※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。
【2026年最新】千葉・東邦大東邦中の算数(速さ・図形・割合)過去問徹底分析:実数に執着せず「比」で支配する型
東邦大付属東邦中の算数攻略は、「速さの問題はダイヤグラムを描いて整理する」「食塩水は面積図で考える」といった一般的な定石をそのまま当てはめるだけでは処理しきれない。同校が求めているのは、具体的な距離や重さ(実数)への執着を一度捨て、事象を「比」という抽象概念に置き換えて処理を圧縮する能力である。
もちろん、最終的に実数計算が必要になる問題は存在する。ただし東邦大東邦中では、最初から具体量を追うより、まず比で関係を固定した方が圧倒的に速く、安全に処理できる場面が多い。難問に直面した際、具体的な数値が出ないことに焦り、未知数を文字で置いて複雑な方程式を立てたり、精密な図を描いて考えようとしたりするアプローチは、時間を浪費し計算ミスを誘発する失点パターンに過ぎない。
徹底分析:データが示す「比」による支配構造
過去15年分(2010年〜2026年)の入試データから、速さ、平面図形、割合(食塩水)において「比」を用いた処理が合否を分けた問題群を抽出した。
なお、本記事でいう「比」とは、単なる数の比だけでなく、速さの和差、面積比、濃度差の逆比など、関係性をまとめて処理するための抽象化手順全般を指す。この表を客観的に俯瞰すれば、出題者が「具体的な数値を求める力」ではなく、「関係性を用いてショートカットする力」を測定しようとしていることが明確にわかる。
| 年度 | 日程 | 大問 | 題材・ギミック(問題の構造) | 戦略的介入の型(初手の手順) |
| 2026 | 前期 | 2-(1) | A120g+B60gで20%、A40g+B80gで15%。Bの濃度は? | てんびんの重ね合わせ |
| 2024 | 前期 | 2-(2) | 距離の2/5と3/5を異なる速さで移動 | 時間の逆比と距離の比例配分 |
| 2023 | 前期 | 4 | 池の周りの旅人算(すれ違いと追い越し) | 相対速度の和差算(代数処理) |
| 2022 | 前期 | 6 | 燃費の異なる2台の車(ガソリンの配分) | 単位量あたりの変換と逆比の連立 |
| 2021 | 前期 | 5 | 面積が等しい2つの三角形(共通角の利用) | 隣辺比(サイド・プロダクト)の逆算 |
| 2019 | 前期 | 3 | 直線上の往復の旅人算(2回目に出会う時間) | 「3本分」の法則と和差算 |
| 2018 | 推薦 | 4 | 食塩水の同量交換と等濃度化 | 全体混合の視点と「積和の公式」 |
| 2014 | 後期 | 7 | 三角形の内部分割と面積比 | 隣辺比(サイド・プロダクト)の連鎖 |
表が示す通り、真正面から実数を求めようとすると手が止まる問題が意図的に配置されている。これらを突破するには、事象の次元を落とし、「比」というツールで処理を圧縮する手順が不可欠である。
法則の解説と具体的な「型」
東邦大東邦中の問題を客観的かつ正確に処理するためには、以下の「型」を習熟しておく必要がある。
型1:面積図の否定と「てんびん法」の適用
2026年前期(大問2-1)の食塩水問題を例に挙げる。A120gとB60gで20%、A40gとB80gで15%になるという条件から、Bの濃度を求める。
これを面積図や連立方程式で解こうとするのは、時間を使い果たす罠である。
合格者が行うのは「てんびん法」による比の処理だ。
重さの比が A:B=2:1 で20%になるなら、20%という濃度はA寄りではなくB寄りの点にある(逆比の性質)。逆に A:B=1:2 で15%になるなら、15%はA寄りの点にある。
この2つの条件を同じ線分上に置くと、20%と15%の間隔がちょうど濃度差の「1メモリ分」に対応することが視覚的に判明する。したがって、Bの濃度が10%と確定する。図形や方程式をこねくり回すことなく、線分上の比率のみで一撃で完結する。
型2:補助線に頼らない「共通角の面積比 → 辺の比」への翻訳
2021年前期(大問5)のように、角を共有する2つの三角形の面積が等しいという問題。図形内部に補助線を引き、相似を作り出そうと迷走してはならない。
面積が等しい場合、「角を挟む2辺の積に注目する処理」を適用する。
元の三角形の2辺の積が 20 ならば、もう一方の三角形の2辺の積も 20 になる。比と代数の操作だけで、未知の辺の長さを論理的に弾き出すことができる。
型3:ダイヤグラムを捨てるのではなく、必要条件を見極める
速さの問題において、すべてをダイヤグラム(グラフ)で解決しようとするのは危険である。
2019年前期(大問3)の直線上を往復し続ける2人の旅人算。複雑な軌跡を描画するのではなく、「2回目に出会う=2人合わせて片道の3本分の距離を進む」という法則を用いる。距離の和を速さの和で割るという1行の数式処理で押し切ることが最適解である。
しかし、ダイヤグラムを完全に否定するわけではない。2022年前期の水温変化や、2026年前期の円周上の旅人算のように、条件が時間によって複雑に変化する事象に限ってダイヤグラムを選択するという「仕分け」が重要である。
【決定ルール 1】
食塩水の問題で、具体的な濃度や重さが一部欠損している場合、面積図を描く手順を保留せよ。濃度の差と重さの「逆比(てんびん法)」を用いて、線分上の比率のみで処理できないか真っ先に検討すること。
【決定ルール 2】
角度を共有する三角形の面積比を問われたら、内部に補助線を引く作業を禁じる。「角を挟む2辺の比の掛け算」という数式処理へ直ちに移行せよ。
結論:才能ではなく作業である
東邦大東邦中の算数では、問題ごとに一から考えるより、構造を見抜いて適切な型を起動できるかが重要である。とくに速さ・図形・割合の分野では、「比」による処理がその中核を担っている。具体的な数値(実数)への執着を捨て、事象を抽象概念に置き換えて処理する客観的な作業能力を磨くことが求められる。
今日からすべきアクションは以下の3点である。
- 実数計算の前に「比」を確認する: 問題文に具体的な距離や重さがあっても、すぐに掛け算・割り算を始めない。「速さの逆比は使えないか」「重さを比に変換しててんびんで処理できないか」を5秒間確認するステップを設ける。
- 図形問題の代数化: 面積比の問題演習では、勘で補助線を引くのをやめ、「底辺の比」「高さの比」「角を挟む辺の積」といった数式ベースのパーツに分解して解く手順を固定化する。
- ダイヤグラムの選別: 速さの往復や周回問題において、いきなり図を描き始める癖を正す。「距離の和・差」による1行の数式で押し切れる問題と、ダイヤグラムが必要な問題を仕分けする訓練を行う。

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