東邦大学付属東邦中学校の理科(生物)実験考察対策|植物・人体・動物行動の「対照実験」と「差引計算」の勉強法

※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。

目次

導入:生物分野の3つの出題構造を見極める分析の枠組み

東邦大学付属東邦中学校の理科入試(2006〜2026年度の推薦10試験・前期21試験・後期21試験の計52試験)において、生物分野はすべての試験区分で大きな比重を占めている。特に推薦入試では2017〜2026年度の10試験すべてで生物分野の大問(または生物融合大問)が1題出題されており、後期入試でも大問4題のうち1題(3問)、前期入試では大問6題のうち1〜2題が生物分野から出題される構成が基本となっている。

全52試験における単元別の出題試験数を確認すると、「植物の生理(光合成・蒸散・光周性)」が14試験(全36単元中2位)、「人体の構造とはたらき」が12試験(同3位タイ)、「生態系・食物連鎖・個体数推定」が12試験(同3位タイ)、「動物の形態・分類・変態」が11試験、「植物の形態・分類・器官分化」が9試験、「動物の行動・生態適応」が8試験、「種子の構造・発芽・生活環」が5試験、「生殖・発生・遺伝」が4試験となっている(※出題試験数は単元ごとに集計しており、1試験で複数単元が出題された場合はそれぞれに計上している。そのため、各単元の出題試験数の合計は52試験と一致しない)。

同校の生物分野では、生き物の名前や器官の名称を単独で答えさせる問題は少なく、複数の知識を組み合わせた選択肢(8〜16択)や、初見の観察データ・実験表を読み解かせる問題が中心である。21年間の出題データを精査すると、生物分野で要求される処理は大きく次の3つの系統に整理できる。

  • 系統A:「対照実験の条件制御」と初見データの論理的読解(動物行動・酵素・発芽・遺伝) 昆虫や小動物の行動実験、消化酵素の反応実験、植物の発芽・花芽形成や遺伝子の働きを調べる実験において、「ある仮説を証明するために、どの条件を揃えてどの1つの条件だけを変えた実験ペアを比較すべきか」を判断する問題である。
  • 系統B:「差引計算・収支計算」による定量処理(植物生理・生態系) 葉の表裏にワセリンを塗る蒸散実験、二酸化炭素吸収剤を用いた種子の呼吸測定、光の強さと二酸化炭素の吸収・放出グラフ、食物連鎖や標識再捕獲法など、複数の要素が重なった測定値から引き算や比例計算で目的の数値を抜き出す問題である。
  • 系統C:「空間的な構造・分類基準」の複合照合と人体の数値解析(人体・動植物の分類) 背中側から見たヒトの臓器の位置関係や昆虫の体のつくり(頭・胸・腹と脚の位置)を複数の条件で照合する問題、および腎臓のろ過・再吸収や血液循環のグラフ・表を計算する問題である。

生物を得点源にするためには、用語の暗記にとどまらず、これら3つの系統に応じた情報の整理手順を身につける必要がある。

出題データと全体構造(2006〜2026年度・生物主要大問一覧)

