※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。
【2024千葉大学】英語大問3(語形変化・同意文)は「語彙単独のテスト」ではない。「構文の逆算パズル」である。
千葉大学の英語大問3を、単なる英単語や熟語の暗記テストだと捉えているなら、その認識は改めるべきである。ここで試されているのは、語彙単独の知識ではなく、語彙を文法構造の中で正しく使い分ける構文処理能力である 。
多くの受験生が、空所を見て「なんとなく知っている派生語」を当てはめたり、フィーリングで同意文を作ろうとして、致命的な失点パターンに陥っている。この設問は、文法規則に従って、空所に入るべきパーツを逆算して埋めるパズルである 。出題者の意図を論理的に解体する手順を提示する。
2024年度 千葉大学(英語大問3)構造解剖データ
以下は、2024年前期入試における大問3(問1・問2)の要求スキルを統合・構造化したものである。
| 設問・空所 | 問われる「型」と文法的判断 | 決定的な根拠・ルール |
| 問1(1) ABLE | 名詞の特定 + 論理的整合(否定) | 冠詞Anと主語の位置。かつ欠点(defect)という文脈 |
| 問1(3) STRONG | 動詞の原形の確定 | led O to V(不定詞)の構造 |
| 問1(4) INVENT | 人を表す名詞の特定 | The ~ of の構造と、後半の代名詞 she/her |
| 問2(1) being | 進行形の受動態への変換 | 元の能動態の目的語(O)が、主語(S)に移動している |
| 問2(4) heard | 話法の転換 + 時制の一致 | 伝達動詞 told(過去形)からの逆算と代名詞のズレ |
| 問2(5) better | 仮定法過去完了 + 不定詞の否定形 | 過去の事実への後悔と、not + 準動詞の規則 |
| 問2(7) spite | 接続詞節から前置詞句への変換 | 前置詞(In spite of)の後ろには名詞が来る原則 |
攻略の「型」:意味を考える前に、品詞と構造を確定せよ
千葉大英語大問3を攻略するには、感覚を排し、以下の「逆算手順」を徹底する必要がある。
事例1:語形変化における品詞決定プロセス(問1-4)
The ( INVENT ) of the machine never got the recognition she deserved...
- 品詞の確定:冠詞
Theと前置詞ofに挟まれているため、空所は「名詞」である 。 - 指示内容の特定:後半の
sheやherが指し示しているのは、主語である空所の名詞しかあり得ない 。 - パーツの決定:したがって、「発明(invention)」ではなく、女性を指す「発明家(inventor)」という人を表す名詞が確定する 。
事例2:話法転換と時制のズレの処理(問2-4)
元文:"I heard you are going to get a promotion," he said to her. 書換:He told her that he ( heardを含む2〜5語 ) going to get a promotion.
- 構文の選定:直接話法(” “)から間接話法(that節)への書き換えである 。
- 時制の論理的処理:伝達動詞が
told(過去形)であるため、従属節内の時制をズラす必要がある 。元文のheard(聞いた)は、発言した時点よりもさらに前の出来事であるため、過去完了形had heardにする 。 - 代名詞の変換:元文の
you are going toは彼女自身のことなので、she was going toに変化する 。これらを繋ぎ合わせ、had heard (that) she wasという指定語数内のパーツが完成する 。
事例3:接続詞節(Although節)から前置詞句(In spite of句)への変換(問2-7)
元文:Although it was snowing, we went ahead with the barbecue. 書換:In ( spiteを含む2〜5語 ), we went ahead with the barbecue.
- 構造の変化:元文の
Althoughは後ろに完全な文(S+V)をとる「接続詞」である 。一方、書換文のIn spite ofは全体で「前置詞」の働きをする 。 - 前置詞の後ろの処理:前置詞の後ろには必ず「名詞」が来なければならない 。
- 節から句への変換:したがって
it was snowingという文を名詞のカタマリに変換し、spite of the snowまたは動名詞を用いたspite of its[it] snowingとして機械的にはめ込む 。
【決定ルール】
語形変化では、日本語の「意味」を考える前に、空所の前後(冠詞、前置詞、toなど)だけを見て「品詞」を文法的に特定せよ。同意文書き換えでは、元の文と書き換え文の「主語」と「時制」のズレをスキャンし、必要な文法パーツを機械的にはめ込め。
結論:才能ではなく、作業である
千葉大のこのセクションは、帰国子女のような英語のセンスを求めているわけではない。「品詞の確定」「時制のズレの把握」「節と句の変換」といった、構文ルールをどれだけ正確に運用できるかを測っているに過ぎない 。
正しい手順さえ踏めば、ここは確実に得点を回収できるボーナスステージとなる。
今日からすべき3つのアクション
- 単語学習の解像度を上げる:単語帳をやる際、日本語訳だけでなく「品詞」と「派生語(名詞形、否定の接頭辞、人を表す接尾辞など)」を必ずセットで確認する。
- 節と句の変換ルールを暗記する:接続詞(S+Vをとる)と前置詞(名詞をとる)の違いを明確に意識し、相互に書き換える手順を整理する。
- 過去問の「逆行分析」の徹底:解答が合っていたかどうかで一喜一憂せず、「なぜその品詞になるのか」「なぜその時制になるのか」を文法規則を用いて他者へ説明できるまで構造を分解する。

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