※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。
【千葉県公立入試】英語リスニング大問1「14年間の完全網羅」。データが暴く「3つの会話原型」
1. 序論:「傾向が変わった」という半分の嘘
「最近の英語リスニングは難しくなった」「傾向が変わった」 教育現場で繰り返されるこの言葉は、半分は正しく、半分は誤っている。
当研究所は、2012年から2025年までに実施された千葉県公立入試「英語リスニング・大問1(対話応答)」のすべての問題を解析した。その結果、浮かび上がったのは「変化」ではなく、「循環(サイクル)」である。
千葉県入試は、14年かけて 「事実(Fact)」 と 「機能(Function)」 の間を往復しているに過ぎない。 このサイクルを見抜けば、2026年度に何が来るか、そしてどう構えればよいかは自ずと決まる。
2. データ:14年間の「出題の正体」完全リスト
以下は、一本化後(2021年以降)および旧・前期選抜(2020年以前)における、大問1の全分類である。
(※旧・後期選抜は形式が異なるため除外している)
| 年度 | No.1(初手) | No.2(中盤) | No.3(終盤) | 特徴・傾向 |
| 2025 | 【機能】 依頼(Please) | 【事実】 何をした(What) | 【真偽】 授業用?(Is it) | 機能への回帰 |
| 2024 | 【真偽】 一人?(Did) | 【事実】 どこ?(Where) | 【真偽】 確認?(Have) | Yes/No判断重視 |
| 2023 | 【真偽】 経験?(Have) | 【機能】 命令(Don’t) | 【事実】 計算 | 文法一致+計算 |
| 2022 | 【真偽】 住んでる?(Does) | 【事実】 どこ?(Where) | 【事実】 誰?(Who) | 5W1Hの基本回 |
| 2021 | 【事実】 時間(What time) | 【事実】 場所(Where) | 【感情】 どう?(How) | 一本化初年度(情報処理) |
| 2020前 | 【機能】 挨拶(Thank you) | 【真偽】 準備?(Are you) | 【機能】 反応 | 機能・リアクション特化 |
| 2019前 | 【機能】 挨拶(And you?) | 【機能】 依頼(Can I) | 【真偽】 時間?(Do you) | 機能(依頼・挨拶)重視 |
| 2018前 | 【機能】 感謝(Here is) | 【機能】 挨拶(Have a) | 【事実】 手段(How) | 定型句の連打 |
| 2017前 | 【機能】 提案(How about) | 【事実】 回数(How many) | ― | 変則2問構成 |
| 2016前 | 【事実】 数量(How many) | 【機能】 勧誘(Won’t you) | ― | 変則2問構成 |
| 2015前 | 【事実】 年齢(How old) | 【機能】 謝罪(Wrong) | ― | 事実+機能の混合 |
| 2014前 | 【事実】 時間(What time) | 【機能】 依頼(Can you) | ― | 事実+機能の混合 |
| 2013前 | 【事実】 曜日(What day) | 【事実】 場所(Where) | ― | 完全な「事実」回 |
| 2012前 | 【事実】 天気(How was) | 【機能】 謝罪(I’m sorry) | ― | 事実+機能の混合 |
3. 分析結果:「3つの引き出し」ですべて解決する
14年間のデータが示す事実は一つだ。
出題パターンは無限ではない。千葉県の英語リスニング大問1は、以下の「3つの会話原型」の組み合わせでしか作られていない。
Type A:「事実」の照合(The Fact)
- 正体:「いつ・どこ・だれ・何」といった情報をやり取りする型。
- 合図: What / Where / When / Who / How
- 攻略: 疑問詞を“ラベル”として認識し、選択肢からそのラベルに一致するデータ(時間・場所・数字)を拾う。
- 例:2021年 No.1「What time…?」→ 時間を選ぶ
- 例:2013年 No.1「What day…?」→ 曜日を選ぶ
Type B:「真偽」の判定(The Truth)
- 正体: 事実が合っているか/経験があるかを確認する型。
- 合図: Be動詞 / Do・Does・Did / Have・Has
- 攻略: 文法的な一致(Yes/No)で絞り込む。近年は 「No+正しい情報の補足」 が増えている。
- 例:2022年 No.1「Does she live…?」→ No, she doesn’t.(否定で確定)
Type C:「意志・機能」の交換(The Will / Function)
- 正体: 挨拶・依頼・謝罪・勧誘など、人間関係を回すためのやり取り。
- 合図: Please / Let’s / Can you…? / I’m sorry / Thank you
- 攻略: 情報ではなく「態度」を返す。Yes/Noではなく、Sure / OK / That’s too bad / You’re welcome のような応答が正解になる。
- 例:2025年 No.1「Please help me.」→ Sure.
- 例:2012年 No.2「I’m sorry…」→ That’s OK.
4. 結論:2026年への戦略
データを見れば、千葉県入試には明確な「揺り戻し」があることがわかる。
- 2013年: 事実(Type A)偏重
- 2018〜2020年: 機能(Type C)偏重
- 2021年: 一本化で事実寄りに回帰
- 2025年: 再び機能(Please)が初手に復活
この流れから、2026年の戦略は以下の通りだ。
戦略①:「機能(Type C)」を警戒せよ
2025年の傾向(依頼・Please)は、継続する可能性が高い。
「疑問詞待ち」で構えている生徒は、挨拶やお願いが来た瞬間にフリーズする。
音声の冒頭が疑問詞でなかった場合、即座に「依頼か? 挨拶か? 謝罪か?」へスイッチを切り替える準備が必要である。
戦略②:脳内に「3つのフォルダ」を作れ
試験開始前、脳内に 「事実」「真偽」「機能」 の3つの空箱を用意しておく。
音声を聞いた瞬間、その会話をどこに分類するかを決める。
この「仕分け」さえできれば、どんな変化球が来ても、過去14年のデータの範囲内である。
恐れることはない。千葉県の大問1は、結局この3原型から一歩も出ていないのだから。

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