2006〜2026年度の52試験に出題された生物問題の中から、系統A・系統B・系統Cの解法構造がよく表れている代表的な15大問を整理する。

年度・区分・大問単元・テーマ系統区分中心となる条件設定解法の初手と決定的な根拠
2026 後期 大問3モリアオガエルの泡巣の温度と孵化率系統A
(データ読解)
樹上と地表の泡巣における外気温と内部温度差の散布図、時刻別の温度変化、孵化率のグラフ。散布図の分布域(樹上は20〜30℃で内部が低く、地表は10〜20℃で内部が高い)を比較し、夜間の冷え込みを防ぐ保温効果と高い孵化率(95〜100%)を結びつける。
2026 前期 大問1背中側から見たヒトの臓器の位置と機能系統C
(構造・機能照合)
胴体を胸部・腹部上部・腹部下部に分けた背面視点の模式図と、各臓器のはたらきの対応表。肺や腎臓に隠れて背中側から見えない臓器(心臓=胸部、すい臓=腹部上部)を特定し、大腸の水分吸収などの機能と照合して12択から絞り込む。
2026 前期 大問3PFAS汚染・生物濃縮と植物による浄化系統B
(生態系・環境)
有機フッ素化合物(PFAS)の水質基準のリード文、食物連鎖による生物濃縮、植物を用いた土壌浄化技術。生物濃縮による公害病(水俣病)を特定し、有害な重金属等を吸収させた植物は焼却しても元素自体が無害化されるわけではない点を冷静に判定する。
2026 推薦 大問21年草と多年草の生活環と個体数推移系統A+B
(規則性・数列)
4月発芽・9月結実・翌年4月100%発芽の条件下で、当年12月に枯れる1年草と4年目12月に枯れる多年草の個体数を追う。1年草では前年の種子数から翌年の個体数を2倍ずつ追跡し、多年草では生存する親個体と新たに発芽する個体を合計して増加を追う。多年草Bは初期個体が枯れるまでは3倍ずつ増えるが、2028年12月に最初の6株が枯死するため、2029年4月の個体数は162−6+324=480株となる。
2025 後期 大問4アゲハの色覚学習と明度分離の対照実験系統A
(対照実験)
アゲハの4色皿への初期選択数グラフ、蜜報酬による学習後の選択率変化、白黒写真での明るさ(明度)比較。最初から選ばれやすい色(黄・赤)と学習で増える色(青)を区別し、「明るさの違い」ではなく「色そのもの」を見分けていることを証明するために明るさの異なる灰色皿と比べる実験を選ぶ。
2025 推薦 大問1ABO式血液型の遺伝規則と確率計算系統A+B
(遺伝・確率)
遺伝子A・B・Oの組み合わせ表と、母(A型)・父(AB型)・兄(B型)の家系図から子どもの血液型の確率を求める。兄(B型)が遺伝子Oを持つことから母(A型)の遺伝子型をAOと確定し、本人の遺伝子型4通り(AA, AO, AB, BO)とO型(OO)の配偶者との組み合わせ16通りを書き出す。
2024 推薦 大問1心臓の拍動と左心室の圧容積グラフ系統C
(人体定量解析)
左心室の中の血液の容積(横軸)と圧力(縦軸)が1回の拍動で反時計回りに変化するループグラフの読み取り。容積が最大(拡張末期)から最小(収縮末期)に減る差から1回に送り出す血液量を求め、弁が開閉する瞬間の点をグラフの角から特定する。
2024 前期 大問3植物の分類と花の器官形成(ABCモデル)系統A
(論理パズル)
花の外側から4つの領域にがく・花弁・おしべ・めしべができる仕組みを、3種類の遺伝子の欠損実験表から推定する。正常な花と、遺伝子が1つ壊れた変異体の表を見比べ、「どの遺伝子が欠けるとどの器官が別の器官に置き換わるか」を消去法で特定する。
2023 後期 大問3女王アリの産卵抑制の対照実験系統A
(対照実験)
女王アリが働きアリの産卵を抑える仕組みが「揮発する物質」「視覚」「直接の接触」のどれによるかを調べる実験。隙間のある2重の網で仕切ったとき(においは通るが触れられない)に産卵が抑えられず、直接触れられる条件でのみ抑えられる結果から「直接接触」を導く。
2023 前期 大問1昆虫の体区分・脚の位置とバッタの相変異系統C
(分類・知識照合)
昆虫の頭・胸・腹の分かれ方、脚と触角の数、フェロモンとホルモンの違い、サバクトビバッタの群生相と孤独相。「昆虫の6本の脚はすべて胸部から生えている」という確実な基準で体区分の図を絞り込み、体外に働くフェロモンと体内で働くホルモンを区別する。
2021 後期 大問3発芽種子の呼吸と二酸化炭素吸収剤系統B
(差引計算)
発芽種子を入れた密閉容器において、二酸化炭素吸収薬品を入れた場合と入れない場合の目盛りの移動量グラフ。「薬品ありの減少量=吸収した酸素量」、「薬品なしの減少量=吸収した酸素量−放出した二酸化炭素量」と整理し、2つの差から二酸化炭素放出量を算出する。
2021 前期 大問4腎臓のろ過・再吸収量と濃縮率の計算系統C
(人体定量解析)
1日に作られる原尿(180L)と尿(1.4L)、および血しょう・原尿・尿中の各成分の濃度表からの計算。原尿量と尿量の差から水の再吸収量(178.6L)を求め、原尿中の総量と尿中の総量の差から再吸収された物質量(0.75g)や尿素の濃縮倍率(67倍)を計算する。
2019 推薦 大問1斑入り葉の光合成とワセリン蒸散計算系統A+B
(対照実験・差引)
斑入り葉とアルミ箔による光合成の対照実験と、葉の表・裏にワセリンを塗った枝の水の減少量と摘葉後の変化。塗布条件の差から「葉の表2cm³・裏5cm³・その他(茎など)1cm³」を分離し、葉を摘み取る前についた水量の差(2.0cm³)を摘葉後の蒸散速度の差(0.4cm³/時)で割って7時間後を求める。
2014 前期 大問4だ液アミラーゼの対照実験と反応グラフ系統A
(対照実験・グラフ)
温度や処理を変えた試験管の比較と、デンプンの量を半分にしたとき・だ液の量を2倍にしたときの生成物グラフ。デンプン(材料)を半分にすると最終的な生成物の量が半分になり、だ液(酵素)を2倍にすると最終量は変わらず反応が終わるまでの時間が半分になるグラフを選ぶ。
2013 前期 大問2光の強さと植物の二酸化炭素吸収・放出系統B
(収支計算)
陽生植物と陰生植物における光の強さと二酸化炭素の吸収・放出速度のグラフ(補償点・光飽和点)の計算。光が0のときの放出量(呼吸量)と、光が当たっているときの見かけの吸収量を足し合わせて「真の光合成量」を求め、昼夜の時間からデンプン増加量の差を計算する。

