の水酸化ナトリウムの合計が増えるが、中和点を超えて余分に加えた塩酸中の塩化水素は気体として空気中に逃げるため、中和点を超えると固体の重さは一定(頭打ち)になる。
    • アンモニア水と塩酸の場合(2017年度後期・大問4):アンモニアも塩化水素も気体であるため、どちらが余っても余った分は蒸発時にすべて気体として逃げ、残る固体は中和でできた「塩化アンモニウム」だけとなる。
  2. 「反応前後のビーカー全体の質量差 = 発生した気体の質量」の抽出 2014年度前期(大問5)や2017年度前期(大問5)のように、石灰石や炭酸水素ナトリウムにうすい塩酸を加える実験では、発生した二酸化炭素の体積ではなく「反応前の全体の重さ」と「反応後の全体の重さ」が表で与えられることがある。このとき、直接の数値を使うのではなく、まずすべての行について「(ビーカー+塩酸+固体の合計質量)−(反応後の全体の質量)= 発生して外へ逃げた二酸化炭素の質量」を引き算で書き出してから、どこで二酸化炭素の発生が頭打ちになったか(折れ点)を見つける手順が必要となる。
  3. 「気体発生 + 残った酸の中和(または沈殿の再溶解)」の二段階計算 2020年度前期(大問4)、2021年度前期(大問5)、2026年度前期(大問6)などで確認できる複合処理である。たとえば「塩酸100cm³に石灰石を溶かした後、残った塩酸を中和するのに水酸化ナトリウム水溶液が何cm³必要だったか」という問題では、後ろの操作(中和)から逆算して「余っていた塩酸の体積」を求め、最初の100cm³から引き算することで「最初の反応で石灰石が実際に消費した塩酸の体積」を確定させる。

2. 系統B(混合物・不完全反応の分離)で要求される処理

2012年度前期(大問3)、2014年度後期(大問4)、2022年度推薦(大問2)、2022年度後期(大問4)、2024年度前期(大問6)、2025年度前期(大問5)、2025年度後期(大問3)などの系統Bの問題では、1つの容器の中に複数の物質が混ざっているため、単純な比例計算だけでは解くことができない。ここでは次の3つの分離手順が使われる。

  1. 「特定の薬品と反応しない物質」の除外と単独特定
    • 銅はうすい塩酸に溶けない(2022年度後期・大問4、2025年度後期・大問3):アルミニウム・マグネシウム・銅の混合物に塩酸を加えた場合、銅からは水素が発生しない。また、酸化銅と銅の混合物に塩酸を加えた場合、酸化銅は塩酸に溶けるが、銅は溶けずにそのまま固体として残る。
    • 硫酸で白い沈殿をつくるカルシウム(2024年度前期・大問6):炭酸カルシウムと炭酸水素ナトリウムの混合物において、塩酸を加えると両方から二酸化炭素が出るが、うすい硫酸を加えたときに水に溶けにくい白い沈殿(硫酸カルシウム)を残すのは炭酸カルシウムの方だけである。
  2. 2つの実験データの「差引消去算」 複数の物質がともに気体を発生させる場合(2022年度推薦・大問2、2025年度後期・大問3)、2つの実験の表を並べて「片方の物質の重さが同じで、もう片方の物質の重さだけが異なるペア」(または重さの比を何倍かして揃えたペア)を見つけ、気体発生量の差をとることで1種類の物質だけの働きを抜き出す。
  3. 完全に反応したときの定比例を使った「つるかめ算」 銅(銅:酸素=4:1、つまり金属1gにつき酸素0.25gが化合)と、マグネシウム(マグネシウム:酸素=3:2、つまり金属1gにつき酸素 $\frac{2}{3}\text{g}$ が化合)の混合物を完全に加熱する問題(2012年度前期・大問3、2025年度前期・大問5)では、「もし混合物がすべて銅だったら何gの酸素と結びつくか」を仮定し、実際の酸素増加量との差を1gあたりの酸素量の差で割るつるかめ算(または酸化物の重さからの逆算)で成分比を特定する。

3. 系統C(溶解度・再結晶と実験誤差の検証)で要求される処理

2010年度前期(大問7)、2019年度後期(大問4)、2023年度推薦(大問2)、2024年度前期(大問2)、2025年度後期(大問3)などの系統Cの問題では、次の2点が重要になる。

