※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。
【共通テスト英語リーディング】第1問を6年分析|2021~2026年の解答・出題構造と解法手順
導入:第1問の特徴と分析軸
共通テスト英語リーディングの第1問は、試験全体の導入部に位置づけられ、短い実用文や日常的なメッセージを題材とした情報処理能力を測定する大問である。
単語や文法知識を単独で問うセンター試験時代の第1問(発音・アクセント)や第2問(文法・語法)とは異なり、共通テストでは「特定の目的を持った読み手が、提示された複数の条件や発言の中から必要な情報を特定し、選択肢と照合できるか」という実用的な読解手順が問われる。
本稿では、2021年度から2026年度までの本試験6回分の出題データを網羅的に検証する。
分析の軸とするのは、以下の3点である。
- 資料形式と大問規模の変遷:2024年度までの「A・Bの2部構成(計10点)」から、2025年度の新課程移行・8大問化と同時に確認された「単一構成(計6点)」への構造変化。
- 視覚情報の扱い:本文中の構造化資料(表)の読み取りから、2025・2026年度で確認された「言語記述からイラストを選択させる設問」への展開。
- 共通する情報照合処理:形式の変化にかかわらず、全6カ年で一貫して機能している「検索条件の特定と選択肢照合の手順」の客観的な検証。
単語や大意がなんとなく把握できただけでは、選択肢で行われる言い換えや限定条件を正確に見分けることはできない。本番の試験時間内で着実に正答へ到達するためには、提示された条件をどのような順序で確認し、どの処理を選択すべきかという客観的な思考手順が必要となる。
出題データと全体構造
2021年度から2026年度までの共通テスト英語リーディング第1問における出題形式、題材、要求された主たる処理を以下に整理する。
| 年度 | 大問番号・配点 | テキスト形式 | 題材・テーマ | 解法の初手 | 決定的な根拠 | 処理上の特徴 |
| 2026 | 第1問(6点・3問) | メッセージ交換(4名) | ダンス大会の衣装決定 | 設問リード文から検索条件(safety / Val, second half / tomorrow first)を特定 | ・Pat: dangerous, Val: fall off ・Val: take off check shirts to show black tank tops ・You: talk with instructor before rehearsal tomorrow | 複数話者による提案・懸念の連鎖、言語情報からイラストへの変換照合 |
| 2025 | 第1問(6点・3問) | パンフレット(単一資料) | 淡水水槽の装飾手順(初心者向け) | 設問リード文から検索条件(benefit / keep fish in good health / fish from slow-moving water)を特定 | ・Beginners! / Start your wonderful hobby… ・cover 50-70% of the area ・slow-moving: prefer soft objects like plants / tall at back, short at front / space around edges | 対象読者の特定、被覆割合の論理的言い換え、生息環境適合と配置ルールの複合照合(イラスト選択) |
| 2024 | 第1問A・B(10点・5問) | A:イベントチラシ B:観光ツアー案内(3コース) | A:国際交流イベント B:市内日帰りツアー | 設問リード文から検索条件を特定 (A:free of charge / can do) (B:Yentonville has / all three tours / newest place) | A:・TELS students don’t need to pay… present student ID ・use facial expressions and their hands to communicate B:・Arts District内にArt Galleryと向かいのBruton Concert Hall ・3ツアー全てに屋内・屋外施設が含まれる ・Hockey Arena: completed last fall | 免除条件特定、上位概念への言い換え、3ツアー横断による共通項抽出、年代表現の新旧比較 |
| 2023 | 第1問A・B(10点・5問) | A:学校配布プリント B:英語キャンプWebサイト | A:観劇公演選択(2公演) B:高校生向け夏期キャンプ要項 | 設問リード文から検索条件を特定 (A:told to do / both performances) (B:All GIS instructors / last day / after submitting) | A:・Fill in the form below and hand it in to your teacher today ・Actors available to talk… / greet the cast in their costumes B:・taught in several countries / worked in NYC, London, Sydney / coach in many countries ・speech contest / perform skit / short debate (in front of all campers) ・Step 2: interview to assess your English ability | 提出指示の把握、並列項目の横断比較(Both / All)、活動の包括的抽象化、手順ステップ(時系列)の把握 |
