※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。
【2026千葉県公立入試講評】理科は「暗記」ではない。算数と国語による「論理演算」である。
本日(2月18日)、千葉県公立入試の全日程が終了した。
理科の手応えはどうだっただろうか。「計算が多かった」「実験の意味がわからなかった」という声が聞こえてきそうだが、それこそが千葉県教委の狙いであろう。
断言する。千葉県の理科は、もはや「理科」ではない。
それは、自然現象を題材にした「算数(計算処理)」と、実験条件を読み解く「国語(論理読解)」の複合試験である。
「重要語句を赤シートで隠して覚える」。そんな昭和・平成の勉強法で通用するのは、大問1の小問集合までだ。大問2以降の「本丸」では、記憶力など何の役にも立たない。
本稿では、2026年の問題を解析し、点数を分けた「3つの法則」を提示する。
1. 分析リスト:2026年 vs 2025年(構造の比較)
まずは、直近2カ年の構造を見てほしい。2025年の「計算による平均点調整(55.4点)」の手法が、2026年も形を変えて継承されていることが分かる。
| 年度 | 大問 | 分野 | テーマ | 合否を分けた「処理能力」 |
| 2026 | 4 | 生物 | 神経 | [算数] 反応時間の平均値計算と経路特定 |
| 2026 | 6 | 生物 | 植物分類 | [論理] マトリクス表の空欄推定(消去法) |
| 2026 | 7 | 化学 | 熱分解 | [算数] 質量保存・定比例の法則(4.20g換算) |
| 2026 | 8 | 地学 | 天体 | [算数] 地球儀モデルの回転数・倍率計算 |
| 2026 | 9 | 物理 | 力・仕事 | [作図] 作用点の特定と力の作図 |
| 2025 | 4 | 地学 | 湿度 | [難問] 放出水蒸気量の計算(正答率9.7%) |
| 2025 | 6 | 地学 | 天体 | [難問] パネル設置角度の幾何計算(正答率10.7%) |
この表から導き出される、2026年の攻略アルゴリズムは以下の通りだ。
2. 2026年を支配した「3つの法則」
法則①:「理科」の皮を被った「算数」である
後半戦(大問7・8・9)を見てほしい。すべてに「計算処理」が組み込まれている。 特に大問7(化学)の炭酸水素ナトリウムの実験では、「2.00gで1.26g残る」という基本比率を使い、「4.20gなら何g残るか?」を計算させる問題が出た。 また、大問8(天体)では、「24時間で1回転」する地球と、「10秒で1回転」させた地球儀モデルの「時間の倍率」を計算させている。
これらは、理科の知識ではない。「比例式」と「単位換算」という算数の能力だ。
2025年は正答率9%台の超難問計算で平均点を下げに来たが、2026年は「標準的な計算問題の数」を増やすことで、「処理速度の遅い生徒」を時間切れに追い込む作戦にシフトしている。
法則②:「作図」は採点官との対話である
大問9の物理(力)を見てほしい。「直方体Aが直方体Bを押す力」を作図する問題だ。
ここで多くの受験生が「なんとなく下向きの矢印」を書いて失点する。
千葉県が求めているのは「雰囲気」ではない。
- 作用点はどこか?(AとBの接触面にある黒点)
- 長さは正確か?(1N=1目盛りというルールを守り、3N分引いたか)
2025年の「光の屈折作図(正答率15.2%)」と同様、「原理原則(ルール)通りに定規を使えるか」という、製図に近い厳密さが求められている。
法則③:生物は「知識」ではなく「論理パズル」
大問6の植物分類。「ヘゴ」や「ゼニゴケ」の知識を問うているように見えるが、その本質は「表(マトリクス)の穴埋めパズル」だ。
2025年の「フローチャート分類」から形式は変わったが、やることは同じである。
「種子をつくる=〇」「維管束がある=〇」といった条件を、表の空欄に当てはめ、矛盾しない選択肢を消去法で選ぶ。
これは生物学的知識というより、プログラミング的な「条件分岐処理」に近い。
【難易度分析】平均点はどうなるか?
2025年の平均点は55.4点であった。
2026年は、2025年のような「正答率10%を切るような理不尽な計算問題」は減ったものの、全体的な「計算・処理の分量」は増加している。
上位層にとっては解きやすくなったが、中下位層は時間不足で後半が壊滅する構造だ。
結果として、平均点は昨年並みか、微増(56点前後)に着地すると予測する。
結論:才能ではなく「作業」である
2026年の理科入試が示した事実は一つだ。
高得点を取るために必要なのは、科学的なひらめきではない。
- 長い問題文から「計算に必要な数値」だけを拾い出す読解力。
- 比の計算をミスなく行う算数力。
- 指定された座標に正確に線を引く作図力。
これらはすべて、トレーニング可能な「作業」である。
「理科が苦手」と嘆く前に、計算と作図という「道具」を磨け。
2026年の入試は、それを怠った者に厳しく、準備した者に微笑む、極めて公平な試験であったと言える。
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