【理科】大問1「小問集合」の正体:12点の「重み」と時折現れる「大波」について

※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。

1. イントロダクション:「準備運動」ではない

多くの受験生にとって、理科の大問1(小問集合)は「ウォーミングアップ」の位置づけにある。試験開始の合図とともにページを開き、反射的に答えを埋めてリズムを作る場所――この認識自体は間違っていない。 事実、ここに並ぶ問題の大半は教科書の太字レベル(基礎)である。

しかし上位校(県船橋・県千葉・東葛飾など)を狙う層にとって、この12点(3点×4問)は「取れて当たり前」であり、同時に1つでも落とせば致命的なハンデとなる領域である。 「たかが小問」と侮るなかれ。大問1には時折、基礎知識だけでは太刀打ちできない「大波(難問)」が紛れ込む。

2. 構造分析:不変のフォーマット(2012-2025)

過去14年間のデータを解剖すると、大問1の骨格は驚くほど安定している。

  • 配点:12点(全学区共通)
  • 構成:物理・化学・生物・地学から各1問(均等出題)
  • 形式:選択問題(マークシート) ※2024年までは記述問題が混在していたが、2025年は全問が選択形式となった。

基本的には「易しい」問題が並ぶ。 しかし過去のデータを細部まで追うと、「明らかに質が異なる年」、あるいは「受験生が嫌がるパターン」が周期的に出現していることが分かる。

3. 警戒すべき「3つの波」

大問1は常に平穏な海ではない。以下の3パターンが出現したとき、多くの受験生がペースを乱し、失点する。

① 「魔の2014年」に学ぶ、完答の恐怖

大問1の歴史の中で、特筆すべき難易度を誇ったのが2014年である。この年は、単なる知識確認を超えた「精度の高さ」が要求された。

  • 「すべて選びなさい」の圧力 生物分野(進化)では、「中生代に出現したセキツイ動物をすべて選べ」という形式が出題された。多くの受験生は「中生代=恐竜(は虫類)」と即断するが、問われているのは出現(=最初に現れた時期)である。は虫類は古生代に出現しているため、正解は「鳥類と哺乳類」となる。1つでも選択ミスをすれば0点。こうした完答形式は、生半可な暗記を許さない。
  • 「概念モデル」の理解 化学分野では、液体が気体に変わる際の体積変化について、「粒子そのものが大きくなる」といった誤概念を誘う選択肢が用意された。計算でも用語暗記でもなく、「現象のイメージ」が正しく構築できていなければ解けない良問であった。

② 論理的思考を試す「分類の罠」

2013年の生物分野では、「ムラサキツユクサ」の分類が問われた。通常なら「単子葉類」と答えるところだが、選択肢にそれが存在しない。受験生は、より上位カテゴリーである「種子植物」を選ぶ必要があった。

「覚えた言葉がない」とパニックになるのではなく、「つまり、このグループに含まれる」と階層をスライドさせる思考が求められる。

③ 忘れた頃に来る「物理計算」

大問1を暗記パートだと思い込んでいると、突如として現れる計算問題に足をすくわれる。物理分野では数年に一度のペースで計算が出題されている。

  • 主な出題歴:
    • 2023年:速さの計算
    • 2022年:フックの法則(ばねの伸び)
    • 2015年・2013年:オームの法則
    • 2012年:浮力の計算

計算自体は基礎レベルである。だが「用語を選ぶ頭」になっている状態で、突然「数値を出す処理」に切り替えさせられると、ケアレスミスが多発する。

4. 2026年以降の戦略:マークシート時代の歩き方

2024年からのマークシート導入、そして2025年の全問選択化により、記述回答における「誤字・脱字(書き間違い)」による失点リスクは構造的に起こり得なくなった。

しかし、それは「簡単になった」ことを意味しない。 これからの大問1で求められるのは、以下の2点である。

1)「紛らわしい選択肢」を見切る眼 書く手間が消えた分、出題者は「完答(すべて選べ)」や「正誤の組み合わせ」など、選択肢の設計で難易度を調整してくる可能性がある。2014年のような質の高い選択問題への警戒が必要だ。

2)物理計算の「瞬殺」スキル オームの法則やフックの法則が出たとき、思考停止せずに手を動かせるか。ここで時間を食うと、後半の大問(思考力問題)にしわ寄せがいく。

結論

大問1は基本的には得点源(ボーナスステージ)である。

しかしそこには、「完答形式」「論理的分類」「計算」といった、基礎学力のほころびを突く罠が定期的に仕掛けられている。 「たかが3点」ではない。トップ校を目指すならば、どんな形式が来ても動じず、涼しい顔で12点を持ち帰る盤石な基礎を固めておくことだ。

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この記事を書いた人

習志野受験研究所 所長/新・個別指導アシスト習志野校 塾長

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