東邦大学付属東邦中学校の理科が難しい理由と突破法|物理・化学・生物・地学で共通して使う「算数の解法手順」

※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。

目次

導入:東邦大東邦の理科を貫く「分野横断の数理処理」

東邦大学付属東邦中学校の理科入試について、2006年度から2026年度までの21年間に実施された推薦入試(10試験)・前期入試(21試験)・後期入試(21試験)の計52試験(総大問数233題・総設問数775問)を分析すると、受験生が「テキストの知識や基本公式は覚えているのに得点できない」と感じる明確な理由が見えてくる。

2019年度から2026年度までの直近8年間(24試験)において、同校の理科では文章記述問題や理科用語の書き取り問題、作図問題が1問も出題されておらず、すべての設問が「多肢選択」または「数値・比の算出」に集約されている。そして、合否を分ける計算・考察問題の多くは、理科の知識そのものよりも「実験データの表やグラフから数量の規則性を読み取り、算数の特殊算や比の性質を使って未知の数値を逆算する処理」を要求している。

ここで極めて重要なのは、「物理・化学・生物・地学という分野や単元名が異なっていても、正解を導くために使っている算数の解法手順は共通している」という事実である。52試験の全設問を解法構造の観点から横断的に分類すると、4分野にまたがって繰り返し登場する処理は次の3つの系統に整理できる。

  • 系統A:「旅人算(追いつき算・出会い算)」で変化の差を処理する問題 2つの異なる速さで変化する温度、水量、角度、距離について、「最初の差」を「1単位あたりに縮まる差(変化率の差)」で割って一致する時刻や高さを求める処理である。
  • 系統B:「消去算・つるかめ算・差集め算」で複合要因を分離する問題 複数の物質の混合物や、光合成と呼吸、葉の表と裏の蒸散、特性の異なる2本のばねなど、複数の要素が重なったデータから「差」や「もし一方だけだったらという仮定」を使って単独の数値を抜き出す処理である。
  • 系統C:「逆比(反比例)・2乗比例・数列規則」で表の法則を適用する問題 積が一定になる反比例(逆比)、時間や速さの2乗に比例する変化、あるいは年ごとに一定の倍率で増減する数列の規則性を表から抽出して当てはめる処理である。

単元ごとに別々の公式を丸暗記するのではなく、初見の実験データに対して「どの算数処理を選択すべきか」を見極める手順を身につけることが、同校の理科を突破する鍵となる。

出題データと全体構造(2006〜2026年度・分野横断の主要15大問一覧)

