【千葉県公立高校入試・歴史】飛鳥・奈良時代で覚えること|大化の改新・聖武天皇・律令制を整理

※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。

目次

1. なぜ「飛鳥・奈良時代」は知識が混乱しやすいのか?

千葉県公立高校入試の社会において、古代史(飛鳥・奈良時代)の学習を進める受験生から次のような相談を受けることがある。

  • 「聖徳太子、中大兄皇子、天武天皇、聖武天皇など、似たような時代に重要人物が続いて誰が何をしたか混同してしまう」
  • 「租・庸・調などの税の種類や、墾田永年私財法に至る土地制度の流れが頭に入りにくい」
  • 「飛鳥文化と天平文化の区別や、仏像・文化財の判別問題で迷ってしまう」

7世紀初めの推古朝から8世紀末の平安遷都に至る約200年間は、「有力豪族の連合体であった古代日本が、天皇を中心とする中央集権的な律令国家をつくり上げ、やがてその支配体制が動揺していく過程」である。

短期間に政治改革、対外戦争、法制度の整備、社会不安と仏教政策が連続して起こるため、単に用語を暗記しているだけでは、出来事の前後関係や政策の意図を問われた際に混乱しやすい。

しかし、千葉県公立高校入試の歴史大問(古代〜近世:2012〜2025年度は大問4、2026年度は大問2)における過去15年間の出題を精査すると、出題形式は語句記述、時代判定、年代整序、文化財の識別など多様であるが、人物・制度・出来事を正しく対応させる知識が共通して求められている。

本稿では、過去問の出題実績をもとに、飛鳥・奈良時代で確実に押さえておくべき重要事項を3つの整理軸に沿って解説する。

2. 15年データから見る「飛鳥・奈良」の出題実績と3つの整理軸

2012〜2026年度の古代〜近世大問において、飛鳥・奈良時代に関わる設問では、主に以下の出題が確認されている。

試験年度・設問出題形式・判定実際に要求された知識・処理
2012年度 後期 大問4(1)語句記述[A]十七条の憲法(「篤く三宝を敬へ」)から「仏」を記述
2012年度 前期 大問4(2)語句記述[A]稗田阿礼・太安万侶が関わった歴史書『古事記』を記述
2018年度 前期 大問4(1)語句記述[A]7世紀後半に鋳造された日本最古の貨幣「富本銭」を特定
2019年度 前期 大問4(5)同時代照合[A]飛鳥時代(大化の改新・7世紀)と同時代のイスラム教成立を照合
2020年度 前期 大問4(1)人物・文化照合[A]光明皇后・聖武天皇の事績と天平文化の対応を識別
2021年度 大問4(2)時代期間判定[A]平城京(710年)から平安京(794年)に至る奈良時代の期間(約80年間)を判定
2022年度 大問4(1)年代整序[A]大化の改新 $\rightarrow$ 白村江の戦い $\rightarrow$ 壬申の乱の時系列を整序(※奈良時代の選択肢を除外)
2023年度 大問4(2)語句記述[A]班田収授法で農民に与えられた土地「口分田」を漢字で記述
2025年度 大問4(1)(2)同時代照合/整序[A]7世紀に成立したイスラム教の識別、および対中国交流史(小野妹子ら)の整序
2026年度 大問2(1)文化財識別[A]写真と説明文から天平文化(東大寺盧舎那仏)の仏像を識別

これらの出題を分析すると、飛鳥・奈良時代の学習は、以下の「3つの整理軸」に集約して整理するのが最も効果的である。

  • 【整理軸1】中央集権化への政治改革(推古朝 $\rightarrow$ 大化の改新 $\rightarrow$ 律令国家の完成)
  • 【整理軸2】律令支配の仕組みと土地制度の動揺(公地公民・重税・墾田永年私財法)
  • 【整理軸3】聖武天皇の政治と天平文化(鎮護国家・国際性・文化遺産の識別)

3.【整理軸1】中央集権化への政治改革(推古朝 $\rightarrow$ 大化の改新 $\rightarrow$ 律令制)