| 2022 | 第1問A・B(10点・5問) | A:料理本果物解説 B:動物園Web告知 | A:ブラジルの果物4種 B:キリンの命名コンテスト | 設問リード文から検索条件を特定 (A:Both cupuaçu and buriti / sour cake) (B:between / submitting … must / five finalists) | A:・Great for desserts, such as cakes / Best for ice cream, cakes… ・jabuticaba: After they get sour, use them for… cakes B:・accepted starting at 12:00 a.m. on June 1 until 11:59 p.m. on June 7 ・Each submission is $5 ・receive free one-day zoo passes | 2果物共通項、味×用途の複合条件検索、除外条件(only)の識別、義務(must)と推奨の峻別 |
| 2021 | 第1問A・B(10点・5問) | A:携帯メッセージ交換 B:ファンクラブWebサイト | A:USBメモリの捜索 B:ファンクラブ加入要項 | 設問リード文から検索条件を特定 (A:Julie’s request / reply to Julie’s second…) (B:New Member’s Pack / new Pacer member / after… one year) | A:・Can you bring my USB to the library? ・What a relief! B:・arrive a week or so after you join ・Pacer列:上段3項目(メール、早期案内、動画) ・at a 50% discount | 依頼表現の特定、対話文脈への共感応答、期間の同義言い換え、マトリクス表の照合、割合(半額)の換算 |
全問解答一覧(2021~2026年度)
2026年度(配点:各2点 / 計6点)
- 問1[解答番号 1]:③
- 問2[解答番号 2]:①
- 問3[解答番号 3]:②
2025年度(配点:各2点 / 計6点)
- 問1[解答番号 1]:④
- 問2[解答番号 2]:②
- 問3[解答番号 3]:④
2024年度(配点:各2点 / 計10点)
- A 問1[解答番号 1]:④
- A 問2[解答番号 2]:①
- B 問1[解答番号 3]:④
- B 問2[解答番号 4]:③
- B 問3[解答番号 5]:①
2023年度(配点:各2点 / 計10点)
- A 問1[解答番号 1]:①
- A 問2[解答番号 2]:④
- B 問1[解答番号 3]:③
- B 問2[解答番号 4]:④
- B 問3[解答番号 5]:③
2022年度(配点:各2点 / 計10点)
- A 問1[解答番号 1]:①
- A 問2[解答番号 2]:③
- B 問1[解答番号 3]:②
- B 問2[解答番号 4]:②
- B 問3[解答番号 5]:①
2021年度(配点:各2点 / 計10点)
- A 問1[解答番号 1]:①
- A 問2[解答番号 2]:②
- B 問1[解答番号 3]:④
- B 問2[解答番号 4]:④
- B 問3[解答番号 5]:③
2026年度 詳細解説と思考手順
最新の2026年度第1問を対象に、初見問題へ転用可能な思考手順(設問要求の特定 → 根拠箇所のスキャン → 照合と確定)を順を追って解説する。
問1[解答番号 1](配点 2点)
- 手順1(設問要求): リード文 Which two people are worried about the safety of the dancers? を確認。ダンサーの「安全性(safety)」について懸念を示している2名を特定することを要求している。
- 手順2(検索条件の固定と該当箇所のスキャン): 4名のメッセージから、「危険・安全」に関連する語彙を素早く探す。
- 手順3(根拠の抽出と照合):
- Patの第2発言:“Our dance has jumping and twisting, so necklaces might be dangerous.”(ネックレスは危険かもしれない)
- Valの発言:“Mmm, sunglasses might make it hard to see. We might fall off the stage.”(サングラスは見えにくく、ステージから落ちるかもしれない)
- Patが dangerous、Valが fall off the stage により安全上の懸念を示していることが確認できる。
- 手順4(確定): 該当する2名はPatとValであるため、正解は③となる。
問2[解答番号 2](配点 2点)
- 手順1(設問要求): リード文 According to Val’s suggestion, how would the costumes look during the second half of the performance? を確認。「Valの提案」「公演の後半(second half)」における衣装の状態を示すイラストを選択するタスクである。
- 手順2(検索条件の固定と該当箇所のスキャン): Valの発言に絞り込み、後半部分(ヒップホップパート)に関する衣装の指示文を追跡する。
- 手順3(言語情報から視覚要素への変換):
- 直前のPatによるサングラス提案に対し、Valは sunglasses might make it hard to see と否定的な懸念を示しているため、サングラスは着用しない。
- その上で、Valは “Right before the hip-hop part starts, we could take off the check shirts to show black tank tops inside.” と提案している。