2006〜2026年度の52試験に出題された4分野の問題の中から、系統A・系統B・系統Cの算数処理が分野を超えて機能している代表的な15大問を整理する。

年度・区分・大問分野・単元テーマ算数処理の系統中心となる条件設定解法の初手と決定的な数理根拠
2026 前期 大問5地学:地球と火星の公転と会合周期系統A
(追いつき算)
地球(公転周期365日)と火星(公転周期687日)が太陽の同じ側に並んでから次に並ぶまでの日数。円周上の追いつき算として、1周(360°)を1日あたりの公転角度の差($\frac{360^\circ}{365} – \frac{360^\circ}{687}$)で割り、約780日を導く。
2026 後期 大問4物理:ばねと斜面運動・最高点の高さ系統C
(逆比・2乗比例)
ばねの縮み・小球の重さ・平面の速さと斜面を上がる最高点の高さの2つの実験表。同じ縮みでは「重さ×高さ」が一定(逆比)、同じ重さでは高さが「縮みの2乗」および「速さの2乗」に比例する関係を連立して重さ16gを逆算する。
2026 推薦 大問2生物:1年草・多年草の生活環と個体数系統C
(数列・規則性)
4月発芽・9月結実・翌年4月100%発芽の条件で、当年12月枯死の1年草と4年目12月枯死の多年草を比較。1年草は2倍ずつ、多年草は親が枯れるまで3倍ずつ増える等比数列を書き出し、多年草の4年目12月に最初の親(6株)が枯れる引き算を組み込む。
2025 前期 大問6物理:水と油の加熱グラフと温度一致系統A+C
(追いつき算・逆比)
同じ熱源で温める容器A(水200g:初期25℃)と容器B(油250g:初期8℃)の温度上昇グラフから、両者の温度が一致する時刻を求める。最初の温度差(17℃)を、100秒あたりの温度上昇の差(油1.8℃−水1.0℃=0.8℃)で割り、2125秒後に追いつくことを算出する。
2025 前期 大問5化学:銅とマグネシウム混合物の酸化系統B
(定比例・差引逆算)
銅とマグネシウムの加熱回数と質量変化表、およびMgとCuの混合物を加熱した後の質量からの逆算。酸化完了時の化合比(Cu:O=4:1、Mg:O=3:2)を確定し、混合物全体が結びついた酸素の質量から各金属の重さを逆算する。
2025 後期 大問3化学:3種金属混合物と塩酸の気体発生系統B
(差引消去算)
Al・Mg・Cuの3種金属混合物ア〜エに塩酸を加えたときの水素発生体積の表。塩酸と反応しないCuを除外したうえで、Alが同量(0.1g)でMgが0.1g異なるア(230mL)とエ(330mL)の差からMg 0.1g=100mLを確定する。
2024 後期 大問4物理:移動する音源・観測者と音の伝播系統A
(旅人算・周期)
サイレンを鳴らしながら動く車からの反射音、無音時間の変化、動く観測者が受け取る音の回数。音の速さと物体の移動速度の「和」や「差」を使い、音が伝わる距離と時間、および音波を受け取る間隔を旅人算で処理する。
2024 前期 大問6化学:2種の炭酸塩混合物と酸・沈殿系統B
(消去算・割合)
炭酸カルシウムと重曹の混合物に塩酸を加えて出るCO₂と、硫酸を加えてできる白色沈殿の重さ。硫酸と反応して沈殿をつくるのは炭酸カルシウムのみであることからその重さを特定し、混合物全体の重さに対する割合(59%)を算出する。
2022 後期 大問1地学:P波・S波と震源距離の幾何計算系統A+C
(速さの差・図形比)
震源が真下60kmにある地点と、離れた観測点におけるP波・S波の到達時刻差から地表距離を求める。到達時刻差から震源距離(60kmと75km)を出し、深さ60km・斜辺75kmの直角三角形の辺の比(3:4:5)から水平距離45kmを導く。
2021 推薦 大問2物理・化学:合金の密度とてこのつり合い系統B+C
(逆比・つるかめ算)
金属球と合金球の質量・体積表と、てこの支点距離、MgとAlの合金球(20cm³・42g)の成分計算。てこの腕の長さの逆比でおもりの重さを求め、合金球については20cm³すべてがAl(密度2.7g/cm³で54g)と仮定した差からつるかめ算で解く。
2021 後期 大問3生物:発芽種子の呼吸とCO₂吸収剤系統B
(連立差引消去)
容器Ⅰ(CO₂吸収剤あり)と容器Ⅱ(吸収剤なし)における密閉容器内の気体減少量グラフの比較。「容器Ⅰ=O₂吸収量」「容器Ⅱ=O₂吸収量−CO₂放出量」と式に表し、ⅠとⅡの差をとることで共通するO₂を消去してCO₂放出量を出す。
2019 推薦 大問1生物:ワセリン塗布実験と蒸散の追いつき算系統B+A
(差引・追いつき算)
葉の表・裏にワセリンを塗った4条件の水減少量と、途中で葉を摘み取った後の残水量の一致時刻。4条件の差引から表(2cm³)・裏(5cm³)・その他(1cm³)を分離し、摘葉時の水量差(2.0cm³)を蒸散速度の差(0.4cm³/時)で割って7時間後を出す。
2019 後期 大問3物理:2本のばねが同じ長さになる条件系統B+C
(差集め算・逆比)
自然長も伸び方も異なるばねA(30cm)・B(40cm)を直列や棒てこ(1:2)につないで同じ長さにする。自然長の差(10cm)を、おもり1gあたりに縮まる長さの差(直列は0.05cm、棒てこは $\frac{1}{12}\text{cm}$)で割り、200gと120gを導く。
2018 後期 大問4物理:金属3種の加熱グラフと比熱の比系統C
(逆比の整数化)
同じ重さの金属A・B・Cを同じヒーターで加熱したときの時間と温度上昇のグラフから比熱の比を求める。同じ熱量を与えたとき、1gを1℃上げるのに必要な熱量(比熱)は「上昇温度の逆比」になる性質を使い、分数を整数比(5:6:15)に直す。
2015 前期 大問4地学:飽和水蒸気量と雲底高度の算出系統A
(追いつき算)
地表の気温27℃・露点11℃の空気が上昇するとき、100mごとの気温減率(1.0℃)と露点減率(0.2℃)から雲の高さを求める。地表での温度差(16℃)を、100m上昇するごとに縮まる差(0.8℃)で割り、20×100m=2000mを算出する。

