※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。
【千葉県公立入試】理科・天気。暗記で解くな、「動画」で再生せよ。天気図攻略の3つの翻訳ルール
序論:天気図は「静止画」ではない
多くの受験生が天気図の問題を苦手とする理由は明確だ。
彼らは天気図を「止まった絵(静止画)」として見ているからである。
しかし、入試で問われるのは常に「変化」だ。
「前線が通過したらどうなるか?」「なぜ風向きが変わったのか?」
これらはすべて、時間の流れを伴う物語である。
千葉県公立入試の天気分野を制するために必要なのは、記号の丸暗記ではない。
問題用紙の上の静止画を、頭の中で「動画(ムービー)」として再生する技術である。
本稿では、過去14年(2012〜2025年)の出題傾向に基づき、千葉県が繰り返し問い続ける「3つの鉄板シナリオ」を解剖する。
これを読めば、無機質な天気図が、意味を持ったドラマとして動き出すはずだ。
1. 最頻出シナリオ:寒冷前線という「劇的なドラマ」
千葉県入試が最も愛しているテーマ。それが「寒冷前線の通過」である(2021年・2018年・2015年など)。 この現象は、暗記項目をバラバラに覚えると崩壊する。
翻訳すべきは「単語」ではない。変化のタイムライン(3点セット)である。
【翻訳ルール①】前線通過の「逆転劇」
寒冷前線が通過すると、世界は次の順序で“壊れる”。
- 通過前(温暖): 南よりの暖かい風
- 通過中(激変): 積乱雲 $\rightarrow$ 短時間の強い雨
- 通過後(寒冷): 北〜北西よりの冷たい風 + 気温急降下
「南風・暖」 $\rightarrow$ 「雨」 $\rightarrow$ 「北風・寒」
この順序さえ固定できれば、天気図が何枚出ようが迷わない。
例えば「天気図を時系列順に並べ替えろ」という問題なら、見るべきは天気図ではなく気温のグラフだ。
グラフがガクンと落ちた瞬間、そこが前線の通過時刻である。
2. 季節の識別:形で見抜く「愛称」パターン
四季の判別は理屈で解くより、形(ビジュアル)で秒速判定した方が速い。 千葉県が問うのは、毎回だいたいこの4枚である 。
【翻訳ルール②】気圧配置の「愛称」リスト
- 冬:西高東低(縦縞)
- 等圧線が縦に並ぶ。北西の季節風。
- 日本海側の雪は、海で水蒸気を含んだ季節風が山脈で上昇するからである(記述頻出)。
- 夏:南高北低(鯨の尾)
- 太平洋高気圧が日本列島を覆う。晴れやすい。
- 梅雨:停滞前線(帯)
- 冷たい気団と暖かい気団がぶつかり、前線が伸びて動かない。
- 春・秋:移動性高気圧
- 「帯」も「縦縞」もない。丸い高気圧が移動しているだけならこれ。
ここでの勝ち筋は単純だ。
“愛称で一瞬判定” $\rightarrow$ “理由を書ける形に変換”
この2段階で終わる。
3. 風向の読み取り:低気圧は「左巻きの掃除機」
「台風が通過するとき、風向きはどう変わるか?」 この問いに、勘で答える受験生があまりに多い(2016年・2014年など)。
風向は暗記ではない。その場で描けば終わる。
【翻訳ルール③】中心へ向かって「反時計回り」
低気圧(台風を含む)は、空気を吸い込む巨大な掃除機である。ただし吸い込み方にルールがある。
- 「反時計回りに回転しながら、中心へ吹き込む」
試験用紙に低気圧があったら、迷わずこうする。
中心に向かって左巻きの渦(矢印)を書き込め。
そして観測点(自分の位置)に、どの方向から矢印が刺さるかを見る。それが風向である。
最低限、これだけは固定しておけ。
- 中心の北側 $\rightarrow$ 東風
- 中心の東側 $\rightarrow$ 南風
- 中心の南側 $\rightarrow$ 西風
- 中心の西側 $\rightarrow$ 北風
ここまで落とせば、風向は“覚えるもの”ではなく、復元するものになる。
結論:理科は「理由」の学問
天気図の記号を覚えるのはゴールではない。スタートラインである。
入試本番で問われるのは、常に「理由(ロジック)」だ。
- なぜ気温が下がったのか? $\rightarrow$ 寒冷前線が通過し、寒気に入れ替わったから。
- なぜ日本海側で雪が降るのか? $\rightarrow$ 季節風が海で水蒸気を補給し、山脈で上昇したから。
- なぜ風向きが変わったのか? $\rightarrow$ 低気圧の中心位置が移動したから。
静止画を動画に変換し、そのドラマを記述用紙に再現せよ。
それができる受験生にとって、天気の記述問題は恐るるに足りない。

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