- したがって、後半の衣装は「サングラスなし」「チェックシャツを脱ぐ」「黒のタンクトップが見える状態」となる。
- 手順4(確定):選択肢のイラストを照合すると、
- ②・③:チェックシャツを着たままであり不適。
- ④:サングラスを着用しており不適。
- ①:サングラスをかけず、チェックシャツを脱いで黒のタンクトップ姿になっている。 よって、正解は①となる。
問3[解答番号 3](配点 2点)
- 手順1(設問要求): リード文 which of the following will your team probably do first tomorrow? を確認。「明日、チームが最初に行う可能性が高い行動」を特定する時間関係の判定である。
- 手順2(検索条件の固定と該当箇所のスキャン): 時間表現 tomorrow を含む最後のYouの発言を参照する。
- 手順3(時間関係の論理整理):
- Youの発言:“Let’s not forget to talk with our instructor before we make the final decision about what costumes to buy.”(買う衣装を最終決定する前に講師と話すことを忘れないようにしよう)
- 続く文:“She said she’s available before rehearsal tomorrow.”(講師は明日のリハーサル前なら都合がつくと述べていた)
- 2つの before(接続詞が導く節と前置詞句)から、「講師への相談」は少なくとも「リハーサル」と「衣装の最終決定」の双方より前に行われることが分かる。
- 手順4(確定): 明日最初に行う行動は「講師への相談」であるため、②の Consult with the instructor(講師に相談する)が合致する。正解は②となる。
複数年度比較:6カ年で確認された出題構造の変化と共通項
2021年度から2026年度までの6年分のデータを比較すると、制度再編に伴う表面的な変化と、試験として一貫して測定されている出題構造が確認できる。
1. 制度再編に伴う変化(旧構成 vs 新課程)
- 大問構成と配点: 2021~2024年度は全年度で「A(2問・4点)+B(3問・6点)」の計5問・10点構成であったが、2025年度の8大問化と同時に、第1問は単一資料による「計3問・6点」構成へと変更された。
- イラスト選択肢の導入: 選択肢そのものがイラストとなる形式は、2021~2024年度の本試験には確認されず、2025年度に初めて確認され、2026年度も継続した。
- 2025年問3:魚の生息環境(流れの遅い水域=植物を好む)と配置条件(端に空間、背の高いものは後方・低いものは前方)を重ね合わせた水槽イラストの特定。
- 2026年問2:会話文の懸念(サングラス除外)と提案(チェックシャツを脱ぎ黒タンクトップ)を反映した衣装イラストの特定。
- 横断比較設問の推移: 2022~2024年度では、並列された複数の項目から共通項を抽出させる設問が3年連続で確認された(2022年A問1、2023年A問2・B問1・B問2、2024年B問2)。一方、2025・2026年度の単一構成では、並列された複数対象の横断比較ではなく、単一資料内の「複数条件の掛け合わせ」によって絞り込ませる形式へと変化している。
2. 全6カ年で確認された出題構造と、そこから導く基本処理
形式や配点の変化にかかわらず、全6カ年において以下の出題構造が一貫して確認できる。
- 設問が検索対象を指定する構造: 全6カ年で、設問は特定の人物・対象・条件・時間などを指定し、それに対応する情報を本文から特定させている。この構造から、実戦では設問を先に確認して検索条件を固定し、本文の該当箇所を絞って照合する方法が有効である。
- 選択肢における表現の言い換え: 正解選択肢では、本文表現が別の表現へ言い換えられている例が複数確認できる。
- 同義言い換え:a week or so → about seven days(2021 B問1)、free one-day zoo passes → get free entry to the zoo for a day(2022 B問3)
- 上位概念化(包括的抽象化):use facial expressions and their hands → gestures(2024 A問2)、speech / skit / debate → what they learned(2023 B問2)、actors / cast → performers(2023 A問2)
- 条件の論理変換:cover 50-70% of the area → provide the right amount of open space(2025 問2)、50% discount → at half price(2021 B問3)
3. 年度によって加わる条件処理
基本構造に加え、各年度の出題形式に応じて以下のような個別条件の処理が組み合わされている。
- 限定詞・義務と推奨の峻別:only(~にのみ[2022 A問2])、must(義務と推奨の峻別[2022 B問2])。
- 文脈上の懸念事項:dangerous / hard to see(安全上の懸念による案の除外[2026 問1・2])。
- 時間関係・手順ステップの把握:tomorrow first(2026 問3)、last fall(2024 B問3)、Step 2(2023 B問3)。
- 構造化された視覚資料の読み取り:2021年Bの特典マトリクス表の照合。
- 言語記述から視覚情報への変換:2025・2026年度のイラスト選択肢照合。
授業ではここまで扱う:条件の先行固定と選択肢変換の照合手順
共通テスト第1問で安定して得点するために、授業では、解法のプロセスを以下の4段階に整理して指導する。
〔段階 1〕設問リード文から検索条件を固定する