複数年度・複数分野比較:3つの数理処理系統における解法手順

1. 系統A:「旅人算(追いつき算・出会い算)」を使う問題の共通構造

算数の文章題で学ぶ「旅人算(2人の距離の差 ÷ 2人の速さの差 = 追いつく時間)」は、東邦大東邦の理科では「距離と速さに限らない数値変化」として複数分野にまたがって出題される。

  1. 「距離」が「温度・水量・角度」に置き換わった追いつき算
    • 温度の追いつき算(2025年度前期・大問6[物理]、2015年度前期・大問4[地学]):水と油の加熱グラフでは「最初の温度差(水25℃−油8℃=17℃)」を「100秒あたりの温度上昇の差(油1.8℃−水1.0℃=0.8℃)」で割り、上昇気流の雲発生では「地表の気温と露点の差(16℃)」を「100mあたりの低下温度の差(0.8℃)」で割る。扱っている現象は熱と気象でまったく異なるが、数式の構造は完全に同一である。
    • 水量の追いつき算(2019年度推薦・大問1[生物]):植物の蒸散実験において、途中まで異なる条件で蒸散させたことで生じた「残水量の差(2.0cm³)」を、葉を摘み取った後の「1時間あたりの蒸散量の差(0.4cm³)」で割ることで、残水量が等しくなる時刻が求まる。
    • 角度の追いつき算(2026年度前期・大問5[地学]):太陽のまわりを公転する地球と火星について、地球が火星より1周(360°)多く回って再び追いつくまでの日数(会合周期)は、360°を「地球と火星が1日に進む角度の差」で割る円周上の旅人算そのものである。
  2. 「2つの波の到達時刻の差」と「動く音源・反射板」の旅人算
    • 地震の初期微動継続時間(2008年度前期・大問1、2018年度前期・大問3、2022年度後期・大問1[地学]):P波とS波が同時に震源を出発し、観測点に届く時刻の差(初期微動継続時間)は、1km進むのにかかる時間の差($\frac{1}{V_S} – \frac{1}{V_P}$)に震源距離を掛けたものである。
    • 移動する物体と音(2010年度前期・大問6、2014年度後期・大問3、2024年度後期・大問4[物理]):風があるときの音や、動く車・反射板・観測者が関わる音の問題では、音速(340m/sなど)と物体の速さの「和(向かい合うとき)」や「差(追いかけるとき)」を使って計算する。

2. 系統B:「消去算・つるかめ算・差集め算」を使う問題の共通構造

複数の要素が混ざり合った実験データから1つの要素だけを取り出す処理も、複数分野で確認できる。

  1. 「2つの実験式の引き算(消去算)」による未知量の抽出
    • 化学の混合物(2022年度推薦・大問2、2025年度後期・大問3):複数の金属や炭酸塩の混合物に酸を加える実験では、表の中から「物質Aの重さが同じで、物質Bの重さだけが異なる2つの実験」を見つけ、発生した気体の体積を引き算することで物質B単独の気体発生量を特定する。
    • 生物の対照実験データ(2019年度推薦・大問1、2021年度後期・大問3):ワセリン塗布実験における「無処理(表+裏+葉以外) − 表のみ塗布(裏+葉以外) = 葉の表の蒸散量」や、種子呼吸における「容器Ⅰ:CO₂吸収剤あり(O₂吸収量) − 容器Ⅱ:吸収剤なし(O₂吸収量 − CO₂放出量) = CO₂放出量」も、化学とまったく同じ消去算の構造である。
  2. 「すべて一方の物質だと仮定する(つるかめ算)」による成分比の特定
    • 化学の混合物酸化・気体発生(2012年度前期・大問3、2014年度後期・大問4、2025年度前期・大問5):銅(1gにつき酸素0.25gと化合)とマグネシウム(1gにつき酸素 $\frac{2}{3}\text{g}$ と化合)の混合物を加熱する問題では、「もし混合物全体がすべて銅だったら結びつく酸素は何gか」を計算し、実際の酸素増加量との差を1gあたりの差で割るつるかめ算が機能する。
    • 物理・化学融合の合金密度(2021年度推薦・大問2):マグネシウム(密度1.7g/cm³)とアルミニウム(密度2.7g/cm³)でできた体積20cm³・重さ42gの合金球について、「もし20cm³すべてがアルミニウムだったら $2.7 \times 20 = 54\text{g}$ になるはず」と仮定し、実際の42gとの差(12g)を1cm³あたりの重さの差($2.7 – 1.7 = 1.0\text{g}$)で割ることで、マグネシウムの体積(12cm³)が即座に求まる。
  3. 「1単位あたりの変化の差で初期の差を割る(差集め算)」
    • 物理の2本のばねの同長条件(2009年度前期・大問2、2013年度前期・大問6、2019年度後期・大問3):自然長が30cmのばねA(1gで0.20cm伸びる)と自然長が40cmのばねB(1gで0.15cm伸びる)が同じ長さになるおもりの重さは、最初の自然長の差(10cm)を1gあたりの伸びの差($0.20 – 0.15 = 0.05\text{cm}$)で割る差集め算(200g)で解決する。

