【千葉県公立高校入試・歴史】近現代史の記述問題の書き方|文中空欄補充6問の接続ルールと用語記述24単位の分析

※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。

導入:歴史の背景を理解していても記述で減点・失点するのはなぜか

高校入試の社会科対策において、歴史の流れや出来事の背景を丁寧に学習し、問題集で記述問題の練習に取り組んでいる受験生は多い。しかし、それでも実際の入試問題や模擬試験になると、「内容は分かっているのに20〜25字の字数制限にうまく収まらない」「空欄の前後と文のつながりが不自然になり減点される」といった課題に直面することが少なくない。また、用語を答える記述問題でも、文字種(カタカナ・漢字)や字数の指定によって思わぬ失点が生じることがある。

千葉県公立高校入試の近現代史大問(2012〜2026年度の15年間・全24試験・113設問・125解答単位)における記述問題の出題データを検証すると、学習した知識を実際の得点に結びつけるうえで押さえておきたい構造上の特徴が2つ確認できる。

1つ目は、指定語句を用いて理由や仕組みを説明する「短文記述問題(全6問)」が、6問すべて例外なく「資料やまとめ文の途中にある空欄[ ]を補う形式(文中空欄補充型)」で出題されている点である。独立した一文を最初から最後まで書く形式ではなく、空欄の直前・直後の語句と文法的に正しくつながるように答案を組み立てる処理が求められる。

2つ目は、歴史用語などを書かせる「用語記述問題(全24解答単位※用語・数値などの短答記述を含む)」において、2018年度以降は出題された8試験のうち6試験を「カタカナ語」が占め、残る2試験を「漢字4字指定」が占めている点である。明治初期の国内改革や人物名を漢字で書かせる出題が中心だった時期から、第一次世界大戦・世界恐慌・第二次世界大戦に関わる世界史・国際関係用語や大正期の思想の記述へと比重が移っている。

本稿では、過去15年間・全24試験の近現代史大問で出題された短文記述6問と用語記述24単位の実問データに基づき、文中空欄補充型の接続ルール、過年度の選択肢や問題文と知識が重なる事例、および用語記述で優先すべき対策を整理する。

(※分析対象は、2012年度前期〜2025年度の大問5[23試験]および2026年度の大問3[1試験]の計24試験である。古代〜近世史を中心とする別大問は本稿の集計対象外としている。)

出題データ:15年間・24試験における記述問題(計30単位)の全体像

2012年度から2026年度までの全24試験(125解答単位)において、選択・並べ替え以外の「記述形式」で解答が求められたのは、短文記述6単位(6問)と用語記述24単位の計30解答単位(全体の24.0%)である。

時期ごとの出題数の推移は以下の通りである。

期間区分対象試験数短文記述用語記述記述合計
2012前〜2016後10試験2単位14単位16単位
2017前〜2020後8試験2単位7単位9単位
2021〜20266試験2単位3単位5単位
全期間合計24試験6単位24単位30単位

※本稿における「用語記述(24単位)」には、歴史用語のほか年齢などの数値解答を含む短答記述全般を含めている。また、1つの小問内に複数の記述解答欄がある設問は解答単位ごとに集計している。

2012〜2016年度は1試験あたり複数個の用語記述が出題される年度が多かったが、2017年度以降は記述問題の出題数が比較的少なくなっている。ただし、同一試験内で複数の解答単位が設けられる場合や、短文記述と用語記述の両方が出題される場合もある(なお、2025年度および2026年度の近現代史大問では記述問題の出題がなく、他大問で記述が出題される配分となった)。出題数が絞られているからこそ、出題された問題を落とさず得点するための処理手順を固めておく価値が高い。

短文記述(全6問)の分析:すべて「文中空欄補充型」で出題されている

まず、15年間で出題された近現代史の短文記述問題(全6問)の条件と正答例を一覧で確認する。

年度・設問テーマ指定語句字数制限空欄直後の語句
2013前期(5)第一次石油危機戦争・石油25字以内、日本経済が
2015後期(2)米騒動の原因シベリア出兵・米25字以内ために
2017後期(4)農地改革の仕組み国・小作人・価格25字以内ことによって、
2018後期(2)帝国主義の定義資源・市場・軍事力25字以内を広げていった。
2022年度(5)講和と独立回復日本25字以内を回復した。
2023年度(4)満州国の統治実態元首・実権20字以内が握った。

