※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。
【千葉県公立入試・理科】メンデルの法則は「3:1」で終わらない。合否を分ける「5:1」の計算ロジック
遺伝と聞くと、多くの受験生は反射的にこう答える。 「メンデルの法則でしょ? 3:1になるやつ。」
だが、その「3:1の暗記だけ」は危険である。千葉県の過去問には、3:1を“出発点”として、もう一段深い計算を要求する出題がある。典型が2013年(平成25年)の「孫の代の赤い花を自家受粉させる」問題である 。
本稿では、2013年の出題を素材に、入試本番で同型が出ても処理できる計算手順を整理する。
1. 基本は「3:1」だが、そこで止めると崩れる
2013年の問題では、花の色を赤R・白rで表し、赤が顕性、白が潜性として扱っている 。基本の流れは次の通りである。
- 親:RR(赤)× rr(白) → 子:すべて Rr(赤)
- 子:Rr × Rr → 孫:RR:Rr:rr=1:2:1(見た目は赤:白=3:1)
ここまでは教科書通りである。だが千葉は、この“次”を聞いてきた。 「孫の代の“赤い花”だけを集めて、全部自家受粉させたらどうなるか。」 ここで「また3:1だろう」と思うのが落とし穴である。
2. 2013年の核心:「5:1」は“赤の中身”を分けて足す
2013年の問い(要約)はこうである 。
孫の代の「赤い花をつける株」をすべて自家受粉させ、できた種子を育てた。赤い花と白い花の数の比は?
ポイントは一つ。 孫の「赤」には、遺伝子の組み合わせが2種類混ざっているという事実である。 孫の遺伝子の組み合わせは RR:Rr:rr=1:2:1 である。したがって、孫の「赤」(RRとRr)だけを見ると、
- RR(赤の中でもRだけの組み合わせ)
- Rr(赤だがRとrが混ざった組み合わせ)
が 1:2 の割合で混ざっている(理論上)ことになる 。
ここから先は、RRの自家受粉とRrの自家受粉を分けて処理し、最後に合計すればよい。 問題文の条件(「1つの株からできる次の代の株の数はいつも同じ」 )に合わせ、1株から次の代が4株できるとして計算する。
グループA:RRの株(割合「1」) RRを自家受粉しても、子はRRしかできない。 → 1株 × 4 = 赤4、白0
グループB:Rrの株(割合「2」) Rrを自家受粉すると、子の見た目は赤:白=3:1になる。 → 2株ぶんあるので2倍する。
- 赤:2株 × 3 = 赤6
- 白:2株 × 1 = 白2
合計
- 赤:4(A)+6(B)= 10
- 白:0(A)+2(B)= 2
よって 赤:白=10:2=5:1 である 。
つまりこの問題は、「3:1を知っているか」ではない。 “赤の中身(RRとRr)を分け、重みをつけて足せるか”を見ている。
3. もう一つの必修:赤い株の「中身」を“結果”から見抜く
2013年の同じ大問では、赤い花の株A・Bをそれぞれ白い花(rr)とかけ合わせ、その結果からA・Bの遺伝子の組み合わせを判断させている 。
- A × rr → 赤と白が 1:1 で出た → Aは Rとrが混ざった組み合わせ(Rr) である
- B × rr → 全部赤 になった → Bは Rだけの組み合わせ(RR) である
ここで大事なのは用語ではない。 「白(rr)とかけ合わせて、子に白が出るかどうかで“中身”を確かめる」という判定手順である。
4. 結論:「3:1」は入口であり、勝負は“分けて足す”で決まる
遺伝の計算で失点する受験生の共通点は、頭の中だけで処理しようとすることだ。取る受験生は必ず、紙の上で次をやる。
- RR/Rr/rr を全部書く
- 今どの集団を見ているか(「孫全体」なのか「孫の赤だけ」なのか)をはっきり分ける
- 自家受粉の結果を別々に出して最後に合計する
「3:1を覚えた」で止まった瞬間に、このタイプの問題は崩れる。 “赤の中身を分け、重みづけして足す”――この手順を、今のうちに手順として固定しておくべきである。

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