※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。
2025年共通テスト国語第3問 解答解説・分析|図表の機能判定と「具体と抽象」の思考手順
この大問を解くための2つの分析軸
2025年度の大学入学共通テスト国語第3問は、生徒がまとめた文章と、それに関連する複数の調査資料・手引き(資料Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)を組み合わせて考察する実用的な文章形式の出題であった。
この大問を解くにあたって必要なのは、単に図表の数字を拾い上げたり、本文の表面的なあらすじを追ったりすることだけではない。問題文と資料から確認できる構造は、主に以下の2つの軸で整理できる。
- 「課題(目的)」と「具体例(材料)」の主従関係問題の冒頭で示される「わかりやすい言葉づかいについて自分の考えを書く」という前提課題に対し、文章中で展開される「外来語の言い換え」や「インフォームドコンセント」は、課題を考察するための材料である。文章の全体構造において、何が最終的な課題であり、何がその課題を考えるための具体例なのかを区別する必要がある。
- 資料ごとの機能と照合範囲の限定意識調査の割合を示す資料Ⅰ・Ⅲ、言い換えの提案内容を示す資料Ⅱなど、性質の異なる資料が提示される。各設問では、「どの資料の、どの部分を根拠として使えるのか」を特定し、選択肢の記述と資料の事実関係を1対1で照合する手順が求められる。
内容や背景を理解しているだけでは十分ではない。試験本番では、設問要求の確定から資料の機能判定、選択肢の吟味に至るまで、客観的な思考手順を一定の順序で再現することが重要である。
「わかりやすい言葉づかい」についての文章の全体構造と論理関係
本問で扱われる文章は、Uさんが「わかりやすい言葉づかいについて自分の考えを書く」という課題に対し、外来語の言い換えを具体例としてまとめたものである。段落ごとの役割と資料の対応関係は、次のように整理できる。
| 段落 | 段落の役割と論理展開 | 対応する資料 | 思考上の注意点 |
| 第1段落 | 問題提起と具体例の提示 わかりやすく伝えるための言い換えの必要性を述べ、「インフォームドコンセント」に注目する。 | 【資料Ⅰ】外来語に関する意識調査(図1・図2・図3) | なぜこの語を取り上げたのかを、選択肢が参照する資料と実際のデータから確認する。 |
| 第2段落 | 具体例の概念確認と意義の検討 「納得診療」「説明と同意」という提案から概念を確認し、当時の状況における意義を考える。 | 【資料Ⅱ】「インフォームドコンセント」の言い換え提案(手引き・用例) | 言い換え語の字面だけでなく、医療における重要概念の普及・定着という意義を押さえる。 |
| 第3段落 | 時間経過を踏まえた検討と一般化の補強 提案から約20年が経過した状況を踏まえ、外来語をめぐる意識や環境をさらに検討し、今後も言い換えが必要となる場合があることを論じる。 | 【資料Ⅲ】外来語に関する意識の2002年と2022年の比較(図4) | 2002年と2022年をどの比較軸で見るのかを区別する。 |
| 第4段落 | 全体の結論・課題への着地 具体例の考察を踏まえ、「わかりやすい言葉づかい」についての考えをまとめる。 | 本文全体の論理の総括 | 医療用語という具体例だけに話を閉じず、冒頭の課題に対応する結論へ戻す。 |
全問解答一覧
| 設問 | 解答番号 | 正答 | 配点 | 設問条件 |
| 問1 | 【18】 | ② | 4点 | 「インフォームドコンセント」に注目する理由として最も適当なものを1つ選ぶ。 |
| 問2 | 【19】 | ④ | 5点 | 傍線部A「意義があった」の内容として最も適当なものを1つ選ぶ。 |
| 問3(i) | 【20】 | ④ | 5点 | 傍線部Bの根拠として適当でないものを1つ選ぶ。 |
| 問3(ii) | 【21】 | ② | 3点 | 加筆の方針として最も適当なものを1つ選ぶ。 |
| 問3(ii) | 【22】 | ⑤ | 3点 | 修正の方針として最も適当なものを1つ選ぶ。 |
合計:20点
各設問の解答解説と思考手順
問1【18】(配点:4点)
手順1 設問要求の確定
第1段落の空欄(X)に入る文として適切なものを選ぶ問題である。
(X)の直後には、
「ここでは『インフォームドコンセント』という語に注目して」
