※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。
【千葉県公立入試】数学・作図の過去問5年分を「翻訳シート」1枚で完全攻略する【2021-2025】
1. 序論:証明された「3つの定石」
前回の記事で、私は「千葉県の作図は、3つの道具(垂直二等分線・角の二等分線・垂線)への翻訳作業である」と定義し、そのためのツールとして「翻訳定石シート」を公開した。
「それは理想論だろう?」「実際の本番ではもっと複雑なのでは?」 そう疑う読者のために、今回は直近5年間(2021年〜2025年)の実際の入試問題を、すべてその「翻訳シート」を使って解いてみせる。
結論から言えば、この5年で例外は1問たりとも存在しなかった。 以下に示すのは、ひらめきを排除した「機械的プロセス」の記録である。
▼まずは「理論編」で武器を手に入れる(前回の記事)
※本記事の手順定義
記事内で用いる「解析→設計→施工」の3ステップは、翻訳定石シートにおける以下の手順と同一である。
- Step1:解析(翻訳) = キーワードから道具を決める
- Step2:設計(ラフ図) = 完成予想図をフリーハンドで描く
- Step3:施工(実行) = 決めた道具を順番に使う
【復習:翻訳定石シート(最小セット)】
- 2点から等しい $\rightarrow$ 垂直二等分線
- 2直線から等しい $\rightarrow$ 角の二等分線
- 最短距離・接線・90° $\rightarrow$ 垂線
2. 実践ケース:2025年(令和7年度)
テーマ:回転移動と「角度を半分にする」の翻訳
①【解析】キーワードの翻訳
問題文に「二等分線」という語はない。だが構造は明白である。
- 回転移動 $\rightarrow$ 中心Oからの距離が変わらない $\rightarrow$ 点Aは円周上を移動する。
- さらに、A$\rightarrow$A’が110°、A$\rightarrow$Pが55°。55は110の半分である。
- よって本問は「角度を半分にする」=角の二等分線への翻訳問題である。
②【設計】完成図のイメージ
点Pは、$\angle AOA’$ の二等分線上にあり、かつ中心O・半径OAの円上にある。
つまり、「円」と「二等分線」の交点がPである。
③【施工】手順の実行
- 点Oを中心、半径OAで円(または必要な円弧)を描く。
- $\angle AOA’$ の二等分線を作図する(Oを頂点とする角の二等分)。
- 二等分線と円(円弧)の交点をPとして記入する。
3. 実践ケース:2024年(令和6年度)
テーマ:円錐の展開図と「1/4」を作る作図
①【解析】キーワードの翻訳
- 中心角90°の扇形は、円周(弧)が全周の1/4である。
- 弧の長さ=底面円周より、扇形の半径(母線)$\ell$と底面半径$r$は $\ell=4r$ となる。
- したがって $OA(=r)$ は $PA(=\ell)$ の1/4、すなわち $OA=\frac{1}{4}PA$ である。
- 「1/2を作る道具」は垂直二等分線。
- 1/4は、1/2を2回で作れる。
②【設計】完成図のイメージ
点Oは、直線PA上にあり、しかも点Aから見て“点Pと反対側”にある。
そして距離は $AO=\frac{1}{4}PA$。ここが最大のミスの発生源である。
③【施工】手順の実行
- 直線PAを引き、Aの外側まで延長する。
- 線分PAの垂直二等分線を引き、中点M(1/2点)を得る。
- 線分AMの垂直二等分線を引き、中点N(1/4点)を得る($AN=\frac{1}{4}PA$)。
- コンパスで長さANを取り、AからPと反対側へ移して点Oを決める。
- 点Oと記入する。
4. 実践ケース:2023年(令和5年度)
テーマ:2種類の接線と90°の翻訳(難問)
①【解析】キーワードの翻訳
- 条件A:「点Aを接点とする接線」 $\rightarrow$ 半径OAと接線は直交 $\rightarrow$ 垂線。