  1. 「水の重さ基準(100g)」と「飽和水溶液全体の重さ基準(100+溶解度g)」の厳密な区別 問題文で「水100gに溶かした水溶液を冷やす」と書かれている場合は溶解度表の数値をそのまま引き算できるが、「60℃の飽和水溶液200gを冷やす(2024年度前期・大問2)」「40℃の飽和水溶液136gを取り出す(2025年度後期・大問3)」と書かれている場合は、飽和水溶液200gの中に水が200g入っているわけではない。必ず60℃での「水100g : 溶質 : 飽和水溶液全体(100+溶質)」の比を書き出し、200gの中に水と溶質がそれぞれ何gずつ含まれているかを先に確定させる必要がある。
  2. 実験結果が理論値とずれた「誤差要因」の論理的判定 2014年度前期(大問3)、2017年度前期(大問5)、2022年度前期(大問2)、2024年度前期(大問2)などに共通する考察問題である。たとえば2024年度前期(大問2)では、グラフ上の理論では「38℃」で結晶が出始めるはずの硝酸カリウム水溶液が、実際の実験では「32℃」になるまで結晶が確認できなかった理由や、逆に予定より高い温度で結晶が出てしまった理由が問われている。「高い温度で結晶が出た = 溶けきれなくなった = 実際の水の量が予定より少なかった(または硝酸カリウムを多く入れすぎた)」「低い温度でやっと見えた = ほんの少し出ていた結晶に気づくのが遅れた」というように、結果のずれの向き(大きいか小さいか)と操作ミスの向きを1対1で対応させて判断する。

授業ではここまで扱う:「混合物・途中停止・過不足データ」から隠れた数値を抜き出す3段階の手順

東邦大東邦の化学計算において、初見の表データから必要な数値を素早く導き出すために、実際の授業では次の3段階の手順に分けて条件を整理している。

【確認する3段階の手順】

  1. 第1段階(反応しないもの・一定のまま変わらないものの分離) 問題文と表を見て、「塩酸を加えても反応しない物質(銅など)」「蒸発させても気体として逃げるもの(塩化水素など)」「中和点を超えても増えない生成物(食塩など)」を最初に切り分ける。
  2. 第2段階(2つのデータの「差」から1単位あたりの変化量を確定) 隣り合う実験行や条件の異なる2つの実験を比較し、「何がどれだけ増えたときに、結果(気体の体積や固体の重さ)がどれだけ増えたか」という差分の比例関係を確定する。
  3. 第3段階(全体の数値から判明した分を差し引いて未知量を逆算) 第2段階で確定した1単位あたりの数値を使って一方の成分の量を計算し、全体の測定値から差し引くことで残りの物質の重さや体積を導き出す。

【過去問への具体的な適用例】

この3段階の手順は、「3種金属混合物と酸(2025年度後期)」「中和の蒸発乾固(2023年度後期)」「金属の不完全酸化(2022年度後期)」という一見異なる3つの問題すべてにそのまま適用できる。