複数年度比較:生物分野の3つの系統における解法手順と注意点

1. 系統A(対照実験の条件制御と初見データの読解)で要求される処理

2011年度前期(大問4)、2014年度前期(大問4)、2015年度前期(大問6)、2017年度前期(大問6)、2020年度推薦(大問1)、2023年度後期(大問3)、2024年度前期(大問3)、2025年度後期(大問4)、2026年度後期(大問3)などの系統Aの問題では、実験結果の表や図から「何が原因でその結果が起きたのか」を論理的に絞り込む手順が求められる。

  1. 「調べたい条件だけを1つ変え、他の条件をすべて揃える」ペアの抽出 対照実験の基本原則である。たとえば2011年度前期(大問4)や2014年度前期(大問4)のだ液の実験では、「だ液のはたらきに温度が関係するかどうか」を調べるには「両方ともデンプン+だ液が入っており、温度だけが異なる(例:38℃と0℃)2本の試験管」を選ばなければならない。「38℃のだ液入り」と「0℃の水入り」を比べてしまうと、温度が違うのかだ液の有無が違うのかが判別できなくなる。
  2. 動物の行動実験における「紛らわしい要因(明度・位置・におい)」の排除 2015年度前期(大問6:ミツバチ)や2025年度後期(大問4:アゲハ)の色覚実験では、「チョウやハチが青い皿に集まった」という結果だけでは、本当に「青という色」を認識しているのか、それとも「青い皿の明るさ(白黒で見たときの濃淡)」や「皿が置かれた場所」に反応しているのかがわからない。そのため、明るい灰色から暗い灰色まで複数の皿の中に青い皿を混ぜ、位置を入れ替えても青い皿を選ぶことを確認する実験が必要になる。同様に2023年度後期(大問3:アリ)でも、「におい(揮発性物質)」と「直接触れること」を区別するために、空気は通るが体が触れ合わない「二重の網」で仕切る実験が行われている。
  3. 酵素反応における「材料(基質)の量」と「酵素の量」の役割の違い 2014年度前期(大問4)のように化学の過不足計算と似た思考が問われるのが消化酵素のグラフである。デンプン(材料)にアミラーゼ(酵素)を加えて麦芽糖をつくる反応において、酵素自身は反応の前後で消費されずに繰り返し働く。したがって、「デンプンの量を半分にする」と最終的にできる麦芽糖の上限(折れ点の高さ)が半分になるのに対し、「デンプンの量は変えずにだ液(酵素)の量を2倍にする」と、最終的にできる麦芽糖の上限は同じままで、反応が完了するまでの時間が半分に短縮される。

