※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。
【理科・化学】計算問題の攻略のカギ──千葉県入試「グラフの折れ目」が示す反応の限界
「化学の計算問題が苦手だ」 「グラフが出た瞬間に思考停止してしまう」
そんな受験生にこそ、知ってほしい事実がある。 「直近数年分の過去問だけやれば十分」という甘い考えは、千葉県入試の化学分野では通用しない。
当研究所(習志野受験研究所)は、2012年から2025年までの14年分の出題を通覧し、「化学変化と質量」の計算問題に繰り返し現れる共通設計を抽出した。 その結果、2012年~2015年という”古い地層”にこそ、現在の難問(石灰石や酸化銅の計算)を解くための「原点」が埋まっていることが判明した。
今回は、千葉県が愛してやまない「反応の限界(飽和)」の正体を解明する。
■ 「折れ目」は難化のサインではない
計算問題のグラフで、線が途中で急に曲がったり、水平になったりする。
あるいは、一度下がってから上がり始める。
これらは「計算が難しい」という合図ではない。
「そこで反応が限界に達した(売り切れた)」という、千葉県からの明確なメッセージだ。
化学用語で言えば「反応の完結点」。
言い換えれば、そこは「片方の物質が尽きた地点」であり、過不足の計算を始めるための唯一のスタートラインになる。
■ 同じ設計が、題材を変えて再登場する
酸と炭酸水素塩、酸化物の還元、炭酸塩と酸など、扱う物質は変わる。
しかし、グラフが示す「意味」は14年間一貫している。
- 2015年(前期): 炭酸水素ナトリウムと塩酸。投入量 4.00g を境に、気体の発生がストップし、グラフは水平になった。
- 2017年(前期): 酸化銅と炭素。投入量 0.30g を境に、気体の発生がストップし、グラフは水平になった。
- 2019年(前期): 再び炭酸水素ナトリウム。やはり 4.0g で反応が止まった。
物質が変わっても、やることは変わらない。
「グラフが折れた点 = 過不足なく反応した点」 と見抜き、そこを基準に計算を組み立てるだけである。
■ “V字”と“L字”は、同じ中身の別表示である
ここで、多くの受験生が躓く「V字グラフ」の正体について明かそう。
2012年(前期)の問題を見てほしい。
ここでは、グラフが水平になる(L字)のではなく、一度下がってから上がる「V字型」を描いている。
一見、2017年のグラフ(L字)とは別物に見えるかもしれない。しかし、底(ボトム)の数値を見てほしい。
「炭素 0.30g」。
そう、2017年の飽和点と全く同じ数値設定なのだ。
この2つは、同じ実験を「違うカメラ(縦軸)」で撮影しているに過ぎない。
- 2017年(縦軸=気体の量):反応が進むほど気体は増えるが、相手が尽きればそれ以上増えない。 $\rightarrow$ 水平になる(L字)
- 2012年(縦軸=残った固体の量):反応が進むほど酸素が奪われて軽くなるが、反応が終わった後に炭素を足せば、ゴミ(未反応炭素)として積み上がる。 $\rightarrow$ 再び増える(V字)
「V字の底」も「L字の折れ目」も、意味する事実は一つ。
「炭素 0.30g で、ちょうど反応が終わった」 ということだ。
これを見抜けるかどうかが、千葉県の化学計算を制する鍵となる。
■ 千葉県入試の「設計上の頻出値」
興味深い事実に気づいただろうか。
2012年と2017年で「0.30g」、2015年と2019年で「4.0g」。
千葉県入試には、意図的に数値を再利用する「設計上の頻出境界値」が存在する。
もちろん丸暗記は推奨しないが、「4g」や「0.3g」という数字を見た瞬間に、「あ、いつものあのパターンか?」と身構えることができれば、精神的な余裕は段違いだ。
■ 解法の型:これだけで迷いは消える
最後に、本番で使える「思考の型」を整理する。
- 縦軸を確認する(生成量なのか? 残量なのか? それによってグラフの形が決まる)
- 「折れ目(L字)」または「底(V字)」を見つけるその点が 「反応がちょうど終わった条件(完結点)」 である。
- 比を作る完結点の数値を使って「物質A : 物質B」の比率を確定させる。
- 余りを出す問題で与えられた数値と、③の比率を比較し、引き算で余りを出す。
結局、千葉県の「飽和」は難問ではない。限界点を読む技術テストなのだ。
グラフがどんな形に変形しても、「折れ目(あるいは底)」を見つけた瞬間に勝負は決まっている。

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