3. 系統C:「逆比(反比例)・2乗比例・数列規則」を使う問題の共通構造

表の数値をそのまま1次比例(2倍になれば2倍になる)とみなすと誤答になる問題群であり、理科特有の法則と算数の比の操作を組み合わせる必要がある。

  1. 「積が一定 = 逆比(反比例)」になる4つの頻出場面
    • てこと輪軸のつり合い(物理):「支点からの距離の比」と「つり合う力の大きさの比」は逆比になる(2017推薦・大問2、2019後期・大問3、2024前期・大問7など)。また、容器を横に引いて傾ける実験(2024前期・大問4)でも「引く高さ × ばねの伸び = 一定」の反比例が成り立つ。
    • 同じエネルギーでの重さと最高点の高さ(物理):ばねの縮みを同じにして小球を発射するとき、「小球の重さ × 斜面を上がる最高点の高さ = 一定」となり、重さの比と高さの比は逆比になる(2013前期・大問3、2026後期・大問4)。
    • 同じ熱量での温度上昇と比熱・質量(物理・化学):同じヒーターで同じ時間加熱するとき、「温める水の重さ × 上昇温度 = 一定」となり、また同じ重さの異なる物質であれば「上昇温度の比」の逆比が「1gを1℃上げるのに必要な熱量(比熱)の比」となる(2015前期・大問3、2018後期・大問4、2025前期・大問6)。
    • 水溶液の蒸発濃縮と濃度(物理・化学):溶けている食塩の重さが変わらないとき、「水溶液全体の重さの比」と「濃度の比」は逆比になる(2017推薦・大問2、2026後期・大問2)。
  2. 「2乗に比例する変化」の読み取り
    • 物理の運動と振り子:自由落下の「落下の高さ」は「落下時間の2乗」に比例し(2025前期・大問3)、斜面を上がる「最高点の高さ」は「ばねの縮みの2乗」および「速さの2乗」に比例し(2026後期・大問4)、単振り子の「糸の長さ」は「周期の2乗」に比例する(2006前期・大問5、2012前期・大問5)。
    • 地学の星の明るさ:同じ光度の星を遠くに置いたとき、見かけの明るさは「距離の2乗」に反比例して暗くなる(2012年度前期・大問6)。

授業ではここまで扱う:分野を横断する「追いつき算(初期の差 ÷ 変化率の差)」の3段階手順

東邦大東邦の理科において、一見するとまったく別の分野・単元の問題でありながら、同じ思考手順で解くことができる代表例が「追いつき算」である。

実際の授業では、グラフの交点や「同じ値になる時刻・高さ・日数」を問う問題に出会った際、分野を問わず次の3段階の手順で処理するよう指導している。

【確認する3段階の手順】

  1. 第1段階(スタート時点での「初期の差」を確定する) 変化が始まる最初の時点(または条件が切り替わった時点)において、2つの対象の数値(温度、残水量、角度など)がどれだけ離れているかを引き算で求める。
  2. 第2段階(1単位あたりに縮まる「変化率の差」を確定する) 表やグラフから、1秒(または100秒、1時間、100m、1日)あたりに2つの対象の数値がそれぞれどれだけ変化するかを読み取り、その差(1単位あたりに縮まる量)を計算する。
  3. 第3段階(「初期の差 ÷ 変化率の差」を計算し、設問の単位・起点に合わせる) 第1段階の差を第2段階の変化率の差で割り、「何単位分進めば追いつくか」を算出したうえで、最後に設問で聞かれている単位(100秒単位なら100倍、実験開始からの時間なら途中の時間を加算)に整える。