2. 系統B(植物生理・生態系の差引計算と物質収支)で要求される処理

2009年度前期(大問5)、2013年度前期(大問2)、2017年度後期(大問2)、2018年度推薦(大問1)、2019年度推薦(大問1)、2020年度後期(大問3)、2021年度後期(大問3)などの系統Bの問題では、生物の実験でありながら算数の「差引計算」「追いつき算」「比例配分」がそのまま要求される。

  1. 「見かけの数値」の裏に隠れている「同時に起きている逆向きの変化」の整理
    • 光合成と呼吸(2013年度前期・大問2):植物は光が当たっている昼間も、暗闇と同じ速さで「呼吸(酸素を吸って二酸化炭素を出す)」を行っている。そのため、グラフの縦軸に示される「外部から吸収した二酸化炭素の量(見かけの光合成速度)」に、「暗闇で放出していた二酸化炭素の量(呼吸速度)」を足し合わせた値が、実際に葉で作られた「真の光合成量」となる。また、1日(24時間)を通して蓄えられるデンプンの量を計算するときは、「昼間に吸収した量 − 夜間に呼吸で放出した量」で収支をとる必要がある。
    • 種子の呼吸測定装置(2009年度前期・大問5、2021年度後期・大問3):発芽種子は酸素を吸って二酸化炭素を出すため、そのまま密閉容器に入れても、減った酸素の代わりに二酸化炭素が増えてしまい、気体の体積変化だけでは酸素の吸収量がわからない。そこで、一方の容器には「二酸化炭素を吸収する薬品(水酸化ナトリウム水溶液など)」を入れ、もう一方には薬品を入れずに比較する。
  2. 生態系における「同化効率(割合の連鎖)」と「標識再捕獲法(比例式)」
    • 2018年度推薦(大問1)のように、「植物プランクトン → 動物プランクトン → 小魚 → 大型魚 → シャチ」と食う・食われるの関係が続くとき、次の段階の生物の体になる割合(10%〜20%など)を順番に掛け算(または割り算)して必要な生産者の重さや有害物質の濃縮倍率を求める。
    • 2010年度後期(大問3)や2017年度後期(大問2)で出題された「標識再捕獲法」では、「池全体の魚の数 : 最初に捕まえて印をつけた魚の数 = 2回目に捕まえた魚の数 : その中にいた印つきの魚の数」という比例式を立てて全体の生息数を推定する。

3. 系統C(人体・動植物分類の複合照合と人体の数値解析)で要求される処理

2016年度前期(大問2)、2018年度前期(大問1)、2019年度前期(大問4)、2021年度前期(大問4)、2022年度推薦(大問1)、2023年度前期(大問1)、2026年度前期(大問1)などの系統Cの問題では、図の視点(向き)の正確な把握と、表からの割合計算が求められる。

  1. 「腹側から見た図」と「背中側から見た図」の臓器位置の区別 2016年度前期(大問2)および2026年度前期(大問1)で共通して出題された重要テーマである。通常のテキストでは人体を正面(腹側)から見た図が載っているため、「画面の右側が左肺・胃・左心室、画面の左側が肝臓・胆のう」となる。しかし、「背中側から見た図」では左右がそのまま(右側が右肺・肝臓、左側が左肺・胃)になるだけでなく、手前(背中側)にある「肺」や「腎臓」に隠れて、腹側寄りにある「心臓」や「すい臓(胃の裏側・背中から見ると胃と十二指腸の間)」が見えなくなる。どの高さ(胸部・腹部上部・腹部下部)に何があるかを立体的に整理しておく必要がある。
  2. 昆虫の外部体制(頭・胸・腹の境界線) 2018年度前期(大問1)や2023年度前期(大問1)で問われた昆虫の図の判別では、見た目のくびれに惑わされず、「昆虫の6本(3対)の脚はすべて胸部から生え、はねがある場合も胸部についている」という基準を使う。はねの枚数は種類によって異なるため、まず脚の位置から頭部・胸部・腹部の境界を判断する(最も前の脚が生えている部分より前が「頭部」、最も後ろの脚が生えている部分より後ろが「腹部」となる)。