この6問には、答案を作成するうえで押さえておきたい3つの共通構造がある。

1. 文末を「〜から。」「〜ため。」で結ぶ独立文ではなく、空欄直後の言葉に接続させる

一般的な問題集の記述問題では、「なぜ米騒動が起きたのか説明しなさい」という問いに対して「〜が行われたから。」と文末を句点(。)で結ぶ練習をすることが多い。

しかし、千葉県の近現代史で出題された6問は、すべてカードやまとめ資料の文章中に空欄[ ]が設けられており、空欄の直後に続く言葉と一文として自然につながるように書く形式で統一されている。そのため、空欄の直後に何が書かれているかを確認せずに「〜したから」「〜したため」と書いてしまうと、文脈がねじれて減点や不正解の原因となる。

2. 空欄直後の語句から逆算する「3つの接続パターン」

過去6問の文脈接続は、空欄直後の言葉によって次の3つのパターンに分類できる。

パターン①:格助詞「を」「が」に接続する【名詞止め型】(2018後期・2022・2023)

直近3回の短文記述(2018年後期・2022年・2023年)は、すべて空欄の直後が「を(動詞)」「が(動詞)」となっており、空欄の末尾を名詞で止める形式である。

  • 2018年度 後期選抜 大問5 問2(指定語句:資源・市場・軍事力/25字以内)
    • 原文構造:「列強は、アジアやアフリカなどへ[ 資源や市場を求めて進出し、軍事力によって植民地 ]を広げていった。」(23字)
    • 接続処理:空欄直後が「を広げていった。」であるため、「広げていった」の目的語となる名詞「植民地」で空欄を結ぶ。
  • 2022年度 大問5 問5(指定語句:日本/25字以内)
    • 原文構造:「吉田茂内閣が、48か国と結んだ[ サンフランシスコ平和条約により、日本は独立 ]を回復した。」(21字)
    • 接続処理:この問題は空欄の直前と直後の両方に注意が必要である。空欄直前の「48か国と結んだ」という連体修飾を受けるため、空欄の先頭には条約名である「サンフランシスコ平和条約」を置く。そして空欄直後の「を回復した。」の目的語となるよう、空欄の末尾は「日本は独立」と名詞で止める。
  • 2023年度 大問5 問4(指定語句:元首・実権/20字以内)
    • 原文構造:「1932年につくられた満州国は、清の[ 最後の皇帝を元首としたが、実権は日本 ]が握った。」(18字)
    • 接続処理:空欄直前に「清の」が印刷されているため「最後の皇帝を元首としたが、」と受け、空欄直後の述語「が握った。」の主語となる名詞「日本」が空欄の最後に来るように「実権は日本」と逆接でつなぐ。
パターン②:「ために」「ことによって、」に接続する【動詞・助動詞の連体形型】(2015後期・2017後期)

空欄の直後が原因・理由を表す「ために」や手段・契機を表す「ことによって、」となっている場合は、空欄の末尾を動詞・助動詞の過去形(連体形:「〜た」「〜れた」)で結ぶ。

  • 2015年度 後期選抜 大問5 問2(指定語句:シベリア出兵・米/25字以内)
    • 原文構造:「物価の上昇が続く中、[ シベリア出兵をみこして、米の買い占めが行われた ]ために大幅に米価が上昇した。」(23字)
    • 接続処理:直後の「ために」へつながるよう、文末を「〜が行われた」で止め、その中に「シベリア出兵」と「米」を組み込む。
  • 2017年度 後期選抜 大問5 問4(指定語句:国・小作人・価格/25字以内)
    • 原文構造:「地主がもつ小作地を、強制的に[ 国が買い上げて、小作人に安い価格で売り渡した ]ことによって、多くの自作農が生まれた。」(22字)
    • 接続処理:空欄直前の「小作地を、強制的に」を受けるため、「国が買い上げて、」から書き始め、直後の「ことによって、」へつながるように「小作人に安い価格で売り渡した」と結ぶ。
パターン③:読点「、」で後続文に並立・接続する【連用中止形型】(2013前期)
  • 2013年度 前期選抜 大問5 問5(指定語句:戦争・石油/25字以内)
    • 原文構造:「1973年に中東で[ 戦争が起こった影響から、石油価格が上昇し ]、日本経済が大打撃を受けると」(20字)
    • 接続処理:空欄直前の「1973年に中東で」を受けて「戦争が起こった影響から、」と続け、直後の読点と「日本経済が大打撃を受けると」へ自然につながるよう、文末を「石油価格が上昇し」と連用中止形で止める。

3. 短文記述6問のうち3問で、過年度の選択肢・問題文との知識の重なりが確認された

この短文記述問題においても、過年度の過去問で扱われた知識との重なりが確認できる。2015年度以降に出題された5問のうち、以下の3問は、それ以前の過去問の「誤答選択肢(分類C)」「問題文の与件(分類B)」「正答選択肢(分類A)」に含まれていた内容と重なっており、同じ歴史知識が異なる形式で問われたものであった。

