※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。
【2026千葉県公立入試講評】数学は「ひらめき」ではない。文章と図を数式に直す「翻訳」で決まる。~直近3年の比較~
国語に続き、2026年度の数学を整理する。
「思考力が問われるようになった」「文章量が増えた」
予備校やメディアからは、毎年判で押したような感想が聞こえてくる。しかし、戦いを終えたばかりの受験生や保護者が知りたいのは、そんな曖昧な総括ではないはずだ。
「なぜ、あの問題が解けなかったのか」「正解するためには、どんな手順が必要だったのか」。
そして、これから受験を迎える次世代にとっては「具体的に何を練習すればいいのか」。
その一点に尽きる。
習志野受験研究所が直近3年(2024〜2026)の入試問題を並べて分析すると、千葉県数学にははっきりした「型」があることが分かる。
千葉の数学は、天才的な数学センスを競うものではない。日本語で書かれたルールを、淡々と式と座標に直して処理する「翻訳作業」の試験である。
本稿では、その証拠となるデータを示し、感情を排した攻略の手順を公開する。
1. 3年間の分析リスト
まずは、ここ3年の「大問4(思考力問題)」と「大問3(証明)」の変遷を見てほしい。
| 年度 | 大問 | テーマ | 合否を分けた「処理手順」 |
| 2026 | 4 (融合) | 紙折りと分点 | 図形問題を「関数の計算」で処理する |
| 2026 | 3 (証明) | 円と接線 | 合同(直角三角形)を用いた定理の証明 |
| 2025 | 4 (融合) | 円錐の転がり | 「回転数」を「最小公倍数」へ翻訳する |
| 2025 | 3 (証明) | 半円と相似 | 完答率11%の難関。部分点狙いが正解 |
| 2024 | 4 (融合) | 光と影 | 物理現象を「相似」と「座標」へ翻訳する |
この表から、千葉県数学を攻略するための「3つの法則」が見えてくる。
法則①:図形は「座標化」できた側が勝つ
近年の千葉県入試において、最も顕著な傾向。それは「純粋な幾何(図形)問題の減少」*である。
2024年の「影」、そして今年の2026年の「紙折り」。これらは一見、複雑な図形問題に見える。しかし、問題文(会話文)を読み進めると、必ずこう誘導される。
「関数(座標平面)で考えてみましょう」
これは千葉県教委からの明確なメッセージだ。「図形のセンスや補助線のひらめきは不要である。図形を座標平面上に置き、直線の式を出し、交点を計算せよ」。
ここで「どこに線を引けばいいのか」と図形的に悩む生徒は時間を浪費する。
一方で、「座標を置く($t$とおく)」「式を作る」「交点(分点)を出す」という「計算の作業」に持ち込めた生徒は、確実に得点を重ねることができる。
近年の千葉県数学は、図形問題の皮を被った「計算処理テスト」であると言える。
法則②:証明は「相似」が来たら深追いするな
大問3の証明問題には、明確な「当たり年」と「ハズレ年」が存在する。
- ハズレ年(2025年): 「相似」の証明が出題。完答率はわずか11.4%であった。
- 当たり年(2024年・2026年): 「合同」の証明が出題。基本定理や直角三角形の性質を使えば解ける標準レベル。
今年の2026年は、円の接線の長さを「直角三角形の合同」で証明させる問題であり、比較的「解きやすい」年であった 。 しかし、受験戦略として重要なのは「運」ではない。「難問(相似)が来た瞬間に、完答を捨てて部分点(3点)を拾いに行く」という判断ができるかどうかだ。 ここで完璧主義に陥ると、その後の大問4を解く時間が消える。「証明は3点で御の字」と割り切れるかが、合計点を左右する。
法則③:大問4は「ルールの確認」ゲーム
大問4(思考力問題)で問われているのは、数学力以前の「ルール読解力」である。
「影ができる仕組み」「円錐が転がる回数」「紙を折って点を移す手順」。これらは教科書には載っていない。その場で初めて提示される「独自ルール」だ。
多くの受験生は、この長文を見て「読むのが大変だ」と焦る。
だが、焦る必要はない。これは新しいゲームの「説明書」と同じだ。
- まず会話文を読み、ルールを箇条書きにする。
- 「どうなったら点が入るか」「どこで状況が変わるか(場合分け)」を押さえる。
- それを式に落とし込む。
過去問と同じ問題は出ないが、この「ルールを整理する手順」だけは毎年変わらない。必要なのは、初見のルールに従順に従う「素直さ」である。
【難易度分析】平均点はどう動くか?
2026年のセットを見る限り、全体的な難易度は「昨年(2025年・52.0点)並みか、微減(やや難化)」と予測する。
- 易化要因: 証明(大問3)が標準的な「合同」であり、ここで点数を落とす生徒が減ること。
- 難化要因: 大問4の文章量が多く、情報の整理に時間を食うこと。また、大問1の小問集合で「四分位数」「ねじれの位置」といった、対策が手薄になりがちな知識を突いてきたこと 。
計算ミスをせず、大問4の誘導に食らいつけた上位層と、文章量に圧倒された下位層との間で、得点の二極化が進むだろう。
結論:才能ではなく「作業」である
千葉県公立入試の数学で高得点を取るのに、「天才的な発想」は必要ない。
図形を座標に置き換え、長文ルールを数式に翻訳し、淡々と計算を実行する。
もし、あなたが「数学のセンスがない」と諦めているなら、それは大きな間違いだ。
あなたはセンスがないのではない。「千葉県入試という名の作業」の手順を知らなかっただけだ。
勝負は決した。
だが、これから受験を迎える次世代の諸君は、この事実を直視してほしい。
数学は「芸術」ではない。「ツール」である。
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