授業ではここまで扱う:「植物の蒸散・種子の呼吸・腎臓のろ過」を差引計算で解く3段階の手順

東邦大東邦の生物計算において、複数の働きが重なった実験データから目的の数値を正確に抜き出すために、実際の授業では次の3段階の手順に分けて式を整理している。

【確認する3段階の手順】

  1. 第1段階(各実験区で「何が測定されているか」を足し算・引き算の式で書く) いきなり数字を計算するのではなく、たとえば「無処理 = 表 + 裏 + 葉以外」「表にワセリン = 裏 + 葉以外」「吸収剤なし = 酸素吸収 − 二酸化炭素放出」のように、それぞれの測定値の内訳を言葉の式として書き出す。
  2. 第2段階(2つの式の「差」をとって単独の数値を確定させる) 第1段階で書いた2つの式を引き算し、共通している部分を消去して「葉の表だけ」「葉の裏だけ」「二酸化炭素放出量だけ」「再吸収された量だけ」の単独の数値を確定させる。
  3. 第3段階(確定した単位あたりの数値を使って「追いつき算」や「倍率計算」を行う) 設問の後半で「何時間後に水量が同じになるか」「何倍に濃縮されたか」を聞かれたら、第2段階で出した1時間あたり(または1日あたり)の数値を当てはめて計算する。

【過去問への具体的な適用例】

この3段階の手順は、「植物の蒸散実験(2019年度推薦)」「発芽種子の呼吸測定(2021年度後期・2009年度前期)」「ヒトの腎臓の尿生成計算(2021年度前期)」のすべてに共通して適用できる。

年度・設問第1段階:測定値の内訳の整理第2段階:差引による単独数値の確定第3段階:追いつき算・濃縮倍率の算出
2019年度 推薦
大問1 問(4)・(5)
(ワセリン塗布と蒸散量の追いつき算)
4本の試験管の水の減少量:
・A(無処理):表+裏+葉以外=8.0cm³
・B(表に塗布):裏+葉以外=6.0cm³
・C(裏に塗布):表+葉以外=3.0cm³
・D(両面塗布):葉以外による減少量=1.0cm³
・A−Bより、葉の表= $8.0 – 6.0 = \mathbf{2.0\text{cm}^3}$
・B−Dより、葉の裏= $6.0 – 1.0 = \mathbf{5.0\text{cm}^3}$
・Dより、その他(茎など)= $\mathbf{1.0\text{cm}^3}$
問(5)では、途中で葉を摘み取る前についた水量の差(2.0cm³)を、摘み取った後の1時間あたりの蒸散速度の差($0.6 – 0.2 = 0.4\text{cm}^3/\text{時}$)で割り、$2.0 \div 0.4 = 5$ 時間後(実験開始から 7時間後)に水量が等しくなると求める。
2021年度 後期
大問3 問(2)・(3)
(発芽種子の呼吸測定装置)
密閉容器のガラス管の水滴移動量(気体の減少量):
・容器Ⅰ(CO₂吸収剤あり):出したCO₂はすべて薬品に吸われるため、減少量=吸収したO₂の体積。
・容器Ⅱ(吸収剤なし):O₂が減ってCO₂が出るため、減少量=(吸収したO₂)−(放出したCO₂)。
容器Ⅰの減少量から容器Ⅱの減少量を引き算すると、共通する「吸収したO₂」が消え、
(容器Ⅰの減少量)−(容器Ⅱの減少量)= 放出したCO₂の体積
が単独で確定する(種子を入れない対照容器の目盛り変化がある場合は、まずその変化分を補正する)。
これにより、各条件における「吸収した酸素の体積」と「放出した二酸化炭素の体積」がそれぞれ別々に求まり、呼吸の盛んさや気体の比率を正確に比較できる。
2021年度 前期
大問4 問(1)〜(3)
(腎臓の原尿と尿の成分計算)
1日にろ過される原尿は180L、体外へ出る尿は1.4L。
表には血しょう・原尿・尿100mLあたりの各成分(タンパク質・ブドウ糖・尿素・クレアチニン)の重さが示されている。
・水の再吸収量:原尿180L − 尿1.4L = 178.6L。
・クレアチニンの再吸収量:1日の原尿180L中に含まれる総量から、1日の尿1.4L中に含まれる総量を引き算して 0.75g を導く。
・尿素の濃縮倍率:尿中の尿素濃度(2.0%)を原尿中の尿素濃度(0.03%)で割り、
$2.0 \div 0.03 = 66.6\dots \rightarrow \mathbf{67\text{倍}}$
と算出する。