飛鳥時代の政治の根底にあるテーマは、「有力豪族の争いを抑え、天皇を中心とするまとまった国(中央集権国家)をつくること」である。この流れは3つのステップで進んだ。

【中央集権国家への3ステップ】

ステップ①:推古朝の改革(7世紀初め)
・中心人物:推古天皇、聖徳太子(厩戸王)、蘇我馬子
・主な施策:冠位十二階、十七条の憲法、遣隋使(小野妹子)

ステップ②:大化の改新(645年〜)
・中心人物:中大兄皇子(天智天皇)、中臣鎌足(藤原鎌足)
・主な出来事:乙巳の変(蘇我氏滅亡)、改新の詔(公地公民)、白村江の戦い(663年)

ステップ③:律令国家の完成(7世紀後半〜8世紀初め)
・中心人物:天武天皇、持統天皇、文武天皇
・主な出来事:壬申の乱(672年)、富本銭、藤原京遷都、大宝律令の制定(701年)

① 推古朝の政治(7世紀初め)

豪族の連合体であった大和政権において、推古天皇の摂政となった聖徳太子は、蘇我馬子と協力しながら天皇中心の政治基盤を固めようとした。

  • 冠位十二階(603年):家柄にとらわれず、個人の才能や功績に応じて位を与える制度。豪族を官吏として朝廷に仕えさせる狙いがあった。
  • 十七条の憲法(604年):役人(官吏)としての心構えを説いたもの。「和を以て貴しとなす」「篤く三宝(仏・法・僧)を敬へ」などの文言が知られる(※2012年度後期で「三宝=仏」が出題)。
  • 遣隋使:607年、推古天皇のもとで小野妹子らが隋へ派遣された。中国の進んだ制度や仏教文化を取り入れるとともに、対等な立場で国交を開こうとした。

② 大化の改新(645年〜)

蘇我氏の専横に対し、645年に中大兄皇子と中臣鎌足らが宮中で蘇我入鹿を討ち、父の蝦夷も自害して蘇我氏本宗家が滅んだ(乙巳の変)。これを契機に始まった一連の政治改革を大化の改新と呼ぶ。

  • 改新の詔(646年):豪族が私有していた土地(私地)と民(私民)を国家のものとする公地公民の原則を打ち出した。
  • 白村江の戦い(663年):百済の復興を支援するために朝鮮半島へ出兵したが、唐・新羅の連合軍に大敗した。
  • 国防の強化:敗戦後、唐や新羅の侵攻に備えて九州北部に防人を配置し、大宰府を守るために水城や朝鮮式山城を築いた。中大兄皇子は即位して天智天皇となり、近江大津宮に遷都して全国的な戸籍(庚午年籍)をつくった。

③ 律令国家の完成(天武・持統天皇から大宝律令へ)

天智天皇の死後、後継者をめぐる古代最大の内乱である壬申の乱(672年)が勃発。これに勝利した大海人皇子が天武天皇として即位した。

  • 天武天皇の政治:貴族の力を抑えて天皇の権力を強化し、7世紀後半には日本最古とされる貨幣である富本銭を鋳造させた(※2018年度前期で出題)。
  • 持統天皇の政治:天武天皇の政策を引き継ぎ、694年に本格的な中国風の都城である藤原京へ遷都した。
  • 大宝律令の制定(701年):文武天皇の時代に制定された法典。中国(唐)の法律にならい、刑罰のきまりである「律」と、政治の仕組みを定めた「令」を整備し、天皇を中心とする「律令国家」の体制が確立した。
    • 中央:神祇官と太政官の二官を置き、太政官の下に八省を設置した。
    • 地方:全国を畿内・七道に分け、都から国司を派遣し、地方豪族を郡司に任命した。

[過去問で確認された出題:2022年度 大問4 問1]

2022年度入試では、この政治改革の流れが年代整序として出題された。

この問題は、4つの選択肢から飛鳥時代の出来事を3つ選ぶ形式であり、まず奈良時代の「聖武天皇による国分寺建立」を除外した上で、残る3項目を年代順に並べる必要があった。

大化の改新(645年) $\rightarrow$ 白村江の戦い(663年) $\rightarrow$ 壬申の乱(672年)

「蘇我氏を倒して改革に着手」 $\rightarrow$ 「白村江の戦いで敗北し、防備を強化」 $\rightarrow$ 「天智天皇の死後、後継者争いとして壬申の乱が発生」という時系列を整理しておけば、正確に順序を特定できる。