と書かれている。
したがって、(X)には「インフォームドコンセントに注目する理由」が入る必要がある。
手順2 根拠範囲の限定
第1段落で参照されている【資料Ⅰ】の図1・図2・図3が検証対象となる。
手順3 資料の機能を確認する
選択肢の文頭を確認し、どの資料を根拠としているか整理する。
- ①「図1が示すとおり」
- ②「図1と図2が示すとおり」
- ③「図2と図3が示すとおり」
- ④「図3が示すとおり」
ここでまず③に注目する。
③は、「インフォームドコンセントについては、『言い換え語』に対する年代ごとの意識の差が他の語より大きい」としている。
しかし、年代別の回答を示した図3に掲載されているのはインフォームドコンセントだけであり、他の語についての年代別データはない。
したがって、「他の語より年代差が大きい」ことを比較するためのデータが存在しない。③は、この段階で除外できる。
一方、④は図3だけを根拠としているが、図3単独であるという理由だけでは除外できない。図3の年代別データそのものが選定理由になる可能性はあるため、実際の数値を確認する必要がある。
手順4 選択肢と客観的データを照合する
各資料の数値を整理する。
- 図1「外来語のまま使ったほうがよいか」
- インフォームドコンセント:「そう思う」15.2% / 「そうは思わない」54.7%
- シミュレーション:「そう思う」40.8%
- リハビリテーション:「そう思う」66.5% インフォームドコンセントは三語の中で、「外来語のまま使ったほうがよい」とする割合が最も低く、「そうは思わない」は54.7%で三語中最も高い。
- 図2「『言い換え語』のわかりやすさ」
- インフォームドコンセント/納得診療:「言い換え語がわかりやすい」65.5%
- デイサービス/日帰り介護:40.8%
- グローバル/地球規模:56.8% インフォームドコンセントは、三語の中で「言い換え語がわかりやすい」とする割合が最も高い。
- 図3「インフォームドコンセントについての年代別回答」 「もとの外来語がわかりやすい」の割合は、
- 10代……20.1%
- 20代……22.3%
- 30代……21.9%
- 40代……19.5%
- 50代……15.6%
- 60歳以上……11.2%
各選択肢の検討:
- ①(不適切): 「他の語に比べて多くの人が外来語のまま使用するほうがよいとしている」とあるが、図1においてインフォームドコンセントを「そう思う」と回答した割合は15.2%で三語中最も低い。データの方向が逆である。
- ②(適切): 図1では「外来語のままがよい」とする割合が最も低く、図2では「言い換え語がわかりやすい」とする割合が最も高い。したがって、インフォームドコンセントは他の語と比べて言い換えを肯定的に捉える人の割合が高い、とまとめることができる。
- ③(不適切): 図3には他の語の年代別データがないため、「年代ごとの意識の差が他の語より大きい」という比較は成立しない。
- ④(不適切): ④は「もとの外来語のほうがわかりやすいとする割合が、年代が下がるほど高い」としている。確かに大きく見ると若い年代ほど割合が高い傾向はあるが、10代は20.1%、20代は22.3%、30代は21.9%であり、年代が下がるたびに割合が高くなっているわけではない(特に10代は20代・30代より低い)。したがって、④の「年代が下がるほど高い」という記述は、図3の数値と正確には一致しない。
結論
正答は ② である。
問2【19】(配点:5点)
手順1 設問要求の確定
第2段落の傍線部A「意義があった」について、具体的にどのような点に意義があったのかを説明した選択肢を選ぶ。
手順2 根拠範囲の限定
本文第2段落と、【資料Ⅱ】の「インフォームドコンセント」の言い換え提案を照合する。
手順3 意義を二つに整理する
傍線部直前には、
「診療場面で重要なことであるにもかかわらず、当時、その概念は浸透していなかった」
という状況が示されている。
資料Ⅱには、次の内容がある。
- 概念の中身:「十分な説明を受けた上での同意」「患者の納得に基づく診療行為」
- 社会的背景と提案の役割:「現代社会における重要概念として、普及定着が望まれている」「患者の視点からこの概念を見ることを促す効果も期待でき、概念の普及にも役立つ」
したがって、言い換え提案の意義は、
- 医師の説明と患者の納得・同意の必要性を明確にする
