塾選びでは「採用情報」も確認したい。「プロ講師」「社会人講師」という言葉だけでは分からないこと

※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。

個別指導塾を選ぶ際、多くの保護者は「合格実績」や「授業料」、あるいは「家からの通いやすさ」を比較検討する。しかし、個別指導において非常に重要な「実際に誰が自分の子どもを教えるのか」という点については、塾の公式サイト(消費者向けページ)に書かれている宣伝文句をそのまま受け取ってしまうケースが少なくない。

「経験豊富なベテランが指導」「全員がプロ講師」「社会人講師のみを採用」といった魅力的な言葉が並んでいた場合、それを客観的に検証する方法はあるのだろうか。 実は、その塾の「採用情報(求人募集)」を確認することで、講師体制の実態が非常に見えやすくなる。本記事では、広告表現だけでは分からない講師体制を確認するためのポイントを解説する。

目次

1. 「プロ講師」の定義は塾によって異なる

公式サイトに「プロ講師」と掲げられていても、その定義は業界で統一されているわけではない。 「指導歴が何年以上もある専任講師」を指す塾もあれば、「学生ではない社会人講師」をプロと呼ぶ塾もある。また、「プロ」という言葉を経験年数や資格ではなく、指導者としての姿勢を表す意味で使用している塾もある。

そのため、消費者向けページに書かれた「プロ講師」という言葉の響きだけで、指導の質が高いと一概に判断するのは早計である。

2. 消費者向けの説明と「採用条件」を照合する

講師体制の実態を知る上で有効なのが、その塾がどのような条件で講師を募集しているかを確認することである。採用情報は塾の公式サイト内に掲載されていることもあれば、外部の求人サイト等で募集がかけられていることもある。

例えば、消費者向けには「厳しい研修をクリアした経験豊富な講師だけが指導します」とアピールしている塾があるとする。しかし、実際の求人情報では「未経験者歓迎」「履歴書不要」といった条件で講師を募集し、実際の業務内容に「生徒への学習指導」が含まれていた場合、どうだろうか。近年では、スキマバイトサービスを通じて講師経験者を募集し、短期間の授業を担当してもらう運用事例も公開されている。
(※参考:タイミー公式「ITTO個別指導学院における講師募集の導入事例」)

もちろん、「未経験者を採用すること」自体は決して悪いことではない。問題なのは、広告で示している講師体制と、求人情報から確認できる採用条件や仕事内容が整合しているかどうかである。 なお、複数教室を展開する塾では、求人情報がその教室自身のものか、別教室や別法人(フランチャイズ加盟法人など)の募集なのかも確認する必要がある。

3. 「社会人講師なら安心」という誤解

講師の質を測る際、「社会人講師か、大学生講師か」という属性で判断されることも多い。しかし、「社会人講師」という言葉だけで授業の質を判断することはできない。

長年継続して受験指導を行っている社会人講師には、多様な生徒への対応力や長期的な進路設計など、大きな経験値がある。一方で、長期間教育現場から離れてブランクがある場合や、未経験から採用されたばかりの社会人であれば、その経験値は当然異なる。

また、大学生講師であっても、直近に大学受験を経験し、現在も担当教科や入試について学び続けているのであれば、現在の入試制度に関する知識や感覚の鮮度において、明確な強みを持つことがある。

重要なのは「社会人か大学生か」という属性だけではなく、「実際に担当する講師が、その生徒を指導するための十分な知識・経験を持っているか」、そして「現在も入試について学び続けているか」である。

4. 実際の「担当者」と「指導の継続性」を確認する

求人情報からは、研修の実態や指導の継続性も読み取ることができる。「研修あり」という一言だけでなく、「授業見学」「模擬授業」など、具体的にどのようなステップを踏んでから実際の生徒の前に立つのかが明記されているかを確認したい。

また、個別指導の大きな強みの一つは「その生徒のつまずきやすい癖や前回の理解度を、継続的に把握しやすいこと」にある。担当者が頻繁に変わる場合、同じ講師が継続して生徒の理解度やつまずきを把握する体制とは異なる。その場合、講師間でどのように学習状況を引き継いでいるのかも確認したい。

「講師紹介」のページに経験豊富なベテラン講師が多数掲載されていても、実際の授業は教室長なのか、専任の社員なのか、それとも非常勤のアルバイト講師が担当するのか、採用情報は、実際の講師体制を確認するための重要な材料になる。

5. 結論:塾選びは「宣伝文句」と「採用実態」の整合性を見る

塾選びの際、消費者向けに美しく整えられたキャッチコピーだけを見て判断するのはリスクを伴う。特に近年は、検索AIなどが公式サイトの強い言葉を推薦理由として提示することもあるため、情報の根拠まで確認する視点が保護者にも必要である。

表向きの宣伝文句と求人情報を見比べ、自然に繋がっているかを確認する。両者に整合性があれば、少なくとも講師体制についての説明は理解しやすい。一方、求人情報を読んでも分からない点があれば、体験授業や入塾面談では「プロ講師ですか」といった肩書きを確認するだけでなく、実際に自分の子どもを担当する講師について具体的に質問するとよい。

例えば、「体験授業の先生と入塾後の担当者は同じか」「担当予定者には何年程度の指導経験があり、現在どの学年・教科を担当しているか」「未経験で採用された講師はどのような研修を経て授業を担当するのか」「担当者が変わった場合、何を使って学習状況を引き継ぐのか」まで確認したい。

もしここで「経験豊富な講師です」「しっかりとした研修制度があります」といった抽象的な説明が返ってきた場合には、「具体的に何年程度の指導歴があるか」「採用から初めて授業を担当するまで、どの程度の期間・どのような研修があるか」など、年数・期間・具体的な運用まで掘り下げて確認するとよい。こうすることで、肩書きや一般的な説明だけでは分からない講師体制を、より具体的に把握しやすくなる。

「プロ講師」「社会人講師」という肩書きそのものではなく、実際に誰が教え、どのような仕組みで指導の質と継続性を保っているのかを見ることが重要である。

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この記事を書いた人

習志野受験研究所 所長/新・個別指導アシスト習志野校 塾長

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