4.【整理軸2】律令支配の仕組みと土地制度の動揺

律令制の基本原則は公地公民である。すべての人々と土地を戸籍・計帳で把握し、田を与えて税を負担させる仕組みが作られた。

実際の入試でも、2023年度の大問4(2)で「口分田」が語句記述として直接出題されている。制度の基本と、それが変化していった経緯を整理しておくことが重要である。

① 班田収授法と農民の税負担

律令制のもとで、戸籍に基づいて6歳以上の男女に口分田が与えられ、本人が死ぬと国に返還する班田収授法(6年ごとに実施)が定められた。

その代わりに、農民には重い税と労働が課された。

税・負担の名称負担の内容確認ポイント
租(そ)収穫した稲の約3%を地方の役所(国府)に納める。口分田の面積に応じて課される
庸(よう)都での労役の代わりに、布などを都へ納める。成人男性に課される
調(ちょう)地方の特産物(絹、糸、海産物など)を都へ納める。都まで自分で運ぶ(運脚の負担)
雑徭(ぞうよう)国司の命令により、年間60日を限度に地方で土木工事などを行う。地方での労役
兵役(へいえき)成人男性の一部が徴兵され、軍団で訓練を受ける。都を守る衛士や、九州北部を守る防人(3年間)に派遣

特に、調や庸を都まで自力で運ぶ「運脚」の労苦や、家族と離れて九州へ送られる「防人」の負担は重かった。

② 土地制度の動揺と「墾田永年私財法」

過重な負担に耐えかねた農民の一部は、口分田を捨てて逃亡するようになった。その結果、荒れ地が増加し、人口増加に伴う口分田の不足も重なって、政府の財政基盤は動揺した。

朝廷は新たな土地の開墾を促すため、土地政策の変更を行った。

  1. 三世一身の法(723年):新しく用水路を引いて開墾した土地は3代、既存の用水路を利用した場合は本人の1代に限り私有を認めた。$\rightarrow$ 期限が近づくと農民が耕作を放棄する問題が生じた。
  2. 墾田永年私財法(743年):新たに開墾した土地(墾田)について、永久の私有を認めた。

※制度理解のポイント

墾田永年私財法が出されたことで、貴族、大寺院、地方の有力豪族は、付近の農民らを使って大規模な開墾を進め、私有地(初期荘園)を拡大していった。

ただし、開墾には一定の制限があり、墾田にも国への租(田租)が課されていたため、国家による土地支配が直ちに消滅したわけではない。しかし、「すべての土地は国家のもの」という公地公民の原則が実質的に崩れていく大きな契機となった。

5.【整理軸3】聖武天皇の政治と天平文化

8世紀、平城京に都が置かれていた奈良時代(710〜794年)の中心となったのが、聖武天皇の治世である(※2021年度では、平城京から平安京遷都までの奈良時代が「約80年間」であったことが問われている)。

聖武天皇の時代は、貴族間の政治的争い、飢饉、天然痘の大流行など社会不安が相次いだ。

① 仏教による国家鎮護(鎮護国家思想)

聖武天皇は、仏教の教えによって社会の混乱を鎮め、国家を守ろうとする鎮護国家の思想に基づき、大規模な仏教政策を推進した。

  • 国分寺・国分尼寺の建立(741年):全国の国ごとに国分寺(僧寺)と国分尼寺(尼寺)を建てるよう命じた。
  • 東大寺の大仏造立(743年詔):都の東大寺に巨大な盧舎那仏(大仏)の造立を命じた。
  • 行基の登用:民衆の間で治水工事や橋の架橋などの社会事業を行い支持を集めていた僧の行基を「大僧正」に任命し、民衆の協力を得て大仏造立を進めた。
  • 光明皇后の活動:聖武天皇の皇后である光明皇后は、施薬院や悲田院を設けて社会事業を支援した。なお、2020年度前期の大問4(1)では、光明皇后と聖武天皇の関係、および天平文化が正答決定要素として問われている。