- その概念を社会に普及・定着させる という二つに整理できる。
手順4 選択肢を照合する
- ①(不適切): 「医師の言葉が患者にわかりやすく伝わるようにする」という内容は一部関連するが、「外来語を身近な日本語に言い換えるという発想を広めようとする」という部分は、資料Ⅱに示された「インフォームドコンセントという重要概念の普及」とは異なる。
- ②(不適切): 「医師の責任を明確にして」や「患者が外来語を適切に理解した場合の効果を社会に伝える」という内容は、本文・資料Ⅱに示されていない。
- ③(不適切): 主語と客体の関係、すなわち「誰から誰への働きかけか」が異なる。③では「患者の訴え $\rightarrow$ 医師が十分に理解して受け止める」という関係になっているが、本文・資料Ⅱで示される中心的な関係は「医師が十分に説明する $\rightarrow$ 患者が理解・納得・同意する」である。働きかけの向きが逆になっている。さらに、③の「医師と患者の両方の立場を尊重する」という内容も、本文・資料Ⅱの中心的な説明にはない。
- ④(適切): 「医師の説明や患者の納得の必要性を重視する」は「十分な説明を受けた上での同意」「患者の納得に基づく診療行為」に対応し、「この外来語の表している概念を社会に定着させようとする」は「普及定着が望まれている」「概念の普及にも役立つ」に対応している。
結論
正答は ④ である。
問3(i)【20】(配点:5点)
手順1 設問要求の確定
傍線部B「時代が進んでも社会全体として外来語の増加を当然だと考える人が大きく増えるとは限らない」の根拠として、【資料Ⅲ】から読み取れる内容のうち、「適当でないもの」を1つ選ぶ。否定条件であることに注意する。
手順2 根拠範囲の限定
【資料Ⅲ】の図4「『外来語が増えるのは当然だ』とする人の割合」と、図についてのメモを照合する。
手順3 4つの比較軸に分ける
各選択肢は、異なる比較を行っている。
- ①:同一年代の比較(2002年の20代と2022年の20代のように、同じ年齢層を異なる時点で比較する)
- ②:全体の比較(2002年と2022年の回答者全体を比較する)
- ③:同一出生世代に相当する年齢層の比較(図では生まれた年を基準に同じ世代に相当する層が同じ位置になるよう示されている。例えば2002年の20代と2022年の40代は同じ世代に相当する。ただし、これは同一人物を追跡した調査ではない点に注意する)
- ④:高齢層の比較(2002年の「60歳以上」と、2022年の「60代・70代・80歳以上」を比較する)
手順4 事実関係を確認する
本問では、傍線部Bとの関係を考える前に、選択肢の記述そのものがグラフの数値と一致しているかを確認すると処理しやすい。
- ①(適切・根拠として成立): 同じ年代で比較すると、20代(86% $\rightarrow$ 85%)、30代(76% $\rightarrow$ 77%)、40代(78% $\rightarrow$ 74%)、50代(64% $\rightarrow$ 69%)であり、いずれも大幅な増加は見られない。したがって、傍線部Bの根拠となる。
- ②(適切・根拠として成立): 回答者全体では、2002年が63%、2022年が64%であり、20年間で1ポイントしか変化していないため、「社会全体として大きく増えるとは限らない」という主張を直接支える。
- ③(適切・根拠として成立): 同じ出生世代に相当する年齢層を比較すると、2002年20代(86%) $\rightarrow$ 2022年40代(74%)、2002年30代(76%) $\rightarrow$ 2022年50代(69%)、2002年40代(78%) $\rightarrow$ 2022年60代(60%)、2002年50代(64%) $\rightarrow$ 2022年70代(49%)となっている。いずれも、20年後の同じ出生世代に相当する層では割合が低くなっている。したがって、「時代が進めば『外来語が増えるのは当然だ』と考える割合が自然に高くなるとはいえない」という傍線部Bの根拠になる。
- ④(適当でない・誤り):実際の数値を確認する。
- 2002年「60歳以上」= 44%
- 2022年「60代」= 60%(+16ポイント)
- 2022年「70代」= 49%(+5ポイント)
