※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。
【2026千葉県公立入試講評】社会は「暗記科目」ではない。「情報処理」のテストである。
昨日(2026年2月18日)、千葉県公立高校入試を終えた受験生諸君、そして保護者の方々。まずは、この数カ月の過酷な戦いを完走したことを称える。
だが、もし昨日の社会で手応えを感じられなかったとしても、その理由を「年号が抜けていた」「用語の詰めが甘かった」という精神論に回収してはいけない。断言しよう。千葉県の社会は、社会科という枠組みを使って、「因果」「推論」「分類」「計算」を処理させる試験へ完全に移行している。
そして今年、受験生のリズムを最も狂わせた「変化」の正体はここにある。
大問1を処理した直後、例年の“地理リズム”ではなく、歴史が連続して襲ってきたことだ。
「順番が変わった」こと自体が本質ではない。過去問演習で積み上げてきた「図表読み取りから入る」という“脳の処理手順”を、初手で崩しに来た点が本質である。
1. 構造分析リスト(2025–2026)
以下は単元の羅列ではない。正解に至るまでに、頭の中で何が行われているかを棚卸しした「処理のリスト」である。
- 歴史: 単語ではなく「流れ(因果)」を組み立てる
- 地理: 地形・気候の性質から、産業の結果を「推論」する
- 公民: 複雑な概念を「分類」し、座標に位置づける
2. 千葉県社会を貫く3つの「勝ちパターン」
今年度の問題を例に、千葉県教委が求めている「真の能力」を解説する。
① 地理は「理科」として処理する
「シラス台地=鹿児島」「扇状地=果樹園」といった一対一の暗記で止まった瞬間に、千葉県入試では負ける。問われているのは地名ではなく、「性質→理由→結果」の論理接続である。
- 2026年 大問5(2): シラス台地
- 「水を通しやすい(保水しにくい)」
- ↓
- 「稲作(水田)には不利である」
- ↓
- 「畑作や畜産が行われる」
この“理由の橋渡し”が記述できるかどうかで、得点は二極化する。
② 歴史は「矢印(→)」で処理する
年号と出来事を「点」で覚えても勝てない。必要なのは、点と点を結ぶ「矢印(→)」だ。
- 2026年 大問3(2): 日清戦争の開戦理由
- 朝鮮で反乱(甲午農民戦争)が発生
- ↓
- 清へ出兵要請・日本も対抗出兵
- ↓
- 両軍が衝突
- ↓
- 戦争勃発
この因果のチェーン(連鎖)を、自分の言葉で再現できるか。教科書の太字ではなく、太字と太字の間にある“つなぎ”こそが得点源になる。
③ 公民は「分類」で処理する
今年、最も象徴的だったのは大問6の「新傾向」である。
- 2026年 大問6(1): 支援のあり方をマトリクスで分類
- 縦軸:公的 / 私的
- 横軸:国内 / 国外
ここで問われているのは知識量ではない。「知識の置き場所」だ。頭の中にこの「整理箱」を用意し、概念を迷わず収納できるかどうか。千葉県はここで、受験生の「情報整理能力」を冷徹に測定している。
3. 「難化したのか?」平均点プロファイリング
受験生が今、最も渇望しているのは「結局、何点取ればいいのか」という基準値だろう。 我々の研究所では、感情的な「難化・易化」の議論を排し、問題構造から2026年度社会の平均点を以下のように予測する。
【習志野受験研究所 予測】 51点 前後(±2点)
千葉県教委の公式見解(作成方針)では「昨年並み(50〜55点)」とされている。 しかし、現場の体感難易度(痛み)は、数値以上に高く感じられたはずだ。その根拠は以下の2点にある。
- 順序変更によるタイムロス: 歴史記述に時間を奪われ、後半の地理・公民で「本来解けたはずの問題」を落とした層が一定数いる。
- 理数処理の壁: 「対蹠点の計算」 や「統計の相関」など、暗記で乗り切ろうとした層が地理で振り落とされている。
つまり、見かけの難易度は変わらないが、「暗記だけの層」を排除し、「思考力のある層」を選抜するよう、中身が質的に変化している。 もし自己採点が50点を超えていれば、標準的な戦いはできている。60点を超えていれば、この「情報処理テスト」への適性が高かった証明であり、胸を張っていい。
4. 結論:才能ではなく「正しい作業」である
社会で手応えが出なかったとしても、それは君の頭の良し悪しではない。「勉強の手順(プロトコル)」が、千葉県の設計思想とズレていただけだ。
千葉県の社会は、暗記量で押し切る者ではなく、因果を組み、推論し、分類し、数値を読む者が勝つ。
手順さえ外さなければ、80点ラインは十分に再現可能である。
これから受験を迎える新中3・中2生へ
「社会は直前に詰め込めばいい」という通説を捨てろ。必要なのは、膨大な暗記量ではなく、どんな資料が目の前に来ても処理できる「思考の型」である。
その型は、早く作り始めた者から強くなる。
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