重要なのは、問題文が植物・種子・人体と変わっても、「①それぞれの実験区が何の合計(または差)を測っているかを式にする → ②2つの式の差をとって1つの要素だけを抜き出す → ③単位時間あたりの差や濃度比で割る」という手順を、初見のデータ表に対しても同じ順序で再現できるようにすることである。

東邦大付属東邦中・理科(生物)の対策と復習手順

生物分野の学習において、「テキストの太字の用語を暗記していること」と「東邦大東邦の多肢選択問題や実験データ問題で正解を選べること」の間には明確な差がある。日々の過去問演習と復習では、次の3つの勉強法を徹底することが有効である。

  1. 基礎知識は「一問一答」ではなく「図の向き・分類の境界線・対比表」で整理する 同校の知識問題は、複数の要素を組み合わせた8〜16択の選択肢から1つを選ぶ形式で出題される。人体の臓器であれば「正面(腹側)から見た図」と「背中側から見た図」の両方で位置と隠れる臓器を確認し、昆虫であれば「頭・胸・腹の境界(脚はすべて胸から出る)」と「完全変態・不完全変態・成虫越冬の区分」を表にして比較できるようにしておく。
  2. 対照実験の問題では「何を証明するために、どの2つを比べるか」を1行で言語化する 過去問を解き直す際、単に正解の記号を確認するだけでなく、「実験1と実験2は、〇〇以外の条件をすべて同じにして、〇〇だけが結果に影響するかどうかを確かめている」と自分の言葉で説明する練習を行う。この習慣をつけることで、2025年度後期(アゲハの色覚)や2023年度後期(アリの産卵抑制)のような初見の行動実験でも迷わず正解の対照実験を選べるようになる。
  3. 前期・後期・推薦の生物計算問題を横断して演習する 一覧表で確認したとおり、2009年度前期(大問5)の発芽種子の呼吸測定が2021年度後期(大問3)で再登場し、2016年度前期(大問2)の背中側から見た臓器図と腎臓計算が2021年度前期(大問4)および2026年度前期(大問1)で再登場している。また、推薦入試で出題される5問構成の生物大問は、前期・後期の実験考察問題の練習教材として適しているため、受験する試験区分にかかわらず3区分の生物問題を横断して解き直すことが効果的である。

▼ 関連する分析記事・詳細対策レポートのご案内

東邦大学付属東邦中学校・理科の21か年(2006〜2026年度・全52試験)にわたる全体構造、全36単元の出題履歴一覧、および2027年度の注目単元については、以下の総合分析記事で解説している。また、物理(力学)および化学(計算問題)の具体的な解法手順についてはそれぞれの分野別記事をあわせて参照してほしい。

▶東邦大学付属東邦中学校・理科|2006〜2026年度(全52試験)過去問分析と出題傾向・2027年度出題予想

▶ 東邦大学付属東邦中学校の理科(物理・力学)対策|ばね・てこ・浮力の「力のつり合い」と「運動・エネルギー」の解き方

▶東邦大学付属東邦中学校の理科・化学の計算問題を攻略|中和・気体・溶解度の「過不足」と「混合物」の解法手順

なお、2027年度入試に向けて「前期・後期・推薦ごとに具体的にどの実験設定・計算テーマを第1候補〜第3候補として優先復習すべきか」「過去52試験で出題が確認できない空白テーマや、直前期に演習量を減らせる単元・形式は何か」、さらに「各予想単元に対応する2006〜2026年度の過去問(年度・区分・大問番号)の一覧リスト」をまとめた詳細レポート(PDF版)は、以下のnoteにて提供している。直前期の学習計画と優先順位の判断に役立ててほしい。

▶ 【note】2027年度 東邦大学付属東邦中学校・理科|21か年(全52試験)全設問データベースから導く「試験区分別・詳細出題予想&直前対策優先度レポート」(PDF版)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

習志野受験研究所 所長/新・個別指導アシスト習志野校 塾長

コメント

コメントする

目次