- 2022年「80歳以上」= 42%(-2ポイント) ④は、2022年の60代・70代・80歳以上について、「各年代では、外来語が増えるのは当然だと回答した人の割合が低くなっている」としている。しかし、実際に2002年の60歳以上(44%)より低いのは80歳以上だけである。60代・70代はむしろ高い。したがって、④は傍線部Bとの関係を検討する以前に、選択肢の記述自体がグラフの客観的データと矛盾している。
結論
根拠として適当でないものは ④ である。
問3(ii)【21・22】(配点:各3点 / 計6点)
手順1 設問要求の確定
文章全体を整えるため、
- 「加筆の方針【21】」を①〜③から1つ
- 「修正の方針【22】」を④〜⑥から1つ 選ぶ。
【21】加筆の方針の検討
手順2 加筆する段落の役割を確認する
加筆の対象は第2段落である。第2段落では、「インフォームドコンセント」の言い換え提案の内容と意義を論じている。
手順3 資料Ⅱと照合する
- ①(不適切): 「言い換え語に対する人々の意識の変化について説明する」としているが、資料Ⅰは2003年の意識調査、資料Ⅱは2006年の国立国語研究所による言い換え提案であり、資料Ⅱは意識調査ではない。したがって、この二つの資料から「人々の意識の変化」を比較することはできない。
- ②(適切): 資料Ⅱには、「納得診療」「説明と同意」という言い換え語だけでなく、実際の使用例である「用例」や、言い換え方や考え方を説明する「手引き」が掲載されている。これらを第2段落に加えることは、「言い換えの提案がどのような形で実際に使われることを想定していたのか」を具体化する加筆となる。
- ③(不適切): 資料Ⅲは「外来語が増えるのは当然だ」と考える人の割合についての意識調査である。第3段落の加筆方針として「外来語を頻繁に使う人が増えている傾向」とすることは、資料の示す内容と合致しない。また、医療用語に限定した資料でもない。
結論
【21】の正答は ② である。
【22】修正の方針の検討
手順2 課題設定と「具体・抽象」の関係を確認する
修正の対象は第4段落末尾、つまり文章全体の結論である。ここで、冒頭のリード文に戻る。
- 前提課題:「わかりやすい言葉づかいについて自分の考えを書く」
- 本文中で使われた具体的材料:外来語の言い換え、インフォームドコンセント、医師と患者の関係
本問では、抽象的な課題について考えるために、具体的な事例が材料として使われている。したがって結論では、医療現場という一つの具体例だけに話を限定するのではなく、冒頭の「わかりやすい言葉づかい」という課題へ戻る必要がある。
手順3 選択肢を照合する
- ④(不適切): 「一つ一つの外来語の意味を適切に理解していくことが重要である」とすると、「相手にわかりやすく伝えるための言葉づかい」という論点から、「自分が外来語を理解すること」へ焦点が移ってしまう。冒頭の課題に対する結論としてずれている。
- ⑤(適切): 第4段落末尾を、「伝える相手や目的に応じて語句を使い分けていくことが重要である。」と修正する。これは、「定着した外来語はそのまま使える場合がある」「意味が伝わりにくい外来語は言い換える必要がある」「相手が理解しやすい語句を選ぶ」という本文の具体的な考察をまとめ、「相手や目的に応じた言葉選び」という、より広い原則へ整理したものである。リード文の「わかりやすい言葉づかいについて自分の考えを書く」という課題にも対応する。
- ⑥(不適切): 第4段落末尾を、「医師の使う用語の概念が患者に伝わるかに注目することが重要である。」とすると、結論が「医療現場における医師と患者」という具体例の範囲に限定される。しかし、医療現場の話は、今回の文章では「わかりやすい言葉づかい」について考えるための具体的な材料として用いられている。したがって、文章全体の結論としては⑤の方が課題の射程に合っている。
結論
【22】の正答は ⑤ である。
授業ではここまで扱う|図表・文章統合問題における3段階の検証手順
共通テストの実用的な文章や図表を組み合わせる問題では、「選択肢が何となくもっともらしく見える」という印象だけで判断すると、資料との細かな不一致を見落としやすい。
今回の第3問では、次の3段階に整理すると処理しやすい。
【第1段階:設問要求と資料の機能を確認する】
空欄や傍線部が文章中で何を説明する部分なのかを特定する。
さらに、選択肢が行っている比較に対して、その資料に必要なデータが存在するかを確認する。
(比較に必要なデータ自体が存在しない場合は、その段階で除外できる)
↓