【3分野・過去問4題への具体的な適用例】

この3段階の手順を、「物理(熱量)」「生物(植物の蒸散)」「地学(気象の雲底高度)」「地学(天体の会合周期)」の3分野・過去問4題に当てはめると、すべて同じ構造で解けることが確認できる。

年度・分野・テーマ第1段階:スタート時点の「初期の差」第2段階:1単位あたりの「変化率の差」第3段階:割り算と設問条件への換算
2025年度 前期
大問6 問(3)
【物理:水と油の加熱】
加熱開始時(0秒)の温度:
・容器A(水200g):25℃
・容器B(油250g):8℃
・初期の温度差:
$25 – 8 = \mathbf{17\text{℃}}$
グラフより、100秒あたりの温度上昇:
・容器B(油250g):1.8℃上昇
・容器A(水200g):1.0℃上昇
・100秒あたりに縮まる差:
$1.8 – 1.0 = \mathbf{0.8\text{℃}}$
17℃の差が縮まるのに必要な回数は、
$17 \div 0.8 = 21.25$(100秒が21.25回分)。
よって、温度が等しくなるのは、
$100\text{秒} \times 21.25 = \mathbf{2125\text{秒後}}$。
2019年度 推薦
大問1 問(5)
【生物:植物の蒸散】
実験開始から2時間後に葉を摘み取った時点での、2本の試験管の残水量の差:
$\mathbf{2.0\text{cm}^3}$
葉を摘み取った後の、1時間あたりの水減少量(蒸散速度):
・一方:0.6cm³/時
・他方:0.2cm³/時
・1時間あたりに縮まる差:
$0.6 – 0.2 = \mathbf{0.4\text{cm}^3}$
摘葉してから追いつくまでの時間は、
$2.0 \div 0.4 = 5\text{時間}$。
設問は「実験開始から何時間後か」を問うているため、最初の2時間を足して、
$2 + 5 = \mathbf{7\text{時間後}}$。
2015年度 前期
大問4
【地学:雲ができる高さ】
地表(高さ0m)における空気の状態:
・気温:27℃
・露点:11℃
・初期の温度差:
$27 – 11 = \mathbf{16\text{℃}}$
空気が100m上昇するごとの低下量:
・気温:1.0℃ずつ下がる
・露点:0.2℃ずつ下がる
・100mあたりに縮まる差:
$1.0 – 0.2 = \mathbf{0.8\text{℃}}$
16℃の差が0℃(気温=露点)になるまでの上昇回数は、
$16 \div 0.8 = 20$(100mが20回分)。
よって、雲ができ始める高さは、
$100\text{m} \times 20 = \mathbf{2000\text{m}}$。
2026年度 前期
大問5 問(3)
【地学:火星の会合周期】
太陽・地球・火星が一直線に並んでから、内側の地球が1周多く回って再び追いつくまでに必要な角度の差:
$\mathbf{360^\circ}$
1日あたりに公転する角度:
・地球:$\frac{360^\circ}{365\text{日}}$
・火星:$\frac{360^\circ}{687\text{日}}$
・1日あたりに縮まる角度の差:
$\frac{360^\circ}{365} – \frac{360^\circ}{687}$
360°の差に追いつく日数は、
$360 \div \left(\frac{360}{365} – \frac{360}{687}\right)$
$= \frac{365 \times 687}{687 – 365} \fallingdotseq \mathbf{780\text{日}}$。

重要なのは、「熱の問題」「植物の問題」「気象の問題」「天体の問題」と別々に記憶するのではなく、「2つの値が異なる速さで変化して一致する点を探すときは、常に『最初の差 ÷ 単位あたりの変化の差』を使う」という共通の判断基準を持っておくことである。

東邦大付属東邦中・理科(分野横断・計算処理)の対策と復習手順

東邦大東邦の理科で合格点を確保するためには、4分野の基礎知識を固めたうえで、初見のデータ問題を制限時間内に処理する訓練が不可欠である。日々の過去問演習と復習では、次の3つの手順を実践することが有効である。

