※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。
【理科・化学】イオンの移動方向を完全攻略──千葉県公立入試「酸とアルカリ」の対比構造
千葉県入試の理科で、
「色のついた部分は、陰極(-側)へ動いたか、陽極(+側)へ動いたか」
と問われた瞬間に、勘で選んでしまう受験生は多い。
確率は50%。しかし、入試でその50%に賭けるのはあまりに危険だ。
当研究所(習志野受験研究所)が過去14年分(2012年~2025年)の出題を整理すると、この問題にはきれいな“対(ペア)”の構造が存在していた。
今回は、(記事内で紹介した)2017年と2013年の事例を対比し、暗記ではなく「1本の原理」でこの問題を解決する。
■ 「酸」なら、動くのは H⁺(+)
まずは、2017年(前期)の出題ケースを見てみよう。
- 実験: ろ紙に塩酸(HCl)をつける。
- 現象: 赤色に変色した部分(酸性)が移動した。
入試理科において、酸性の正体は 水素イオン H⁺(プラス) として扱う。
物理の大原則として、「プラスの粒は、マイナスに引かれる」。
よって、色の部分は (-側の電極)=陰極 へ向かって移動する。
■ 「アルカリ」なら、動くのは OH⁻(-)
次に、その対となる 2013年(後期) の出題ケースだ。
- 実験: ろ紙に水酸化ナトリウム水溶液(NaOH)をつける。
- 現象: 青色に変色した部分(アルカリ性)が移動した。
アルカリ性の正体は 水酸化物イオン OH⁻(マイナス) である。
同じく物理の原則により、「マイナスの粒は、プラスに引かれる」。
よって、色の部分は (+側の電極)=陽極 へ向かって移動する。
■ 千葉県が狙うのは「逆転」
ここまでを並べると、構造は非常にシンプルだ。
- 酸(H⁺)が主役の回 $\rightarrow$ 答えは 陰極(-)
- アルカリ(OH⁻)が主役の回 $\rightarrow$ 答えは 陽極(+)
千葉県は、この2つのパターンを数年おきに入れ替えたり、選択肢の中で混ぜたりして出題してくる。
片方だけを丸暗記していると、もう片方が出た瞬間に逆転して失点する仕組みだ。
最初にやるべきことは、今扱っているのが「酸(H⁺)」なのか「アルカリ(OH⁻)」なのかを確定することだけだ。
■ 結論:鉄壁の判断フロー(3ステップ)
迷ったときは、以下の3ステップで考えれば、イオンの移動はボーナス問題に変わる。
【イオン移動・判断の鉄則】
- 「酸」か「アルカリ」かを確定する(問題文の「塩酸」「水酸化ナトリウム」などの語句を見る)
- 正体を変換する
- 酸なら $\rightarrow$ H⁺(プラス)
- アルカリなら $\rightarrow$ OH⁻(マイナス)
- 逆符号の電極へ線を引く
- プラスの粒 $\rightarrow$ (-側の電極)へ
- マイナスの粒 $\rightarrow$ (+側の電極)へ
語呂合わせは必要ない。
2013年のOH⁻と、2017年のH⁺。
この「対」の存在を知り、「異符号は引き合う」という原理に戻れば、二度と迷うことはない。

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