・本文を読む前に設問をスキャンし、「誰・何について」「どの条件で」「何を答えるのか」を明確化する。
↓
〔段階 2〕必要な箇所・項目を探す
・見出し、箇条書き、表、発言者の区切りを手がかりに、照合すべき該当箇所を特定する。
・Both / All など複数対象が指定されている場合は、該当する複数項目を横断する。
↓
〔段階 3〕言い換え・条件・文脈を照合する
・本文表現と同義語、上位語、条件の論理的変換、限定詞(only, must)、懸念事項を精査する。
↓
〔段階 4〕不一致要素を排除して正答を確定する
・選択肢に含まれる過不足(未言及の内容、一部のみの一致、条件違反)を排除する。
過去問における思考手順の適用例
本手順が実際の入試問題でどのように機能するかを、過年度の代表例で整理する。
| 対象年度・設問 | 段階1:設問から固定する条件 | 段階2:本文の特定箇所 | 段階3:要求される変換・照合 | 段階4:決定根拠と確定 |
| 2026年 問2 | Valの提案、公演後半(second half) | Valの発言 | ・サングラスは視界不良のため除外 ・チェックシャツを脱ぐ ・黒のタンクトップを見せる | 3要素をすべて満たすイラスト①を選択 |
| 2025年 問2 | 魚の健康維持のための装飾(keep fish in good health) | Step 2の第1文 | should cover 50-70% of the area(面積の50〜70%を覆う)の論理的換算 | 30〜50%の空間確保と同義である②(the right amount of open space)を選択 |
| 2024年 A問2 | イベントでできること(can do) | 2番目の見出し(Experience different languages…) | use facial expressions and their hands to communicate の抽象化 | 身振り手振りの上位語である①(gestures)を選択 |
| 2023年 A問2 | 2つの公演の共通点(both performances) | PalaceとGrandの箇条書き | ・Palace:Actors available to talk… ・Grand:greet the cast… | 出演者全般を包括する④(meet performers at the theaters)を選択 |
| 2022年 A問2 | 酸味のあるケーキ(sour cake) | JabuticabaとPitangaの記述 | ・Pitangaは緑色(sour)が only for jams and jellies(ケーキ不可) ・Jabuticabaは酸味が出た後 use them for… cakes | 限定詞 only による除外を経て、酸味とケーキの両条件を満たす③(Jabuticaba)を選択 |
| 2021年 B問1 | New Member’s Packの条件 | 第1段落の最終文 | will arrive a week or so after you join の数値表現換算 | a week or so(約1週間)を同義換算した④(takes about seven days to arrive)を選択 |
重要なのは、特定の年度の表面的な出題形式(チャットか、パンフレットか、表か)をパターンとして丸暗記することではない。初見の問題に直面した際に、「設問から何を特定すべきかという条件を先に定め、本文の該当箇所と選択肢の言い換え・限定条件を突き合わせる」という判断手順を初見問題でも再現できることが、第1問を安定して処理するための重要なポイントである。
【共通テスト】【英語リーディング】の対策と復習手順
過去問演習において、「解説を読んで納得すること」と、「初見の問題で制限時間内に自力で手順を再現できること」との間には隔たりが存在する。第1問の失点を防ぎ、後続の大問に時間を残すためには、日頃の復習段階から確認手順を固定化しておく必要がある。
復習時に実行すべき具体的手順
- 設問リード文の条件分解: 間違えた問題や時間がかかった問題について、「設問リード文のどの単語が検索条件になっていたか」をマーキングする(例:All なのか Both なのか、特定の人物名か、時間表現か)。
- 根拠文と選択肢の「変換対照表」の作成: 本文中の該当文と、正解選択肢の表現をノート上で左右に並べ、どのような変換が行われていたかを分類する(同義言い換え、上位語化、計算・換算、否定・除外条件)。こうした対応関係を蓄積することで、言い換えのパターンを意識して復習できる。
- 誤答選択肢の「誤答要因」の特定: 正解以外の3つの選択肢について、「本文に書かれていない未言及事項か」「主客の取り違えか」「一部の対象にしか当てはまらない過度の一般化か」「限定条件(only, must)違反か」を具体的に言語化する。
固定化すべきことと、柔軟に対応すべきことの切り分け
- 固定化すべきこと(解法上の原則):
- 設問を先に確認して検索条件を持つこと。
- 本文の単語と完全に一致する選択肢を安易に選ばず、言い換えや抽象化を疑うこと。
- 設問や本文に限定・除外・時間関係などの条件が含まれる場合は、その条件を見落とさないこと。
- 固定化してはならないこと(年度によって変化する要素):
- 「大問の構成」:旧課程の2部構成(10点)か、新課程の単一構成(6点)か。
- 「選択肢の形式」:全問テキスト選択肢か、イラスト選択肢が含まれるか。
- 「文章の形式」:静的な告知・パンフレットか、動的なメッセージチャットか。
出題形式の変更に動揺することなく、どのような素材であっても「指定された条件を正確に特定し、選択肢と照合する」という基本手順を徹底することが、共通テスト英語リーディングにおける安定した処理につながる。

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