  1. 過去問の解き直しでは「どの算数の道具を使ったか」を問題の上にメモする 間違えた計算問題を復習する際、解説の式をただ写すのではなく、「この問題は『追いつき算』で解く」「この表は『銅を除外した消去算』で解く」「ここは『重さと高さの逆比』を使う」というように、使った数理処理の名前を問題番号の横に書き込む習慣をつける。これにより、別の分野で同じ構造の問題に出会ったときに解法がすぐに引き出せるようになる。
  2. 試験開始後の「時間配分」と「問題の取捨選択」の基準を決めておく 近年の前期入試は45分間で20問、後期入試と推薦入試は10問の構成となっている。ただし、年度によって設問数は異なるため(2017年度前期の24問など)、過去問演習では各年度の問題数に応じて時間配分を調整する必要がある。各大問の最後の1問(たとえば複数回の抽出を繰り返す問題や、複雑な場合分けを伴う計算問題)には処理に時間がかかる設問が含まれることがある一方、各大問の前半〜中盤の設問は「表の比例区間や折れ点の読み取り」「基本知識の組み合わせ消去」で確実に得点できる。1つの難問で立ち止まって後半の大問の標準問題を落とすことがないよう、すべての大問の前半・中盤を先に固める時間配分を徹底する。
  3. 前期・後期・推薦の3区分を横断して「同じ計算の型」を反復する 本記事の一覧表で確認したとおり、同校では前期・後期・推薦の試験区分をまたいで同じ数理処理(追いつき算、差引消去算、2乗比例、逆比など)が繰り返し出題されている。自分が受験する試験区分の過去問だけでなく、他区分の過去問も「算数の解法手順を再現するトレーニング素材」として活用することが、本番での対応力を高める効果的な対策となる。

▼ 東邦大学付属東邦中学校・理科 分析記事シリーズ一覧&詳細対策レポートのご案内

本記事を含め、東邦大学付属東邦中学校・理科の21か年(2006〜2026年度・全52試験)を徹底分析した全6本の記事シリーズを公開している。全体像の把握や弱点分野の重点対策として、以下の各記事をあわせて活用してほしい。

▼ 【全体総括】21か年・52試験の全体構造と全36単元の出題履歴・2027年度注目単元

東邦大学付属東邦中学校・理科|2006〜2026年度(全52試験)過去問分析と出題傾向・2027年度出題予想

▼ 【物理・力学編】「静的な力のつり合い」と「動的な運動・エネルギー」の解き分け

東邦大学付属東邦中学校の理科(物理・力学)対策|ばね・てこ・浮力の「力のつり合い」と「運動・エネルギー」の解き方

▼ 【化学計算編】中和・気体発生・溶解度における「過不足の境界」と「混合物の分離」

東邦大学付属東邦中学校の理科・化学の計算問題を攻略|中和・気体・溶解度の「過不足」と「混合物」の解法手順

▼ 【生物・実験考察編】植物・人体・動物行動における「対照実験」と「差引計算」

東邦大学付属東邦中学校の理科(生物)実験考察対策|植物・人体・動物行動の「対照実験」と「差引計算」の勉強法

▼ 【地学・後期大問1編】天体の視点変換・地震・地層・気象の計算と後期大問1の戦略

東邦大学付属東邦中学校の理科(地学)分野別対策|天体・地震・地層・気象の計算と後期大問1の得点戦略

なお、2027年度入試に向けて「前期・後期・推薦ごとに具体的にどの実験設定・計算テーマを第1候補〜第3候補として優先復習すべきか」「過去52試験で出題が確認できない空白テーマや、直前期に演習量を減らせる単元・形式は何か」、さらに「各予想単元に対応する2006〜2026年度の過去問(年度・区分・大問番号)の一覧リスト」をまとめた詳細レポート(PDF版)は、以下のnoteにて提供している。直前期の学習計画と優先順位の判断に役立ててほしい。

▼ 【note】2027年度 東邦大学付属東邦中学校・理科|21か年(全52試験)全設問データベースから導く「試験区分別・詳細出題予想&直前対策優先度レポート」(PDF版)

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この記事を書いた人

習志野受験研究所 所長/新・個別指導アシスト習志野校 塾長

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