【第2段階:資料の数値・客観的事実と1対1で照合する】
選択肢にある「すべて」「各年代」「高い」「低い」「増えている」などの表現を、グラフの実数値と直接照合する。
(解釈を考える前に、まず選択肢が資料の事実を正しく述べているかを確認する)
↓
【第3段階:文章全体の課題への着地を確認する】
文章の結びや修正方針を問われた場合は、途中で扱った具体例だけに結論が限定されていないかを確認する。
(最後に冒頭の課題へ戻り、文章全体の目的に対応した結論になっているかを判断する)
2025年第3問への適用
| 設問 | 主に使う手順 | チェック内容 | 誤答の特徴 |
| 問1【18】 | 第1・第2段階 | ③は「他の語との年代差比較」に必要な資料がない。④は図3の実数値まで確認する。 | 比較不能な主張(③)、数値の推移を過度に一般化した記述(④) |
| 問2【19】 | 第2段階 | 「医師の説明 $\rightarrow$ 患者の納得」という主客関係を確認する。 | 「患者の訴え $\rightarrow$ 医師の理解」への関係の逆転(③) |
| 問3(i)【20】 | 第2段階 | 「各年代で低い」という記述を実数値と照合する。 | 60代・70代の数値と矛盾する事実誤認(④) |
| 問3(ii)【22】 | 第3段階 | リード文の課題と、医療現場という具体例の射程を区別する。 | 具体例だけに結論を限定する(⑥) |
重要なのは、「図表問題だからこの解法」と固定することではない。
資料に何が載っているか、選択肢が何と何を比較しているか、文章全体では何が目的で何が材料なのかを確認し、その問題に必要な処理を選択することである。
大学入学共通テスト 国語(第3問)の対策と復習手順
実用的な文章や図表を扱う問題では、「解説を読んで図の意味が分かった」という状態と、「初見の問題で自力で選択肢を検証できる」という状態には差がある。復習では、正答を覚えるのではなく、どの条件を見て選択肢を切ったのかを再現できるようにしたい。
1.冒頭のリード文から課題設定を確認する
今回のような問題では、冒頭のリード文に「誰が、どのような目的で文章をまとめているのか」が示されている。今回なら、「わかりやすい言葉づかいについて自分の考えを書く」という課題である。
この前提を見失うと、途中で詳しく扱われる「インフォームドコンセント」や医療現場の話そのものが文章の最終テーマであるように錯覚しやすい。問題文を読み始めた段階で、文章を書く目的を確認しておくことが重要である。
2.複数時点・年代別のグラフでは比較軸を区別する
今回の資料Ⅲのように、複数の時点と年代が同時に示されている場合は、少なくとも次の違いを区別する。
- 同一年代の比較:2002年20代と2022年20代など
- 同一出生世代に相当する層の比較:2002年20代と2022年40代など
- 全体の比較:2002年全体と2022年全体
- 特定の部分の比較:高齢層など特定グループのみ
特に、同じ世代に相当する層を比較することと、同一人物を追跡することは別である。今回の資料Ⅲは、同じ回答者を20年間追跡した資料ではない。選択肢がどの比較を行っているのかを確定してから、該当する数値を確認する。
3.主語・述語・対象の関係を確認する
文章内容を説明する選択肢では、使用されている語句が似ていても、「誰が、誰に、何をするのか」という関係が本文と変えられていることがある。
今回の問2では、「医師が説明する $\rightarrow$ 患者が納得・同意する」という関係が、「患者が訴える $\rightarrow$ 医師が理解する」という別の関係へ置き換えられていた。重要語だけを見るのではなく、述語に対する主語・対象まで確認することが有効である。
4.具体例と文章全体の課題を区別する
今回の文章では、「わかりやすい言葉づかい」が課題であり、「インフォームドコンセント」「医師と患者」はその課題を考えるための具体的な材料であった。このような構造の文章では、結論が具体例の範囲に閉じていないかを確認する。問3(ii)【22】で⑤と⑥を分ける決定的なポイントもここにある。
本問は、特別な専門知識を用いなくても、提示された文章と資料を正確に対応させることで処理できる。
設問要求を確認し、資料の機能を見極め、事実を照合し、最後に文章全体の課題へ戻る。この一連の処理を再現できるようにすることが、共通テスト国語の資料付き問題で安定して得点するための重要な基盤となる。

コメント