  • 2017年度後期(4)「農地改革」:3年前の2014年度前期(5)の誤答選択肢ウに「農地改革により、地主の土地が小作人に安く売り渡され、自作農が増えた。」という文が登場していた。2017年度後期では、これに「国が買い上げて」という仕組みを加えた短文記述が出題された。
  • 2022年度(5)「サンフランシスコ平和条約と独立回復」:3年前の2019年度後期の大問5カードCに「敗戦後はサンフランシスコ平和条約で独立を回復し」という問題文(与件B)が記載されていた(さらに9年前の2013年度後期カードDにも「サンフランシスコ平和条約に調印し、日本の独立を回復させた」と記載)。
  • 2023年度(4)「満州国の統治実態」:6年前の2017年度前期(3)の正答選択肢ウに「清の最後の皇帝溥儀を元首とする満州国の建国を宣言させた。」という文が登場していた。2023年度では、この前半部分に「実権は日本が握った」という後半要件を組み合わせた20字以内記述が出題された。

過去問の選択肢やカード本文を読む際、「なぜそうなるのか」「どのような仕組みか」という一文の構造まで意識して復習しておくことが、そのまま短文記述対策として機能する。

用語記述(全24単位)の分析:2018年以降は「カタカナ語」と「漢字4字」に集中

次に、歴史用語などを書かせる「用語記述問題(全24解答単位)」の出題傾向を分析する。

2012〜2017年度の前半6年間(12試験・計16単位)では、内訳を排他的に分類すると、日本国内の法令・条約・人物・地名などを漢字のみで書かせる出題が10単位(「廃藩置県」「徴兵令」「学制」「征韓論」「日米修好通商[条約]」「陸奥宗光」「犬養毅」「下関」「臣民」など)、カタカナ語のみの出題が4単位(「アメリカ」「イギリス」「ロシア」「バルカン」)、カタカナ・漢字のどちらも可の出題が1単位(「ニューディール」または「新規まき直し」)、算用数字の出題が1単位(普通選挙法の年齢要件「25」)となっており、漢字で答える国内史中心の出題が過半を占めていた(合計:10+4+1+1=16単位)。

ところが、2018年度から2026年度までの直近9年間(12試験)で用語記述が出題された8試験(計8単位)を見ると、出題される用語の性質が大きく変化している。

2018〜2026年度に出題された用語記述(全8単位)の一覧

年度・設問問われた内容正答用語指定条件
2018前期(1)1919年パリ講和会議でドイツと結ばれた条約ベルサイユ(ヴェルサイユ)カタカナ指定
2019前期(3)第一次大戦後の伊・独で勢力を強めた独裁体制ファシズムカタカナ5字指定
2019後期(2)大正デモクラシー期に吉野作造が説いた主張民本主義漢字4字指定
2020前期(4)パリ講和会議で唱えられた各民族の独立原則民族自決漢字4字指定
2020後期(2)ナチスの迫害から逃れ杉原千畝がビザを発給した民族ユダヤ(人)カタカナ3字指定
2021年度(2)ロシア革命に干渉し米騒動の契機となった出兵シベリア(出兵)カタカナ4字指定
2023年度(3)1921〜22年に開かれ山東省権益返還等につながった会議ワシントン(会議)字種指定なし
2024年度(2)1919年パリ講和会議でドイツと結ばれた条約ベルサイユ(ヴェルサイユ)カタカナ指定

この一覧から、直近の用語記述対策として重要な3つの事実が確認できる。

1. 2018年以降の用語記述は「カタカナ語(6/8試験)」と「漢字4字(2/8試験)」のみ

2018年度以降に出題された8単位のうち、6単位(75.0%)が「カタカナ語(外国の地名・条約名・政治体制・民族名)」であり、残る2単位(25.0%)が「漢字4字指定の思想・原則名」である。

しかも、8単位の出題内容は、第一次世界大戦前後の国際関係や大正期の社会思想、1930年代以降のファシズム・第二次世界大戦に関する事項に集中している。近現代史の大問全体において世界史・対外関係に関わる設問が多いという特徴が、用語記述において顕著に表れているといえる。

2. カタカナ用語は「長音(ー)・促音(ッ)・文字数指定」まで正確に覚える

2017年前期(5)の「バルカン(カタカナ4字)」、2019前期(3)の「ファシズム(カタカナ5字)」、2020後期(2)の「ユダヤ(カタカナ3字)」、2021年度(2)の「シベリア(カタカナ4字)」のように、千葉県のカタカナ記述では「カタカナ○字で書きなさい」という字数指定が伴うことが多い。