② 天平文化の特徴と文化財の識別

聖武天皇のころに栄えた文化を天平文化と呼ぶ。最大の特徴は、「唐の文化の影響を強く受けた、国際色豊かな仏教文化」である。

1. 国際交流と正倉院宝物

十数回にわたって派遣された遣唐使を通じて、唐の都・長安に集まる西アジアやインドの文化が日本にもたらされた。

  • 正倉院宝物:東大寺の正倉院(校倉造)には、螺鈿紫檀五絃琵琶やガラス器など、シルクロードを通じた東西交流を示す工芸品が納められている。
  • 鑑真の来日:唐の高僧。日本の留学僧の招きに応じ、5回の渡航失敗で失明しながらも来日。都に唐招提寺を開き、正しい仏教の戒律を伝えた。

2. 文学・歴史書

  • 『古事記』『日本書紀』:天皇による統治の正当性を示す歴史書(※2012年度前期で『古事記』が出題)。
  • 『風土記』:地方の産物、地名の由来、伝承を記録させた地誌。
  • 『万葉集』:天皇から防人、農民の歌まで幅広く収めた日本最古の和歌集。

[過去問で確認された出題:2026年度 大問2 問1(仏像の識別)]

2026年度入試では、天平文化の特色を示す仏像を選択肢の写真や説明から見分ける問題が出題された。

入試で問われる仏像・寺院は、時代ごとの特徴を押さえておくことで客観的に絞り込める。

時代・文化代表的な仏像・建築物判定のポイント
飛鳥時代(飛鳥文化)法隆寺金堂釈迦三尊像、広隆寺半跏思惟像など日本最古の仏教文化。木造の素朴さや特有の微笑(アルカイックスマイル)
奈良時代(天平文化)東大寺盧舎那仏(大仏)、興福寺阿修羅像、唐招提寺金堂など国家的な仏教政策、写実的で堂々とした造形、唐の影響
平安時代(国風文化)平等院鳳凰堂(阿弥陀如来像)など浄土信仰(極楽往生)、貴族的な優美さ

2026年度の設問では、「天平文化=東大寺大仏」という基本知識をもとに、他の時代の文化財(飛鳥文化や平安時代の国風文化)を消去することで確実に正答を特定できた。文化財の単独暗記ではなく、「どの時代のどの文化か」という枠組みを把握しておくことが肝要である。

6. まとめ:飛鳥・奈良は「因果関係のセット」で整理する

飛鳥・奈良時代を復習する際は、個別の用語を単発で覚えるのではなく、「どのような課題に対し、誰がどのような政策を行い、その結果どうなったか」という因果関係をセットで頭に入れておくことが効果的である。

【飛鳥・奈良・総復習チェックリスト】

1. 政治改革の流れ
   ・推古朝(聖徳太子・小野妹子・憲法十七条)=豪族を抑えて天皇中心の政治を目指す
   ・大化の改新(645年乙巳の変で入鹿討伐・公地公民) $\rightarrow$ 白村江の戦い(663年敗戦) $\rightarrow$ 壬申の乱(672年)
   ・天武・持統天皇(富本銭・藤原京) $\rightarrow$ 大宝律令(701年)=律令国家の完成

2. 律令支配と土地
   ・口分田を与える(班田収授法) $\leftrightarrow$ 租・庸・調・雑徭・兵役の重税
   ・農民の逃亡 $\rightarrow$ 三世一身の法 $\rightarrow$ 墾田永年私財法(743年) $\rightarrow$ 初期荘園の拡大

3. 聖武天皇と天平文化
   ・社会不安(疫病・争乱) $\rightarrow$ 鎮護国家(国分寺・東大寺大仏・行基登用)
   ・天平文化=唐・シルクロードの国際的文化(正倉院宝物、鑑真、万葉集)
   ・文化財識別=飛鳥(法隆寺など)、天平(東大寺など)、国風(平等院など)の時代区分を押さえる

過去問演習で飛鳥・奈良時代の問題に出会ったときは、単に正解記号を確認するだけでなく、「この出来事は政治改革のどの段階か」「この制度の目的は何だったか」を意識して振り返る。

時代の骨組みを因果関係で捉えておくことが、入試本番でどのような角度から問われても、迷わず正答を導くための実践的な力となるのである。

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この記事を書いた人

習志野受験研究所 所長/新・個別指導アシスト習志野校 塾長

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