※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。
【千葉大英語】単語力だけでは太刀打ちできない。「思考力」を問う英作文の正体と対策
千葉大学の英語入試について、多くの受験生（そして一部の指導者までも）が、ひとつの大きな誤解を抱いている。
それは、「千葉大の英語は標準的である」という認識である。
確かに、出題される長文の単語レベルや文法事項そのものは、旧帝大や早慶と比べれば「極端な難問」は少ない。単語帳をしっかりこなしていれば、内容そのものはおおよそ読めるだろう。
しかし、だからといって、「単語帳を完璧にすれば合格点が取れる」と考えているなら、その認識は今すぐ改めるべきである。
現場で生徒の答案を見ていると、「単語は分かっているのに点数が伸びない」ケースが後を絶たない。その原因は明確だ。千葉大英語が求めているのは、英語力という皮を被った「国語力（論理的思考力）」だからである。
近年の千葉大英語、特に2025年度前期入試の問題構成を見ても、その傾向は一層はっきりしてきた。
本稿では、千葉大英語の象徴ともいえる英作文（記述問題）を手がかりに、その「思考力型の出題」の正体と、そこにどう備えるべきかを整理する。
目次
1．「読めても解けない」長文読解の正体
千葉大の長文読解は、単に英文を日本語に置き換えるだけのテストではない。一見読みやすい文章の中に、「文脈の行間を読む力」を試す設問が巧みに紛れ込んでいる。
典型的なのが、下線部の内容説明や要約をさせる問題である。
多くの受験生は、直前の英文をほぼそのまま日本語に直訳して満足してしまう。しかし、千葉大が本当に見ているのは、「直訳の正確さ」ではない。
- なぜ筆者はその表現を選んだのか
- その比喩が指している具体的な状況や感情は何か
- その一文は、文章全体の構成の中でどんな役割を果たしているのか
といった点を、文章全体の流れから読み取り、日本語で再構成できるかどうかが問われている。
言い換えれば、「英語のテストでありながら、高度な現代文の読解力を試す問題」になっているのである。
2．最大の壁「自由英作文」の罠
千葉大英語の合否を分ける最大のポイントは、間違いなくライティング（英作文）である。
特に、物語の続きを書かせたり、状況を説明させたりする出題形式には、千葉大特有の「クセ」がある。
2-1 事例：民話 Lazy Jack を題材とした問題
ある年度の入試では、イギリスの民話 Lazy Jack（怠け者のジャック）を題材とした問題が出題された。主人公のジャックは、常識が通用しない「愚か者」として描かれる人物である。
- もらったバターをそのまま頭に乗せて運び、溶かしてしまう
- 猫をそのまま抱えて歩き、引っかかれてしまう
といった、「少しズレた行動を繰り返してしまう人物像」が、物語の中で丁寧に描かれている。
設問は、この物語の「続き（結末）を英語で書かせる」というものだった。
ここで多くの受験生が犯したミスは、文法的には正しいが、物語の流れとしては不自然な結末を書いてしまうことである。
ジャックのキャラクター（愚直ゆえの失敗を繰り返す）や、民話特有の「繰り返しのリズム」を読み取れていない生徒は、突然ジャックが賢くなってしまうハッピーエンドを書き、物語のトーンを崩してしまった。
千葉大の採点者が見ているのは、難しい英単語を使っているかどうかではない。「この受験生は、物語の構造やオチを、論理的に理解しているか」という点である。
文脈を無視した「きれいな英語」よりも、多少拙くても物語の核心を外さない答案の方が、千葉大では圧倒的に高く評価される。
3．高校生が今からできる「攻めの対策」
では、このような「思考力」を問う千葉大英語に対して、高校1・2年生の段階からどのように備えるべきか。研究所としての提言は、まず次の2点である。
3-1 ①「要約」の習慣をつける
長文を読んだあと、全訳して終わりにしてはいけない。
毎回、
「結局、この文章は何を主張していたのか？」
を、日本語で80〜120字程度に一度だけまとめてみるトレーニングが極めて有効である。
この習慣によって、
- 重要な情報とそうでない情報を取捨選択する力
- 文と文の関係を整理する力
- 筆者の主張を一文に凝縮する力
といった、千葉大が求める文脈把握力・構成力が鍛えられる。
3-2 ②現代文の力を軽視しない
「英語が伸びない」と悩む生徒の中には、実は現代文が苦手なケースが少なくない。論理的に文章を読み、筋道を立てて考える力は、すべての教科の土台である。
千葉大を目指すのであれば、英語だけをやみくもに増やすのではなく、「読む力」の土台としての現代文を軽視しないことが重要である。
たとえば、
- 現代文の評論文で「筆者の主張と根拠の関係」を追う
- 小説で「人物の心情の変化」を筋道立てて説明する練習をする
といった取り組みは、結果的に英語の記述・英作文の得点力アップにも直結する。
まとめ――「訳す英語」から「考える英語」へ
千葉大学の英語は、小手先のテクニックや丸暗記では攻略できない。
だからこそ、正しく対策した受験生にとっては「差をつけやすい試験」でもある。
もし、
- 「単語は覚えているはずなのに、過去問の点数が安定しない」
- 「英作文で、何を書けばよいのか分からない」
と感じているなら、それは英語力そのものよりも、「問題への向き合い方（アプローチの角度）」がずれている可能性が高い。
習志野受験研究所（個別指導アシスト習志野校）では、こうした「思考力を問う問題」への対策を、普段の授業の中で徹底して行っている。
- 「とりあえず訳して終わり」の英語から、
- 「何を問われているのかを読み取り、論理的に答える」英語へ。
早い段階からこの視点を持ち、学習の組み立て方を変えていくことが、千葉大をはじめとする難関大への現役合格への最短ルートである。
今後も、本サイトでは 千葉大英語・数学、千葉県公立入試の分析 を継続的に公開していく。志望校合格に向けて、ここで得た視点を、ぜひ日々の学習に生かしてほしい。
千葉大英語の具体的な対策プランや、現在の成績からの到達可能性について相談したい場合は、本部サイトのお問い合わせフォームから、いつでも相談してほしい。こちらで一緒に、最適な戦略を考えていく。
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