うろ覚えで「ファッシズム(6字)」や「シベリヤ」と書いてしまうと失点につながるため、近現代史の重要カタカナ語(ベルサイユ、ワシントン、ジュネーブ、ニューディール、ファシズム、バルカン、シベリア、パレスチナ、サラエボ、ポツダム、サンフランシスコ、マルタなど)は、普段の演習から正確な文字数と表記で書く習慣をつけておきたい。

3. 用語記述でも過年度の問題との知識の重なりが確認される

短文記述と同様に、用語記述でも過年度の問題で登場した知識が再び問われている事例が確認できる。

  • ベルサイユ条約(2018年前期(1) → 2024年度(2)):2018年前期(1)と6年後の2024年度(2)は、ともに「パリ講和会議でドイツと結ばれ、多額の賠償金の支払いを課した条約」をカタカナで記述させる問題であり、問われ方から解答形式まで共通していた(さらに2012年前期年表C、2014年後期(3)イ、2022年度年表にも登場)。
  • シベリア出兵(2015年後期(2)・2017年前期(2) → 2021年度(2)):2015年後期(2)の短文記述で指定語句として使われ、2017年前期(2)の4選3整序で期間外の除外選択肢(分類C:「ロシア革命の干渉に乗り出すと、日本もシベリア出兵を行った」)として登場していた知識が、2021年度(2)では「ロシア革命に干渉する、[ シベリア ]出兵を見こした米の買い占めなどにより」というカタカナ4字記述の正答として出題された。
  • ワシントン会議(2015年後期(4)・2019年前期(1)・2022年度(4) → 2023年度(3)):2015年後期と2019年前期で誤答選択肢(分類C)として登場し、2022年度(4)で年代整序の正答となった翌年の2023年度(3)に、用語記述として出題された。

本番で再現する「近現代・記述問題」3ステップ解法手順

15年間・30単位の出題データから、近現代史の記述問題に取り組む際は以下の手順で処理を行うことで、文脈のねじれや条件見落としによる失点を減らすことができる。

  1. 【ステップ1】設問文の「指定条件(指定語句・字数・文字種)」に丸をつける
    • 短文記述の場合:指定語句がいくつあるか(1〜3語)、制限字数が「25字以内」か「20字以内」かを最初に確認し、指定語句に丸をつける。
    • 用語記述の場合:「漢字2字」「漢字4字」「カタカナ4字」などの文字種・字数指定があるかを確認する。また、解答欄の直後に「条約」「会議」「半島」「出兵」などの言葉があらかじめ印刷されているかを確認し、二重書き(例:[ベルサイユ条約]条約)を防ぐ。
  2. 【ステップ2】空欄の「直前の言葉」と「直後の言葉」を確認し、文末の形を先に決める(短文記述)いきなり書き始めず、空欄の直後を見て文末の形を確定させる。
    • 空欄直後が「を〜」「が〜」なら → 名詞止め(例:「〜植民地」[を広げていった]、「〜日本は独立」[を回復した]、「〜実権は日本」[が握った])。
    • 空欄直後が「ために」「ことによって、」なら → 動詞・助動詞の過去形(連体形)止め(例:「〜行われた」[ために]、「〜売り渡した」[ことによって])。
    • 空欄直後が「、」なら → 連用中止形止め(例:「〜価格が上昇し」[、日本経済が])。あわせて、空欄の直前に「清の」「強制的に」「48か国と結んだ」などの修飾語がある場合は、空欄の先頭がその言葉と自然につながるかを確認する。
  3. 【ステップ3】指定語句をすべて使い、完成した文を「空欄前後とつなげて」通読・字数確認する下書きした答案に指定語句がすべて含まれているか(別の言葉に言い換えてしまっていないか)を確認したうえで、必ず「空欄の前の文 + 自分の答案 + 空欄の後の文」を頭から続けて読み、日本語の主語と述語がねじれていないかを点検する。最後に句読点を含めた字数が制限内に収まっているかを数えて清書する。

過去問や問題集を復習する際も、正解の用語や記号を確認するだけでなく、「その出来事の原因や仕組みを、空欄の前後に合わせて20〜25字で説明するとどうなるか」「カタカナや漢字4字で字数通りに正確に書けるか」まで確認しておくことが、近現代史の記述問題で安定した得点につながる。

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この記事を書いた人

習志野受験研究所 所長/新・個別指導アシスト習志野校 塾長

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