※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。
【千葉県公立入試・国語】漢字書き取りに「漢検3級・準2級」は不要?過去20年のデータが暴く「小学校回帰」の法則
1.まえがき:真面目な受験生が陥る「オーバーワーク」
千葉県公立高校入試の国語において、漢字の配点は決して低くない。 しかし、この対策で多くの受験生が致命的な「コストパフォーマンスのミス」を犯している。
それは、「入試だから」という理由だけで、漢検3級(中学卒業レベル)や準2級(高校在学レベル)の難しい漢字練習に多くの時間を費やしてしまうことである。 塾のテキストや市販の問題集には、確かにそれらの漢字が並んでいる。「完璧」「擁護」といった画数の多い漢字も次々と登場する。
これらを書けること自体は素晴らしい能力だが、「千葉県公立入試の書き取り問題を突破する」という一点に絞るなら、明らかに力のかけどころを間違えていると言わざるを得ない。
当研究所が過去20年分の出題データを解析した結果、次の結論にたどり着いた。 千葉県の入試(書き取り)において、「中学校で習う難しい漢字」を一生懸命練習する必要は、ほとんどない。
※なお、本記事の分析は「書き取り問題」に特化したものである。「読み」については別途対策が必要なため、混同しないよう注意されたい。
2.データ分析:99%は「小学校で習う漢字」
習志野受験研究所では、手元にある2006年~2025年の千葉県公立高校入試(本試験)を対象に、国語の問題から「漢字の書き取り問題」だけをすべて抜き出し、漢字の出典を1語ずつ確認した。
その結果、次の事実が確認された。
- 書き取りとして出題された漢字の99%以上が「小学校で習う漢字」である
- 中学校配当漢字が答案として必要になった例は、調査対象20年の中で1問のみ
- 結論:小学校のドリルだけで満点が狙える
唯一の例外は、2008年(平成20年度)に出題された「寄与」である。 (補足:「寄」は小学校5年生で習うが、「与」は中学校で習う漢字である。つまり、過去20年間で「小学校の範囲を超える漢字」を書かせたのは、この1問だけということになる。)
つまり、当研究所が確認できた範囲では、 「小学校6年生までの漢字ドリルが正確に書ければ、過去20年分の書き取り問題はほぼ満点が取れる」 ということになる。
実際に、次のような語が何度も出題されている。
- 収益(2006年 → 2020年で復活)
- 染まる(2012年 → 2024年で復活)
- 朗らか(2006年 ほか)
これらはすべて、小学校の教科書・ドリルで必ず出会うレベルの漢字だ。「漢検準2級」レベルの難解な語彙を知っている必要はまったくない。
当研究所(ラボ)の塾生には、市販の問題集だけに頼らせることはしない。代わりに、20年分のデータベースから抽出した「千葉県で出る漢字・出そうな漢字」だけを凝縮した、オリジナルのプリントで訓練を行っている。「過去問を5年分やって安心しているライバル」とは、見ているデータの深さが違うのだ。
なぜ、多くの受験生がこの「小学校レベル回帰」や「再出題の法則」に気づかないのか。理由は単純だ。書店で売られている過去問集は、多くが「過去5年分」程度の掲載にとどまっているからである。
千葉県の入試問題には、「10年以上前の古い過去問から、忘れた頃に再出題される」という傾向がある(我々はこれを「ゾンビ出題」と呼んでいる)。 例えば「蒸らす」は2009年に出題され、9年後の2018年に復活した。直近の過去問集を使っている限り、この周期には永久に気づけない。
当研究所(ラボ)の塾生には、市販の問題集だけに頼らせることはしない。代わりに、20年分のデータベースから抽出した「千葉県で出る漢字・出そうな漢字」だけを凝縮した、オリジナルのプリントで訓練を行っている。「過去問を5年分やって安心しているライバル」とは、見ているデータの深さが違うのだ。
3.それでも失点する理由:「難しさ」ではなく「空白期間」
「小学校レベルなら、誰でも書けるはずだ」と思うかもしれない。 しかし、実際には多くの受験生が本番で「思い出せない」「別の字を書いてしまう」というミスを犯す。
その原因は、字が汚いからでも、能力が低いからでもない。 「その漢字を書いていない期間(ブランク)」が長すぎるからだ。
例えば、「朗らか(ほがらか)」という字。 小学校で習ったときは書けたはずだ。しかし、中学生になってから、手で「朗らか」と書く機会が何回あっただろうか? スマホの変換や読書で「見る」ことはあっても、鉛筆を持って「書く」動作は、数年間一度も行っていないかもしれない。
「人間の脳は、使わない情報を忘れるようにできている」
受験生が陥っている「勉強の場所の間違い」はここにある。 彼らは「新しい難しい漢字(薔薇、擁護など)」を覚えることに必死になり、「昔覚えたはずの漢字のメンテナンス」を完全に放棄しているのだ。
千葉県の入試問題は、この「記憶のエアポケット(盲点)」を残酷なまでに突いてくる。 失点の原因は「難問」ではない。「油断」である。
4.戦略的処置:削るべき練習・残すべき練習
当ラボでは、「ムダを削り、必要なところだけを集中的に鍛えるピンポイント戦略」を基本方針としている。 その立場から、漢字対策として次の処置を推奨する。
(1)漢検3級・準2級テキストは「一旦、本棚へ」
検定対策、あるいは趣味や教養として学ぶのであれば、漢検テキストを使うことに何の問題もない。
しかし、「千葉県公立入試の点数を1点でも上げる」という目的だけで考えるなら、今は優先度を下げてよい。 出題されない難漢字に時間をかけることは、「努力はしているのに点数に結びつかない」という、最悪のパターンになる。
(2)同音異義語・対義語のチェックだけは残す
ただし、「書き取りの精度」を上げるうえで、同音異義語・対義語の確認は重要だ。
- 「たいしょう」= 対象/対照 など
- 「いどう」= 移動/異動
出題者は、「知っているのに間違えやすい漢字(使い分け)」を狙ってくる。小学校配当の範囲でも、意味とセットで覚え直す作業は必要である。
(3)浮いた時間は「思考系科目」に再配分する
漢字練習の時間を1日30分削れば、その分でできることは多い。
- 数学の関数・確率の問題を1問、丁寧に解き切る
- 英語の長文を1題、時間を測って読む
入試は5教科合計点の勝負である。
配点効率の悪い「難しい漢字」に固執するより、配点効率の高い分野に時間を再配分する方が、合格可能性は確実に上がる。
5.結論:必要なのは「広さ」ではなく「深さ」
千葉県公立入試の漢字対策で、本当に求められているのは
「どれだけ多くの難しい漢字を知っているか」ではなく、
「小学校レベルの漢字を、いかにいつでも引き出せる状態に保っているか」
である。
「中学生なんだから」というプライドを一度脇に置き、
小学校の漢字ドリルを完璧に仕上げること。
それが、過去20年分のデータが示す、最も確実で、最も効率的な合格への近道である。

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