- 条件B:「点Bから円Oに引いた2本の接線」 $\rightarrow$ 接点と中心を結ぶと90°。
- 離れた点Bと中心Oで90°を量産する定石は、BOを直径とする円(タレスの定理)である。
②【設計】完成図のイメージ
Aでは「OAに直交する壁(接線)」が立つ。
Bからは円へ向かう2本の接線が伸びる。
この壁と2本の接線の交点がP、Qである(AP>AQより上下の判定も必要)。
③【施工】手順の実行
- 点Aを通り、OAに垂直な直線を引く(Aでの接線)。
- 線分BOの垂直二等分線で中点を取り、BOを直径とする円を描く。
- その円と円Oの交点を接点R、Sとする。
- BR、BSを結ぶ(Bからの2本の接線)。
- 手順1の直線との交点をP、Qとし、AP>AQの条件で上下を確定する。
5. 実践ケース:2022年(令和4年度)
テーマ:中点の特定と垂線
①【解析】キーワードの翻訳
- 条件A:「線分ACの中点」 $\rightarrow$ 垂直二等分線。
- 条件B:「直線APと直線BPは垂直」 $\rightarrow$ Aから直線BPへの最短距離 $\rightarrow$ 垂線。
②【設計】完成図のイメージ
まずACの真ん中を作り、そこからBへ直線を通す。
その直線へAから垂線を落とした足がPである。
③【施工】手順の実行
- 線分ACの垂直二等分線を引き、中点を得る。
- 中点とBを結ぶ直線を引く。
- 点Aからその直線へ垂線を下ろす。
- 交点をPとする。
6. 実践ケース:2021年(令和3年度)
テーマ:円の中心決定(2つの“等しい”の交点)
①【解析】キーワードの翻訳
- 条件A:「2点A, Dから等しい距離」 $\rightarrow$ 垂直二等分線。
- 条件B:「辺AC, BCに接する(=2直線から等しい距離)」 $\rightarrow$ 角の二等分線。
- よって中心Oは、ADの垂直二等分線と$\angle ACB$ の角の二等分線の交点である。
②【設計】完成図のイメージ
ADの“真ん中ライン”と、Cの角を割る“ビーム”。
この2本が交わる点がOである。
③【施工】手順の実行
- 線分ADの垂直二等分線を引く。
- $\angle ACB$ の角の二等分線を引く。
- 2本の交点をOとする。
7. 結論:作図は「パズル」ではなく「翻訳」である
見ての通り、直近5年間の千葉県入試の作図は、すべて「翻訳」だけで完結した。
しかし、この解法を伝授する本当の理由は、単に問題を解くためだけではない。 本番で「無駄な時間を1秒たりとも使わせないため」である。
3点のために「10分」を捨てるな
近年の傾向として、2024年から作図問題の配点は「3点」に変更された。(小問①3点+作図②3点=計6点の構成が定着しつつある)。
これは一見、配点が下がってラッキーに見えるかもしれないが、実は逆だ。「たった3点のために、泥沼にハマるリスク」が高まったことを意味する。
3点の問題に10分かけていては、他の計算問題や関数を解く時間が蒸発し、トータルで大敗北を喫する。 だからこそ、この「翻訳シート」を「撤退ラインの基準」として使ってほしい。
【合格のための損切りルール】 問題文を読んで30秒以内に翻訳(設計)ができなければ、その場でコンパスを置き、次の問題へ進むこと。
「設計図」が描けていないのに、コンパスを動かして偶然答えが見つかることは絶対にない。 作図は、描く前に勝負が決まっている。
- 翻訳できるなら、瞬殺して3点を奪う。
- 翻訳できないなら、即座に捨てて時間を守る。
この冷徹な判断ができる受験生だけが、千葉県入試という戦場で勝ち残ることができる。
もし、この「判断のスピード」と「翻訳の精度」を極めたいなら、当ラボの門を叩くといい。 君に教えるのは、単なる数学の解法ではない。合格するための「時間戦略」だ。

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