【県千葉 vs 県船橋】両雄の「東大合格者数」に差がつく理由。3年間のカリキュラム徹底比較

※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。

千葉県の公立高校入試において「双璧」と称される、県立千葉と県立船橋。 各社の偏差値ランキングでは、県立千葉がトップに君臨しつつも、県立船橋が僅差で追う展開が続いている。入り口の難易度は、まさに「拮抗」と言ってよい。

しかし、出口である「東京大学の合格者数」を見ると、そこには偏差値差以上の「明確な開き」が存在することが少なくない。 なぜ、トップ2校でこれほどの違いが生まれるのか。

その答えは、公開されている「教育課程表(カリキュラム)」や「シラバス(授業計画)」の中にあった。3年間の設計図を分解すると、両校は「全く異なる戦略」で生徒を育てようとしていることが判明したのである。

本稿では、学校選択において最も嘘をつかない「時間割(単位配当)」から、その違いを3点に絞って提示する。

※本稿では、特徴が最も顕著に表れる「県立千葉(普通科)」と「県立船橋(理数科)」の比較を主軸とし、県立船橋(普通科)については補足的に扱う。

目次

違い①:高1数学の“負荷設計”が別物である

最初に大きな違いとして現れるのが、高校1年次における数学の単位配当(週あたりの授業コマ数)である。

比較項目 県立千葉(普通科) 県立船橋(理数科)
高1数学の単位数(週コマ) 週5コマ (数学I:3 + 数学A:2) 週7コマ (理数数学I:7)
設計意図 標準的な進学校のペースで、 全科目をバランスよく深める設計 入学直後から数学が高頻度で配置され、 早期から演習量・処理量を最大化する設計

県立船橋(理数科)は、1年次から「理数数学I」として週7単位が配当されている 。これは、通常の進学校よりも数学に触れる時間が圧倒的に長いことを意味し、「数学を日常的に回し続ける訓練」が入学直後から始まる。数学が得意であることは大前提として、さらにその先へ進むための「量」をこなすことが求められる。

一方、県立千葉は週5単位という標準的な配当である 。これは進度が遅いのではなく、文系・理系問わず全教科を幅広く学ぶリベラルアーツ(教養)的なバランスを重視した設計であると解釈できる。

違い②:英語の“出口”が異なる

英語に関しても、シラバスの科目設定から「何を目指して英語を学ぶか」というゴールの違いが見えてくる。

県立千葉では、1年次に学校設定科目として「Academic English」(2単位)が設置されている 。 学習指導要領にある標準科目ではなく、あえて独自科目を置くこの設計からは、大学での研究活動を見据え、「学術的な文章を読み、論理的に書く」力を早期から養成しようとする意図が読み取れる。

対して県立船橋(理数科・普通科共通)では、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)事業との連動が強く意識されている。 シラバスには、英語でのプレゼンテーションやポスター発表の機会が組み込まれており、英語を「読む」だけでなく、「研究成果を説明し、発信するためのツール」として扱う傾向が見られる。

同じ「高い英語力」でも、県千葉は「思考と論述」、県船橋は「発信と実用」に重きを置いたカリキュラムと言える。

違い③:探究活動の“勝ち筋”が真逆である

最も校風の違いが表れるのが、高2・高3で本格化する「総合的な探究の時間」および関連科目である。両校とも高みを目指す点は共通しているが、そのアプローチ(勝ち筋)は対照的だ。

県立千葉:個の知性を磨く「論文作成」

県立千葉のシラバス(高1・高2)には、「前年度卒業生の論叢(ろんそう)を配布」という記述がある。 これは、先輩たちが書き上げた質の高い論文集を手本とし、生徒一人ひとりが「個別研究活動」に取り組むことを示唆している。 最終的な成果物は「研究報告書(論文)」としてまとめられ、「個人の力で問いを立て、論理的に実証する」という、大学の研究者に近いスタイルが求められる。

県立船橋:チームで挑む「学会発表」

一方、県立船橋(理数科・SS系)のシラバスには、「班ごとにテーマ設定」や「ポスター作成」といった言葉が並ぶ。 ここでは、個人戦よりも「チーム戦」の要素が強くなる。仲間と協力して実験・検証を行い、その成果を校内発表会や外部のコンテスト(千葉大学高校生理科研究発表会など)で発表する。つまり、「協働して成果を出し、第三者に評価される」という、エンジニアやプロジェクトリーダーに近い能力が鍛えられる。

結論:わが子に合うのはどっちか

「時間割(設計図)」から逆算すると、それぞれの学校で伸びやすい生徒のタイプは以下のように整理できる。

県立千葉(Chiba High)に向いている子:知の探究者(Scholar)型

  • 一人で静かに、深く物事を考えるのが好き。
  • 特定の教科に限らず、文系・理系を問わない幅広い教養に触れたい。
  • 将来は、研究職、法曹、官僚など、個の知性と論理的思考力で勝負する分野に進みたい。

県立船橋(Funabashi High)に向いている子:課題解決の実践者(Researcher/Engineer)型

  • 手を動かして実験したり、チームで議論して形にするのが好き。
  • 数学や理科の専門的な学習負荷が高ければ高いほど燃える(特に理数科)。
  • 将来は、エンジニア、医師、データサイエンティストなど、チームで具体的な成果を生み出す仕事に惹かれる。

入り口の偏差値は拮抗していても、中身のカリキュラムは別物である。 「静」の千葉か、「動」の船橋か。 お子様の性格と、この「3年間の設計図」を照らし合わせ、最適な環境を選ばれたい。

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この記事を書いた人

習志野受験研究所 所長/新・個別指導アシスト習志野校 塾長

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