年度・設問第1段階:反応しないもの・一定量の分離第2段階:2つのデータの「差」の抽出第3段階:差引による未知量の確定
2025年度 後期
大問3 問(3)
(Al・Mg・Cu混合物と塩酸の水素発生)
混合物ア〜エに含まれるアルミニウム(Al)・マグネシウム(Mg)・銅(Cu)のうち、銅(Cu)は塩酸と反応せず水素を出さないため、計算から除外する。・混合物ア(Al 0.1g, Mg 0.1g, Cu 0.1g):水素230mL
・混合物エ(Al 0.1g, Mg 0.2g, Cu 0.2g):水素330mL
Cuは無関係であり、アとエはAlが同じ0.1gで、Mgが0.1g増えたときに水素が $330 – 230 = 100\text{mL}$ 増えている。
差より、Mg 0.1gから出る水素は100mLと確定する。
これを混合物ア(230mL)から引くと、Al 0.1gから出る水素は $230 – 100 = 130\text{mL}$ となり、すべての混合物の発生量を計算できる。
2023年度 後期
大問2 問(2)・(3)
(塩酸100mL+NaOH水溶液の蒸発乾固)
塩酸100mLにNaOH水溶液を加える表:
・10mL(酸性):固体4g
・20mL(酸性):固体8g
・30mL(中性):固体12g
・40mL(アルカリ性):固体14.5g
30mLでちょうど中性になるため、30mL以降はできる食塩の重さ(12g)は一定で変わらない。
・中性(30mL)までは、NaOH水溶液10mLにつき食塩が4gずつ増えている。
・30mLから40mLの間は、増えた $14.5 – 12 = 2.5\text{g}$ がそのまま「余ったNaOH水溶液10mL中に溶けていた水酸化ナトリウムの重さ」である。
これにより、「NaOH水溶液10mLには水酸化ナトリウムが2.5g溶けており、塩酸と中和すると4gの食塩になる」ことがすべて確定し、任意の混合比での残存固体量を計算できる。
2022年度 後期
大問4 問(2)
(銅8.0gの加熱途中停止と塩酸処理)
銅粉8.0gを加熱して途中で止めた9.2gの固体には、「酸化銅」と「まだ酸化していない銅」が混ざっている。これに塩酸を加えると、酸化銅は溶けるが、未反応の銅は溶けずに残る。加熱前(8.0g)と加熱後(9.2g)の差をとると、結びついた酸素の重さは
$9.2 – 8.0 = 1.2\text{g}$ である。
銅と酸素は 4:1 の重さの比で結びつくため、1.2gの酸素と結びついた銅は $1.2 \times 4 = 4.8\text{g}$ である。
最初の銅8.0gのうち、4.8gが酸化銅に変化して塩酸に溶けたため、最後まで塩酸に溶けずに残る未反応の銅の重さは、
$8.0 – 4.8 = \mathbf{3.2\text{g}}$ となる。

重要なのは、単元ごとに別々の公式を丸暗記することではなく、「①反応しないもの・変化しない上限を切り分ける → ②2つの条件の差をとって1単位あたりの変化量を出す → ③全体から差し引く」という手順を、初見の実験表でも同じように再現できるようにすることである。

東邦大付属東邦中・理科(化学)の対策と復習手順

化学の計算問題において、「解説の式を追って理解できること」と「試験会場でゼロから表の数値を整理して正解を出せること」は別である。日々の過去問演習と復習では、次の3つの手順を徹底することが有効である。

  1. 表の横に「隠れた数値(差分の列)」を自分で書き加える習慣をつける 東邦大東邦の化学の表は、そのままでは比例関係が見えにくい形で提示されることが多い。たとえば「反応後のビーカー全体の重さ」の表であれば、その右隣に自分で「減った重さ(=発生した二酸化炭素)」の列を作って数値を書き込む。「加熱回数と全体の重さ」の表であれば、「増えた重さ(=結びついた酸素)」の列を書き加える。この「差分の列」を1つ作るだけで、どこで反応が頭打ちになったか(折れ点)が一目で判別できるようになる。
  2. 「水100gあたり」と「水溶液全体」の基準を問題文に線で区別する 溶解度や濃度の問題では、設問の条件が「水100g(または水80mL)に溶かしたとき」なのか、「飽和水溶液200g(または136g)を冷やしたとき」なのかによって計算の分母がまったく異なる。問題文を読む際に「水〜g」なのか「水溶液〜g」なのかを丸で囲んで確認し、飽和水溶液全体が与えられたときは必ず「水 : 溶質 : 水溶液全体」の比の表を余白に書いてから計算に入る。
  3. 前期・後期・推薦の過去問を横断して同じ計算テーマを反復する 一覧表で確認したとおり、2012年度前期(大問3)の銅とマグネシウムの酸化計算が2025年度前期(大問5)で再登場し、2019年度後期(大問4)の溶解度範囲の絞り込みが2023年度推薦(大問2)で再登場するなど、過年度の計算モデルが試験区分をまたいで繰り返し出題されている。特定の試験区分だけでなく、3つの試験区分の化学計算問題をセットにして演習することで、過不足計算や差引消去算のスピードと正確性を高めることができる。

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この記事を書いた人

習志野受験研究所 所長/新・個別指導アシスト習志野校 塾長

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